マンション・セールスの撃退法

かなり迷惑しています

これが執拗かつ非常に迷惑なものになっています。数え上げるといくらでもありますが、少し上げておくと

  1. 仕事時間中に平然と割り込んでくる
  2. 事務段階で撃退しようとしても「約束がある」「知り合いである」とか平気でウソをつく
  3. 事務段階で電話の内容を確認しようとしても「本人様しか話せません」とかで強弁する
  4. 失礼がないように断ろうとしたら、執拗に絡んでくる
  5. 「二度とかけてくるな」は馬耳東風
うちの事務も頑張ってくれるのですが、それでも関門を突破する猛者はいます。時に事務段階で断ろうとすると、喧嘩腰で話してくる奴もいますが、喧嘩を売っているのがうちの奥様だと知っていたら、どんな顔するんだろうと思います。ま、結構な数の業者がうちの奥様に喧嘩をお売り遊ばされたので、うちでの営業は120%無理です。私まで取り次がれたら・・・論外にガチャ切りです。
    二度とかけてくるな・・・ガチャン
2秒ほどです。そう言えば、これはマンションではありませんが、何かの商品取引の勧誘があり、相手はカモにやっとたどり着いたとばかりに、
    少しお時間宜しいですか?
この言葉が出た瞬間に
    お時間はまったく宜しくありません・・・ガチャン
まあその程度の紳士的な対応ではカエルの面にションベン程度の効果しかないのを遺憾と思っています。電話じゃ水をかけて追っ払うわけにもいきませんから困ったものです。


なにかもっと効果的な方法はないかと長年探していたのですが、ちょっと面白そうなものをツイッターで見つけました

このところ、研究室への投資マンション勧誘電話がまたぞろ増えてきた。はっきりとお断りした後、まだ勧誘を続ける場合には、ぼそっと「宅建業法施行規則16条の12第1号のニ」とささやくことにしている。魔法の呪文である。

ツイートされたShimanami Ryo氏はデマやウソには縁遠そうな人物と判断できそうです。またこのツイートの感じからすると、結構効果がありそうな気配があります。鵜呑みしても良さそうなのですが、裏を取ってみます。


根拠条文のチェック

宅建業法施行規則16条の12にはとりあえずこう書いてあります。

宅建業法施行規則16条の12

法第四十七条の二第三項 の国土交通省令内閣府令及び同項 の国土交通省令で定める行為は、次に掲げるものとする。

いつもながら鼻を木で挟むような文章ですが、宅建業法47条の2の3項とは、

宅建業法47条の2の3項

宅地建物取引業者等は、前二項に定めるもののほか、宅地建物取引業に係る契約の締結に関する行為又は申込みの撤回若しくは解除の妨げに関する行為であつて、第三十五条第一項第十四号イに規定する宅地建物取引業者の相手方等の利益の保護に欠けるものとして国土交通省令内閣府令で定めるもの及びその他の宅地建物取引業者の相手方等の利益の保護に欠けるものとして国土交通省令で定めるものをしてはならない。

これまた読みにくいのですが、要するに宅建業者がやってはならない項目が宅建業法施行規則16条の12に書いてある事と理解して宜しいようです。まだろっこしいですが、宅建業法施行規則16条の12に違反したら、宅建業法47条の2の3項に違反した事になるわけです。この宅建業法47条の2の3項を違反したらどうなるかですが、これは宅建業法65条2項2号にあります。必要部分だけ引用すると、

宅建業法65条2項2号

国土交通大臣又は都道府県知事は、その免許を受けた宅地建物取引業者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該宅地建物取引業者に対し、一年以内の期間を定めて、その業務の全部又は一部の停止を命ずることができる。
二  第十三条、第十五条第三項、第二十五条第五項(第二十六条第二項において準用する場合を含む。)、第二十八条第一項、第三十二条、第三十三条の二、第三十四条、第三十四条の二第一項若しくは第二項(第三十四条の三において準用する場合を含む。)、第三十五条第一項から第三項まで、第三十六条、第三十七条第一項若しくは第二項、第四十一条第一項、第四十一条の二第一項、第四十三条から第四十五条まで、第四十六条第二項、第四十七条、第四十七条の二、第四十八条第一項若しくは第三項、第六十四条の九第二項、第六十四条の十第二項、第六十四条の十二第四項、第六十四条の十五前段若しくは第六十四条の二十三前段の規定又は履行確保法第十一条第一項 、第十三条若しくは履行確保法第十六条 において読み替えて準用する履行確保法第七条第一項 の規定に違反したとき。

少々煩雑なのでまとめると、

  1. 宅建業法施行規則16条の12に違反すると宅建業法47条の2の3項に違反した事になる
  2. 宅建業法47条の2の違反は宅建業法65条違反になる
  3. 宅建業法65条違反は業務停止を食らう可能性がある
こういう仕組みです。非常に平たく言うと
    宅建業法施行規則16条の12に違反すると最悪業務停止を食らう可能性がある
と言うことです。これがどれぐらいのハードルで業務停止に至るかは知る由もありませんが、宅建業者にとっては面と向かって持ち出されるとあんまり気持ちよくないぐらいのところかと存じます。


宅建業法施行規則16条の12の1号

ではではお待ちかねの宅建業法施行規則16条の12の1号を紹介しておきます。

イ 当該契約の目的物である宅地又は建物の将来の環境又は交通その他の利便について誤解させるべき断定的判断を提供すること。
ロ 正当な理由なく、当該契約を締結するかどうかを判断するために必要な時間を与えることを拒むこと。
ハ 当該勧誘に先立つて宅地建物取引業者の商号又は名称及び当該勧誘を行う者の氏名並びに当該契約の締結について勧誘をする目的である旨を告げずに、勧誘を行うこと。
ニ 宅地建物取引業者の相手方等が当該契約を締結しない旨の意思(当該勧誘を引き続き受けることを希望しない旨の意思を含む。)を表示したにもかかわらず、当該勧誘を継続すること。
ホ 迷惑を覚えさせるような時間に電話し、又は訪問すること。
ヘ 深夜又は長時間の勧誘その他の私生活又は業務の平穏を害するような方法によりその者を困惑させること。

この中でShimanami Ryo氏がツイートで紹介されていたのが、

    宅地建物取引業者の相手方等が当該契約を締結しない旨の意思(当該勧誘を引き続き受けることを希望しない旨の意思を含む。)を表示したにもかかわらず、当該勧誘を継続すること。
解説は不要と思いますが、業者がマンション・セールスを仕掛けてきたときに、明瞭かつ断定的に
    お断りします。そんな気は微塵もございません。
こう明言・断言すれば、その後は勧誘行為自体が業務停止につながる可能性のある違法行為と言うことになります。つうか宅建法ではそう規定されています。これは知らなかったですし、是非知っておくべき知識と感服しました。宅建業法施行規則16条の12の1号には他にも覚えておいて良さそうなものもあり、
  1. 迷惑を覚えさせるような時間に電話し、又は訪問すること。
  2. 深夜又は長時間の勧誘その他の私生活又は業務の平穏を害するような方法によりその者を困惑させること。

この辺は幅があってなかなか適用できないかもしれませんが、こういう実害を受けられている方も少なからずおられるでしょうから、実は業務停止に至る可能性のある違法行為であると知っておいて損はないと思います。


モデル想定問答

蛇足ですが作ってみます。業者と医師の問答形式にさせて頂きます。

    業者:先生にお勧めのマンションがあります。
    医師:マンションを買う気はまったくないし、勧誘もキッパリお断りします。
    業者:でも、とってもお得な物件で・・・
    医師:宅建法施行規則16条の12の1号のニ(ここは宅建法施行規則16条の12でもエエかも)に違反してます。通報させて頂いて宜しいですか?
ここで宅建施行規則を知らないトンマな業者が居たら、仕方がないから条文を読んで、業務停止になる可能性を伝えるぐらいでしょうか。まあ、この程度でも基本的にカエルの面にションベンで、その場は引き下がっても、後日知らん顔して「担当を変えて」襲来されるでしょうからガチャ切りの方がラクでエエかな? ヒマと時間がある時に対応される事があるようでしたら、一度お試しください。