原徳壽氏が医政局長だった・・・

2014/03/06付共同記事より、

帝王切開手術料2万円下げ 4月、人件費減で厚労省

 厚生労働省は6日までに、帝王切開で出産する場合の手術料を約2万円引き下げると決めた。現在22万1600円だが、4月から20万1400円にする。入院基本料などは別にかかり、窓口で原則3割を負担する。

 帝王切開手術の所要時間が短縮され、人件費が減ったという調査結果が出ているためで、2014年度の診療報酬改定で見直す。当初から手術を予定していたケースだけでなく、自然分娩中などに何らかの問題が生じて緊急手術をした場合も同じ金額。

 妊娠32週未満などで手術が難しい場合は現在24万5200円だが、3万円弱引き下げて21万6400円にする。

大幅な変更があった診療報酬改訂ですが、その中でも波紋を呼んでいるのが帝王切開手術料の引き下げです。理由は共同記事を信じれば、

    帝王切開手術の所要時間が短縮され、人件費が減ったという調査結果が出ているため
この時間が短くなったから値下げの話で思い出したのが悪名高き
    5分間ルール
少しだけマジレスすれば私の知る限り帝王切開手術手技自体は大きな変更はなかったはずです。つうか、あの手術が「IT化」とか「ビッグ・データ」で「効率化」できるものとは到底思えません。手術時間が短くなったのは産科医の努力としか思えません。もっとも時間短縮のために画期的な方法が導入されてのものなら陳謝させて頂きます。それと2万円下がった分の転嫁は可能だそうです。帝王切開手術には分娩介助料と言う自費治療の併用が認められており、そこを2万円値上げすると理屈の上ではカバー可能としていました。いきなり全部転嫁するかどうかは産科医療機関によって対応は異なるでしょうが、消費税も上がりますしせめて半分の1万円でも転嫁を行ったらどうなるかです。自己負担を3割として、
  1. 従来は22万1600円の3割だから6万6480円の支払い
  2. 診療報酬改定で20万1400円になったので、3割は6万420円の支払い
  3. 保険の支払い分は6060円のダウンだが、分娩介助料が1万円上がればトータルでは3940円のアップ
  4. もし分娩介助料に全部転嫁したら1万3940円のアップ
ざっとこんな感じです。少子化対策とか、産科医の負担軽減ってどこの世界の話だっけと思った次第です。



さてマジレスはこんなもので良いでしょうか。他のところでもタップリやっていると思いますからチョット違う点から見てみます。厚労省帝王切開手術料削減の理由を少し言い換えてみます。

    ○○手術の所要時間が短縮され、人件費が減ったという調査結果が出ているため
産科の帝王切開手術がそうですから他の外科系手術にも同様の事が起こる先例と考えるのが自然です。まあ、逆に手術時間が延長して人件費が増えても手術料が上がる可能性は皆無に等しいですが、医療経営として短縮はとにかく宜しくないです。だから手術時間の延長合戦は起こらないでしょうが、短縮防止対策は取られておかしくないと思います。とはいえ、術者の熟達により手術時間はどうしたって短くなる傾向が出ます。もちろんその方が患者の治療のためには望ましいですし、その時間をあえて伸ばすのは医の倫理に反します。そうなると患者治療に迷惑のかからない範囲での時間調節が必要になります。私は小児科医ですから、どこから手術時間のカウントが始まり、どこで終わるかの定義を詳しく存じません。ですから思いつきですが、
  1. 患者入室前に手術成功の祈りを捧げる。
  2. 患者を手術室から送り出した後に患者回復のための踊りを執り行う。
これらを手術時間に含んで「厚労省調査」があれば手術時間として提出するぐらいです。執刀時間が長い医師には不要ですが、執刀時間が非常に短い医師の場合には長い長い祈りや踊りが必要になるかもしれません。「そんなものが手術時間にカウントされるはずがない」ってな声も聞こえそうですが、祈りや踊りがある場合の手術と、そうでない場合の手術の成績でもデータに取って出せば良いかと思います。おそらく祈りや踊りが長ければ長いほど手術成績は「有意」に良いものになっているかと存じます。これこそEBMだ。。。。