病院の集約化は進んでいるか?

「そんなものは進んでいない」でFAみたいなものですが趣味でデータの裏付けをしてみます。ソース元は医療施設調査です。とりあえず病院数の推移です。

調べられた範囲では1990年の10096がピークで2012年には8565に減っています。1531の減少です。では病床数はどうかと言うと、これが途中で一般病床と療養病床に分かれたりして厄介だったのですが、
やはり1990年がピークですが、総病床数自体は4000床ほどしか減っていません。これは横這いぐらいの評価で良いかと考えます。病床数が横這いで病院数が減ったのなら病院当たりの病床数の増加(つまり集約化)があってもおかしくないのですが、どうも違う気がします。病床規模による病院数の年次推移を示します。
病院数がピークに達したのは1990年頃ですが、それ以前より50床未満の病院数が減っているのが確認できます。その代わりに増えているのが100〜199床クラスの病院です。それ以外はどうかと言うと、600床以上の病院はここ10年ぐらいで言うと漸減傾向があるように見えます。あくまでもこのデータを見ただけの感想みたいなものですが、1980年代ぐらいから50床未満の小病院では経営維持が難しくなったと見ます。そのために入院病棟を廃止して診療所になったところと、グレードアップして100床以上になったところに分かれたんじゃなかろうかです。そのために1978年には病院数の3割を占めていた50床未満の小病院が、2012年には1割未満に減っています。

50床未満の小病院の淘汰集約化は進んだとしても良さそうですが、それ以上のクラスは大雑把に言うと50床未満の病院がグレードアップした分の増減(もちろんそのクラスからのグレードアップもあり)しかないと見ても良さそうです。また1996年ぐらいから見るとほぼ構成比率は固定していると見て良く、一番構成比率が大きいのが50〜99床病院で2012年時点で25%を占めます。ただこの50〜99病床の病院数も1978年頃と変わりはなく、このクラスからグレードアップして抜けた分と、下からグレードアップした分で平衡状態ぐらいと見えます。良く見ると100〜149床クラスは確実に増えていますから、それ以下からのグレードアップの多くはこのクラス位までが大きくなれる一つの限界を示しているのかもしれません。


今年の診療報酬改定は大規模なもののようです。重点は病院と在宅らしいですが、病院も大病院が優位な改訂であったと仄聞しています。情けない話ですが、診療報酬体制、とくに加算部分に関しては当事者でもないと斜め読みでは何を意味しているのかサッパリわからず、「たぶんそうらしい」の受売りであるのは白状しておきます。狙いは様々にあるのでしょうが、定番中の定番である医療費抑制以外にも病院の淘汰整理の意図も含められていると見ています。もっとシンプルに言えば一般病床数の削減です。療養病床出現以来の劇的影響が現れるんじゃないかと思っています。

それでどうなるかは・・・現時点では良くわからないぐらいにさせて頂きます。でもって「いちおう」明日に続くです。