ミステリアスな学会のミステリー

故篠崎純一先生

篠崎先生はごく親しい医師仲間からは「シノピー」と呼ばれていました。私は残念ながらそう呼べるほどの親しさはありません。ただ篠崎先生をよくご存知と言うか、腐れ縁みたいになっておられた知人医師からいつも「シノピーは・・・」と散々聞かされていたので、妙な親近感を勝手に抱かせて頂いていた先生です。たぶん本職は産婦人科で、3年前に高山にアルプスベルクリニックと言う診療所を開設されています。

産婦人科は「たぶん」と言うより掛け値無しの本業のはずなんですが、篠崎先生の名を高らしめていたのは山を愛する性格でした。山と言っても、私が年に10回足らず近隣の里山を息を切らしながら登るのとはレベルが違います。ヒマラヤつうかたしかエベレストも登られていた(間違っていたらゴメンナサイ、ヒマラヤに行ったのは間違いありません)と聞いています。プロでこそないものの本当のアルピニストです。ですから本業であるはずの産婦人科は山に登る資金作りに見えたりしてしまうのです。

篠崎先生は多くの人に愛されています。海外遠征ともなれば、長期の休暇が必要になり産婦人科でなくとも空いた穴を埋めるのは大変です。その穴を埋めるのに「シノピー先生の夢だから」と無理を押して多くの医師が進んで協力したとも聞いています。もっとも山の愛し方のレベルは常人の理解をチョットばかり越えた部分はあり、昼休みに「ちょっと裏山に・・・」と行って出かけたと思ったら穂高に登っていたなんてエピソードがゴロゴロ残されています。

山を愛し、多くの人に愛された篠崎先生でしたが、NHKニュースより、

8日午前8時ごろ、岐阜県高山市北アルプス奥穂高岳で登山をしていた高山市の医師、篠崎純一さん(49)が落石に当たり、およそ200メートルにわたって斜面を滑落しました。

篠崎さんは、およそ2時間半後に警察のヘリコプターに救助され、病院に運ばれましたが、頭などを強く打っていて、死亡が確認されました。

篠崎先生を知る人たちはショックを受けたと同時に、「ついに・・・」の感想も同時に抱いたとも聞いています。山男の歌を地で行った人生ではなかったかと思っています。謹んで御冥福をお祈りします。ここで覚えていて欲しいのは、

    篠崎純一先生は今年の5月8日の午前10時30分頃には死亡が確認されている
ミステリアスな学会

医療系に限らず学会は自由に作れます。極論すれば何人か集まって「これが学会だ!」とすれば学会の一丁上がりです。もちろんですが学会にも格は歴然とあって、医療系で格が高い一つの目安は日本医学会に属しているかなんてあります。他にも海外でも認められているかとか、そういう認知のために組織はもちろんこと、定期的に雑誌を刊行しているかなんかもあります。ピンとキリでは同じ学会でも大違いと言うところです。

そういう新興学会の中に

こういうのがあります。どうも「キリ」臭い学会で、学会ホームページにも関らず引用も禁じるとしています。引用なんていくらHPで禁じても著作権法に基づいた引用さえすれば無駄なんですが、因縁をつけられて喧嘩するのもアホらしいので「あえて」の引用は控えておきます。簡単に内容を紹介しておくと、とりあえず会長は、こんな人だそうです。経歴をwikipediaから引用しておくと、

立教大学卒業後、留学。ニューメキシコ大学大学院医学研究科などに進学

wikipediaによると立教大学卒業は卒業名簿から確認されているそうですが、ニューメキシコ大学のソースは、

  • メンズエッグ創刊号(1999年5月)〜2001年1月号
  • 居藤タカセプロフィール”. 2013年5月14日閲覧
だそうです。そうそう、会長は立教大学在籍中からプロのモデルとして活躍されていたそうです。モデル引退後は様々な経歴があるようですが、今は美容系に軸足を置かれているようです。その一つの発展系が日本統合医療美容学会と見ても良さそうです。どうも既製の学会とは一線を画す意気込みはあるようですが、その一方で型は踏襲している部分はあり、たとえば専門・認定制度もあります。他団体の資格をもって入会すると専門医とか認定医とかがもらえるシステムのようです。また学会公認の宣伝コーナーもあるようです。やってはいけないものではありませんが、なかなかの趣向と思いました。そういう中で役員紹介と言うのがあります。錚々たるメンバーと言いたいところですが、相当ユニークな紹介です。誰かが怪しげな店の女性の紹介写真見たいとか、プリクラじゃないかの評価をされていましたが、私もそれを否定するのがチト難しい気がしました。個人的にはフェースブックの写真みたいぐらいにさせて頂いても的外れではなさそうぐらいにしておきます。後の話の都合もありますから是非ご覧下さい。


ミステリー

どんな学会を作られようが自由なんですが、話題になったのはここに故篠崎純一先生が名を連ねられておられる事です。アルプスベルクリニックの院長で産婦人科医は世界で篠崎先生お1人しかおられません。私だけでなくもっと篠崎先生を知っておられる知人・旧友でも「なんで??」の疑問が舞い踊っています。篠崎先生は上記したように故人ですから直接理由を聞く事はできず、たとえばなんらかの浮世の義理で名を貸した可能性は否定できませんが、そんな可能性を考えるのも難しいと言ったところです。

一番のミステリーは日本統合医療美容学会は今年の5月8日に発足している点です。つまりは篠崎先生の命日です。学会発足に日に篠崎先生はお亡くなりになられているわけです。その事実を5月8日時点で学会側が把握出来なかったはありえるとは思います。そこは理解するとしても学会紹介の篠崎先生の肩書きです。

    アルプスベルクリニック元院長
ちょっと待った、ちょっと待ったです。篠崎先生が何故に「元院長」になられたかですが、山で遭難されてお亡くなりになられたからです。別になんらかの事情で院長職を自主的に退職されたわけではありません。つまりは学会側は篠崎先生が院長から元院長に代わられた理由を知っており、知っているにも関らずおそらく「院長 → 元院長」に訂正の上、現在も役員として紹介されている事になります。

役員以下の紹介方法はユニークと片付けても、篠崎先生の扱いはミステリーとしか言い様がありません。いや篠崎先生の扱いからして他の役員もどうなんだの疑問は当然のように湧いてきます。まさにミステリアスな学会のミステリーかと存じます。


情報追加

のんたん様から貴重な情報を頂きました。日本統合医療美容学会発足時(2013年5月11日 06:27:05)の役員紹介のキャッシュが出てきました。

ここには故篠崎純一先生のお名前はありません。そうなると、5/11以降に故人である篠崎先生を「元院長」として役員にされた事になります。ますますミステリアスと存じます。


情報追加2

WayBackMachineの情報も発掘できたので、

日付 事実
5/8 ・篠崎先生遭難死亡
・日本統合医療美容学会発足
5/11 Googleキャッシュに篠崎先生の名前なし
5/20 WayBackMachineに元院長として篠崎先生掲載


篠崎先生が日本統合医療美容学会の役員として掲載されたのは、5/11から5/20の間に行われたと考えられます。