長いことブログサボってしまってますが、長年の野望の実現に手を付けています。
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実際に小説を書いてみる
歴史物にしたというか、散々ムックした一の谷を書く事だけは決めていたのですが、とにかく何十回もあれこれ書いていたものなので、これをまずまとめるのが一苦労です。色んな資料を引用していたはずなのですが、自分のブログのどこに書いていたのか探し出し再確認する作業がとにかく膨大です。そこで開き直って、ver.1として一の谷関連の自分のムックをまとめるのに専念して書き上げています。
この作業も大変でしたが基本はブログの延長ですからまだラクだったのですが、これじゃ小説とは言えません。これを小説に変える作業が必要です。小説には主人公が必要で、常套手段としては主人公の目から歴史を見、語っていくスタイルが多いところです。この辺は主人公の活躍を通してのスタイルもよくあります。たとえば司馬遼太郎風なら、
白い水干を来た少年が歩いてくる。どことなく気品もあり美少年ではあるが、笑うと反っ歯である点が妙に愛嬌になっている。
「牛若丸様」
こう呼ばれた少年は後の九郎判官義経である。平家を一の谷、屋島、壇ノ浦と破り西海に沈めた男である。もちろん今は平家全盛の世であり、義朝の忘れ形見の牛若丸はまだ・・・
下手だけどこんな感じかなってところです。こういう本格的な歴史小説スタイルも憧れなんですが、私のモトネタとの相性は非常によくありません。もっと違うスタイルじゃないと書けないってところです。私のモトネタを小説にするのに合いそうなのはやはりムックスタイルです。たとえばちょっと古いですが、高木昭光の「成吉思汗の秘密」みたいなアームチェア・ディテクティブを基本にした方が良いと判断しました。もうちょっと単純には歴史好きの二人が議論しながらムックしていくみたいな感じと言えば良いのでしょうか。
そうならば議論するのは野郎二人より男と女の方が絵になるし、男と女なら二人の関係に恋愛のエッセンスというか恋愛のサブ・ストーリーが展開した方が面白いんじゃないかと考えたところで、
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このスタイルはただのラノベじゃん
小説で求められるのは登場人物のキャラが立つ事で、キャラが立ってこれを読者が受け入れられたら面白さが増すってところです。今まで読んできた小説ではそうでした。そうなるとヒロインの造形は作品の出来を左右する重大な作業になります。これは書いてみてわかった部分もあるのですが、書き手もまたヒロインをアリアリと思い浮かべられるぐらいにならないと物語が展開しにくいのも実感しました。
そこで古典的な手法を採用しました。これまた常套手段ですが実在の人物をモチーフにすることです。そうすれば少なくとも書き手の私はヒロインをアリアリと心に描けます。それは良かったのですが、書いてみると猛烈に照れくさいのです。モチーフにしただけで、実在の女性とは無関係の架空の人物のはずなのですが、どうしたってクロス・オーバーしてしまいます。こういう作業も小説を書くには必要なんだと思った次第です。
小説に味わいを出すには主人公以外の脇役をうまく使うのもポイントです。脇役以外にもシャレた小道具があるといっそ味わいが出ます。そこで二人が歴史ムックをする場所をバーにし、マスターに脇役として登場してもらう事にしました。これもどちらも実在のものをモチーフにしています。つまりはバーでカクテルを傾けながら歴史談義をやり、二人の恋も進行し、そこにさりげなくマスターがポイントで粋に出てくるみたいな構成です。そこにもう一人の旧友(これも実在)を少しからめて登場人物に関してはとりあえずOKです。
サイド・ストーリー部分がver.3になるのですが、これは全くのオリジナルになります。ラブ・ストーリーの結果はベタにしたのですが、ベタな分だけラストにもっていく中間過程の工夫が必要です。あちこちに伏線を張って、それがラストにつながるみたいなプロットなんですが、文字通り言うは易しの世界でした。
悪戦苦闘の末にとりあえず書きあがったのですが、たとえば文庫本にするにはどれぐらいの分量が必要になるのかの見当が付きません。そこでググると10〜12万字ぐらいは必要となっています。ところが私が書き上げたのは6万5000字ぐらい。まだ足りないってことです。そうなると第2部的な展開が必要になります。もちろんサイド・ストーリーも同様です。第2部の歴史ネタの材料には事欠きませんが、サイドストーリーの方は難儀です。
ただ1回書くと言う経験は大したもので、すっかり文体にも慣れちゃっいました。第1部みたいに3段階の作業過程が不要になり、いきなり本番で書けるように進歩しました。ヒロインに対するテレも完全にはなくなりませんが、架空のヒロインとモチーフの実在女性もある程度切り離して見れるようになったってところです。サラサラと快調に書けたのは良かったのですが、第2部が2万5000字、第1部と合わせて9万字。まだチト少ない。
小説を書くと言うのは大変な作業だと痛感した次第です、はい。