読売の医師・法曹専門記者募集

読売新聞社告より(3/14付J-CASTニュースより孫引き)、

専門記者を募集 医師・法曹 読売新聞東京本社

 読売新聞東京本社は、医師や法曹(検事、裁判官、弁護士)の資格を持つ方を対象に、医療や司法分野の取材に専門的に取り組む記者を募集します。

【応募資格】医師や法曹の資格を持ち、実務経験のある方。記者教育は本社が行います。
※応募の秘密は厳守します。
【待遇】資格に応じ厚遇します。
【応募方法】採用ホームページ(http://saiyou.yomiuri.co.jp)をご覧ください。
【応募締め切り】3月31日(月)必着。
【選考方法】書類選考後に東京本社で面接などを行います。
【問い合わせ先】読売新聞東京本社人事部 03・3216・8650

これに対して「おもしろそう」と「なにを言うやら」の両方の意見があった事をとりあえず記しておきます。もう少し具体的なところを知りたいので採用ホームページも見てみるのですが、募集を終了している東京本社【経験記者・社会人採用】募集要項と比較しながら紹介してみます。

医師・法曹 経験記者・社会人採用
募集職種 取材記者(医療もしくは司法分野を担当) 取材記者
応募資格 医師もしくは法曹の資格を持ち、実務経験のある方。記者教育は本社が行います。 新聞社、テレビ局、出版社などで記者経験のある方が中心となりますが、
企業や団体、官公庁などでの社会人経験があり、記者職に関心のある方も歓迎します。
入社時期 相談の上で、可能な時期に入社していただきます。 相談の上で、可能な時期に入社していただきます。
初任地 東京本社。研修期間中は地方支局勤務があります。 東京本社管内の愛知・岐阜・三重3県内の支社、支局、通信部等に勤務し、地域の問題などの取材、記事執筆にあたります。
給与 資格や経験に応じ、本社規定に基づき支給します。
30代半ばで約1000万円程度を見込んでいます。
経験に応じ、本社規定に基づき支給します。
賞与 夏季と冬季にそれぞれ支給。 夏季と冬季にそれぞれ支給。
定年 満60歳(定年後の再雇用制度あり)。 満60歳。
とりあえずどうでも良さそうな点からで、
    東京本社管内の愛知・岐阜・三重3県内の支社、支局、通信部等に勤務
色んな伝統とか経緯があってそうなっているのでしょうが、愛知・岐阜・三重は東京本社の管内のようです。たぶんその間にある静岡も東京本社管内と推測しますが、勤務単位としては別物と言うか別募集の気がします。どうも今年の募集は愛知・岐阜・三重勤務の社会人記者の募集の様でした。平たく読めば地方記者の社会人採用のようにも見えます。そんな事はどうでも良いのですが、二つの募集用件は微妙に違います。これは就職先のお話になるので給与はどうしたって気になるのですが、どちらも基本は、
    本社規定に基づき支給します
そりゃそうなんですが、医師・法曹はさらに具体的に1000万円程度としています。これだけ読めばなんとなく社会人採用より資格の分だけ優遇されているように感じますが、実際はどうであろうかです。3/14付J-CASTニュースにはこうあります。

大手新聞社の記者に限れば、年収は30〜34歳で735万円、35〜39歳で950万程度。40歳では1000万円を超えるとされている。多少優遇されているといえる。

新聞記者の給与と言われてもピンと来ないのですが、年収ラボのデータも引用します。

もうひとつ平均年収.jpからのデータです。

朝日新聞の平均年収は770万円で、ニュースの内容は主に事件や社会的に話題になっている記事、政治経済や芸能ニュースなど幅広く、文面は充実いている点が特徴です。
読売新聞の平均年収は693万円で、比較的若年層向けの記事が多いといわれており、スポーツ関連の記事では巨人を大きく取り上げている印象を受けます。
産経新聞の平均年収は712万円。関西で多く読まれているようですが、関東(東京)では夕刊が廃止されるなど、読者層は関西がメインになっているようです。
毎日新聞の平均年収は770万円。北海道では夕刊が廃止されるなど売り上げは右肩下がりのようですが、人気の記者やカメラマンも多く、夕刊の4コマが面白いといった声もありました。

年収ラボと平均年収.jpではえらいデータに差があるのですが、ふと笑ったのはなぜか毎日新聞の平均年収が770万円で共通している事です。これらのデータを総合して考えると社会人採用記者が平均の700万円ぐらいで、医師・法曹は少し色がついて1000万円ぐらい。部長が1500万円ぐらいになってますから、1000万円はベテラン記者ないし主任とか、主査とか、○○リーダーの肩書がなんかついているクラスぐらいでしょうか。よくわかりませんが課長クラスみたいな感じかな?

医師・法曹のもう一つの魅力は東京本社勤務である点かもしれません。なにせ開業医だもんで感覚が判りにくいところがあるのですが、会社勤めでも本社勤務はエリート・コースと聞いた事があります。その本社勤務を約束されているのは破格の待遇みたいな感じです。まあ本社勤務の魅力は中途採用である種の特殊部署での採用ですからどんだけ意味があるか判断しかねるとしても、東京本社勤務で異動がなさそうなのは考えようによっては魅力的かもしれません。東京で暮らしたいと思っている人は少なくないでしょうし、東京でソコソコ余裕をもって暮らせるだけの給与は出そうですからね。

さて医師と法曹では感覚が当然違うのですが、医師からすると給与はさほどの魅力とは言えません。後はヤリガイ問題になります。給与は少々下がっても読売新聞を使って情報発信できる魅力です。この点をどれほど評価する医師や法曹がいるかどうかです。もっとも読売だって100人も200人も採用するわけではないでしょう。採用人数は明記されていないようですがこれまたいわゆる「若干名」で、医師と法曹1人ずつが最低ラインで場合によっては複数採用の可能性を残すぐらいが妥当なところです。それぐらいならゲットは可能と考えます。



さて今回の企画ですが冒頭部に書いたように賛否、すなわち評価する声もありました。もう少し詳しく書くと、

    総論賛成、各論懸念
総論賛成部分はシンプルでやはり専門領域には実務経験のある本物の専門家がいた方が好ましいだろうです。各論懸念はやはり問題はどんな人物が記者に応募するだろうです。医師も法曹も懸念は同じで、専門記者になってもらいたいのは実務経験も十分で見識が広く高く人間的にも出来た人物です。法曹はまだそうでもないかもしれませんが、医師はマスコミ報道にはかなり手痛い目に遭ってますから「誰が」についての懸念は相当強い感じです。医師も法曹も専門職ですから、基本的にはその職業に憧れてなった訳です。そう簡単に「でもしか」程度ではなれない職業です。記者なるに望ましいとした、
  • 十分な実務経験
  • 広く高い見識
  • 人格者
こんなものを兼ね備えられる人材は法曹なり医師が職として合っている訳であり辞める理由が思い浮かびにくいと言うところです。現場的にも抜けられたら困るとも言えます。本業を捨てて専門記者に応募しようとする人材は必然的にどれかが欠けている可能性が高くなります。まあ、少々欠けていても問題はさほど多いとは言えないのですが、大いに欠けている人材のみが応募する懸念です。ぶっちゃけた話、法曹なり医師が
    なってはみたものの水に合わないタイプ
水に合っていれば本業の方が憧れてなった職業であり、収入も専門記者以上ですから辞めてまで転職する理由が乏しくなります。そうなると応募する人物像が嫌でも頭に浮かんできます。法曹側が思い浮かべたのは弁護士量産のために食い詰めたタイプです。医師側が頭に浮かんだのは、薬剤師をこき下し、医学教育をこき下ろし、看護師もこき下ろした挙句「どうも」職場から総スカンを食った様なタイプです。そういう人物でも実務経験はありますから応募条件を満たしている事になります。各論の懸念はあくまでも懸念であってそうなるかどうかはわかりません。読売の人事部の鑑識眼と言うか、読売の好みが反映されるぐらいです。もっとも応募したのがそういうタイプのみなら選びようがないかもしれません。

そうそう、もう一つ意見があって、これまでも記事として辛辣な評価が下されるものはありました。ここも記者は素人であるが前提でしたから批判はあくまでも「勉強不足」が中心でした。しかし今度は有資格者です。仲間内だから批判の矛先が緩むと言うより、容赦ない根掘り葉掘りの批判が行われる気がしないでもありません。この点について「嫌だなぁ・・・」の意見もあった事を付け加えておきます。自分の専門領域ならまだしも、全領域の記事を求められたら自信が無いです。全分野の専門記者をそろえると思えませんし、記者ですからどんな分野でも「書くのは嫌だ!」とは言えないでしょう。業務命令ですから。

それでも、それでも総論は賛成です。各論の懸念を吹き飛ばすような優秀な人材をゲットされるように願っておきます。