水素療法ってなんだ???

久しぶりに医療ネタです。たまには「閑話」としてエエぐらいにさせて頂きます。


ハフィントン・ポスト

最近になってネットでチラチラ見かけるニュース・サイトですが朝日新聞社HPより

朝日新聞社は2013年5月、米最大級のニュース・ブログサイト「The Huffington Post (ザ・ハフィントン・ポスト)」を運営するAOL傘下の「The Huffington Post Media group」と、合弁会社「THe Huffington Post Japan」を設立し、日本版「ザ・ハフィントン・ポスト」を開設しました。

朝日との合弁会社の様です。記事内容は他の分野は存じませんが、医療分野においては「?」って記事が出る事もあり、それぐらいの信用度のニュース・サイトぐらいにとらえさせて頂いています。そんなハフィントン・ポストの採用ブログ記事に

こんなのが掲載されていました。内容については興味のある人はお読みください。論評は避けさせて頂きます。でもってこの記事を書いたブロガーのプロフィールが掲載されていました。

首藤 紳介 小児科
小児科医として、大学病院や民間病院の救急外来などで現代医学を研鑽。
自身の様々な経験から、薬だけに頼らず、自己治癒力を高め、健康と美を保つための医療を目指すようになる。
2010年より湯島清水坂クリニックに勤務し、がんやアレルギー疾患、リウマチなどの膠原病をはじめとした、様々な慢性疾患の診療にあたる。
2013年5月より、表参道首藤クリニックの院長を務め、水素療法、点滴療法、補完代替医療などを中心として、心と体に優しい医療を展開している。 

首藤医師は2002年に医師免許を取得され、2010年から湯島清水坂クリニックに勤務となっておられます。この湯島清水坂クリニックHPより、

当クリニックの治療は、手術や薬に頼りません。「福田―安保理論」を元に、自律神経のバランスを整え、免疫を高めることで病気を治す「自律神経免疫療法」を行っています。

「福田−安保理論」だけで必要にして十分な情報です。そういう系列の医療に首藤医師は傾倒されたのがよくわかります。おそらく湯島清水坂クリニックで「研鑽」された経験を基に表参道首藤クリニックを開業されたと見て良さそうです。ハフィントン・ポストの医療情報源としての評価が改めて定まった気がしています。


日本水素療法学会

てなものがあるようでHPの水素療法とは?には、

水素療法はニューアシスト代表の森井隆喜が2013年(平成25年)6月に開発した新しい施術法です。

水素療法学会を紹介したのは首藤医師が水素療法を取り入れられているからです。正直なお話、水素療法なんて聞いた事もなかったのですが、首藤医師が御開業された翌月に開発された施術法のようです。水素療法開発者の森井氏は森井整骨院を営まれる柔道整復師の方の様です。でもってニューアシストとは森井氏が代表を務められている健康器具販売業者のようです。実はとりあえず知りたかったのは水素療法とは具体的にどんな治療法なんだろうです。リンク先を確認してもらえれば嬉しいのですが、日本水素療法学会には実質的に何も書いてありません。森井氏の整骨院のHPにも、

当院院長が開発した水素を使った治療法です。
専用機器で皮膚の上に水素を発生させ痛みの改善や
関節の可動域を広げることができます。
痛み以外にスキンケアなどの美容もあります。

皮膚の上に水素を発生させる? これ以上の情報がありません。わずかに森井氏が代表を務めておられるニューアシストの水素エステに、

水素でキレイに!
水素ジェルを用いて顔のケアをしていきます。美肌効果はもちろん、目の疲労回復や肩こりにも効果的です。
普段着のままで、化粧をしていても大丈夫です。
整体も含めた新しいエステ、あなたの美と健康のお手伝いをします。

水素ジェル? ジェル化された水素?? 謎は深まるばかりになります。水素は液化可能で液体水素としてロケットエンジンの推進剤として実用化されていますが、液体水素の沸点は-252.6℃で融点は-259.2℃ですから、たとえ液体からジェル化できたとしても顔になど塗ったらエライ事になりそうですが、どうも塗るとなっています。


首藤医師の水素温熱免疫療法(H2アクアサーミア)

最新の化学情報に疎いどころではないのですが、読めば大変興味深い事が書かれています。首藤医師のHPの水素温熱免疫療法-H2アクアサーミア-(超高濃度水素水を用いた温熱免疫療法)より、

(1)H2アクアサーミアとは?
「高濃度マイクロナノバブル水素水を用いた液体式ハイパーサーミア(温熱免疫療法)」のことを
首藤紳介院長が世界で初めて水素温熱免疫療法(愛称:H2アクアサーミア)と命名しました。
「H2」は「水素」、「アクア」は「水、液体式」、「サーミア」は「温熱療法」を意味し、H2アクアサーミアは表参道首藤クリニック方式の水素温熱免疫療法を示すオリジナルの造語です。
これまで、温熱療法の「加温媒体」として、「40℃前後の高濃度マイクロナノバブル水素水」を安定供給させることは、技術的に困難でした。
今回採用した「高精度生体加温システム」は、ジェイヒットメディカル株式会社により、世界初の独自技術でこの問題を解決しました。
このシステムにより、液体式ハイパーサーミア=「高濃度水素水を用いた温熱療法」が可能になりました。 本療法に用いる「加温媒体(水素水)」のpHは中性であるため、皮膚への有害性は当然ゼロであり、水素濃度も安定しているために、高濃度水素水の持つ人体への恩恵を最大限に得ることができます。

あくまでも「どうも」なんですが、水素療法のポイントは、

額面通りに受け取ると水の中に水素が小さな泡のようになって封じ込められているものなのでしょうか。もう少し平易に言い換えると水素が溶け込んだ水って意味でしょうか。まあ水はそもそもH2Oですからタダの水の中に細かな泡が一杯あるだけの事でしょうか。私にはその辺が良くわかりません。さらにがあって、

(2)H2アクアサーミアの現在
H2アクアサーミア、つまり表参道首藤クリニック式・水素温熱免疫療法では、
以下のような療法を併用しています(希望者のみ)。
複数の治療の組み合わせによる相乗効果を狙っています。
・水素ガス吸入療法
・水素点滴、その他点滴療法・・・適応のある方や希望者のみ
・マイクロナノバブル水素水の飲用

高濃度マイクロナノバブル水素水は点滴も出来ますし、飲用も出来るそうです。謎は深まるばかりです。


ジェイヒットメディカル

謎を解くカギはジェイヒットメディカルにありそうな気がします。首藤医師の水素療法もこの会社からの製品供給があってこそ可能とも読み取れるからです。ところがこの会社の高精度生体加温システムを読んでも何も書いていないのと同じです。それでも通販サイトには

  • 表参道水素温熱センターの高濃度水素水 内容530ml
  • 水素クレイパック 内容量:オリジナルクレイ500ml + オリジナル水素発生パウダー20g
  • 水素スプレー(水素ディスペンサー)

こういう商品が確認されます。調べていくとこんな記事がイイ記事ありました。

現在、株式会社ジェイ・ヒットメディカル(表参道水素温熱センター)より販売中の私が監修した水素ガス吸入機バブル水素水生成ユニット付き水素吸入機(TRK-HI11)ですが、割り引き販売台数が<残り5台>となったと連絡がありました。もしご興味がある方がいらしたらお早目にご連絡をしてみてください。水素ガスの吸入と、水素水の生成が1台でできます

なんだ! ジェイヒットメディカルは首藤医師の関連会社であったようです。しかしながらムックはこの辺りで暗礁に乗り上げそうになりました。


ムックの方向を変えます

wikipediaよりまず水素水です。

水素水(すいそすい)とは、分子水素を溶解させたと主張される水である。

分子水素は常温常圧では気体であり、溶質としてはヘンリーの法則に従う。溶解度は水素分圧が0.101 MPa (1 atm) で20℃のとき、Bunsen吸収係数0.0182、Ostwald溶解度係数0.0194となる。全圧(水素分圧+水蒸気圧)が0.101 MPaであるとき、水1000 gに溶解する水素分子の量は0.00162 g(1.62ppm)である。

首藤医師が作った主張される高濃度水素水とは、これ以上の濃度の水素が含まれている水と理解して良いのでしょうか。ちなみに、

2005年、公正取引委員会は「事実より(健康に)良い」と誤認させる可能性があるとして景品表示法違反でミネラル還元水素水生成器などと謳う商品を販売していた3社に対し、景品表示法違反で排除命令を通告した

だそうです。水素水とは別に活性水素水ってなものもあるようです。

活性水素水(かっせいすいそすい)とは「活性水素」が溶けていると主張される水の呼称。健康グッズ販売のための擬似科学・造語であり、科学用語ではない。

水素水と活性水素水の違いは、

  • 水素水とは水素分子が溶け込んだ水
  • 活性水素水とは水素原子が溶け込んだ水
こういう理解で良いようです。活性水素水にも

いわゆるミネラル還元水素水の生成装置と称するものに対して、2005年12月26日、公正取引委員会東証1部上場の家庭用機器製造会社「シルバー精工」(東京都新宿区)、「日本ホームクリエイト」(港区)、「エッチアールディ」(横浜市)の3社に対して、使用されていた商品説明資料に誤解を招く表記がされていたことから、誇大広告であるとして(優良誤認)排除命令を出した

あれこれムックしましたが、結論的にはwikipedia程度の情報で十分だった気がしています。ついでにハフィントン・ポストへの評価も追加されたぐらいで良いかと存じます。


蛇足

ジェイヒットメディカルの会社概要に、

顧問医師 山下弘道

こうあります。山下医師も開業医でありホームページをお持ちです。執筆活動もされておられるようで、

著作

「遥かなる大地 ムーからの予言」
「大地からの最終警告」
(ともに、たま出版)

HP内にも新説 ガンの発生メカニズムがあり楽しく読ませて頂きました。