ちょっと推測

昨日の訴訟記事の方を少し触れておきます。昨日の読売記事は刑事訴訟に関するものでしたが、同時に民事訴訟も起されています。これはうろうろドクター様が保存されている4/2付産経記事の事実関係部分です。

生徒はうつ病などを患っており、2009年4月19日夜、両親に薬を大量に服用したと告げ、意識もうろうとなった。両親は車で生徒を大学病院に運んだが、神経・精神科の医師は、眠っている生徒を車外から見ただけで検査せず、生徒を帰宅させた。翌日も容体が回復しないため、両親が数回、診察を希望したが、医師は電話で「必要ない」などと回答した。生徒は21日朝に死亡。死因は急性薬物中毒とされた。

刑事訴訟の方は4/11付読売記事にありますが、こちらも事実関係部分です。

女子高生は03年頃から、うつ病を患って通院しており、医師は主治医だった。09年4月19日夜、女子高生は北九州市小倉北区の自宅で処方されていた睡眠導入剤などを大量に服用して意識がもうろうとなり、両親が車で搬送した。

 同日午後11時半頃、当直勤務だった医師は病院の駐車場で車の外から、車中で寝ている女子高生を見て、「そのまま連れて帰って大丈夫」などと話し、両親が治療を求めたにもかかわらず、これに応じなかった。

ご不幸にも亡くなられた女子高生は事件の起こった2009年4月時点で18歳となっています。鬱病の通院が始まったのが2003年ともなっていますから、12歳ぐらいから6年の経過があった事が確認できます。この間、ずっと産業医大を受診されていたのか、そうでないのかは情報がありません。事件の経過を2つの記事からまとめてみると、

Date Time 経緯
2009.4.19 睡眠導入剤を大量に服用したと両親に告げる
意識が朦朧となったので両親がクルマで産業医大に搬送
23:30 当直中の主治医が駐車場で様子観察
2009.4.20 時刻不明 両親が電話で診察を求めるも不要と返答
2009.4.21 死亡


一つ引っかかったのは最初の搬送時点です。意識が朦朧となった女子高生を両親は産業医大まで搬送したのは事実です。でも何故に、
    病院の駐車場で車の外
こういうシチュエーションで診ることになったのだろうです。時刻は23時半ぐらいとなっていますから、たまたま当直医が夜中の駐車場を散歩していて出くわしたの可能性は低いと考えます。この辺の経過を常識的に考えると、
  1. 両親は産業医大に電話連絡を行う
  2. たまたま主治医が当直だったので電話が回った?
  3. 当直医は応需を承諾
こういう経過を考えます。夜間の救急なので自家用車で搬送するにしても、
  1. 救急部入口付近にクルマを着ける
  2. 両親が来診を受付に告げる
意識朦朧状態の女子高生ですから、両親だけで救急外来に運ぶのが無理であれば適当に人手を調達し、ストレッチャー等を使って外来に運び込むんじゃないかと思います。そこから母親は患者に付き添い、父親は駐車場にクルマを回す段取りです。でもそうなっていません。これがどうにも不思議です。どうして患者を救急外来に運び込まなかったのか理由が思い浮かばないのです。

ではでは電話連絡を行わずいきなり搬送したのはあるかもしれません。ただその場合でも以下の手順はそんなに変わらないと思われます。どう考えても駐車場で診察するシチュエーションが不可解です。次のところも不思議です。

    両親が数回、診察を希望したが、医師は電話で「必要ない」などと回答
精神科分野はお世辞にも得意と言えないのであくまでも感想ですが、駐車場の診察と言い、電話応対と言い、そこまで拒むのはチト不可解です。そうなると考えられるのは主治医にそうするだけの理由があったんじゃないかです。患者は6年前から鬱病を患っており治療中です。鬱病のリスクの一つに自殺企画があります。これは直面した人から聞いたことがありますが、周期的にくり返されます。この患者もまたそうであったとしても不思議ないんじゃないかです。今回の睡眠導入剤大量服用にしても、これが初めてではなく何回目かの出来事じゃなかったのだろうかです。


たしかに両親は心配して患者を病院に運んでいますが、記事にある

    両親が治療を求めたにもかかわらず、これに応じなかった
この文章の印象とは違う状況があった気がしてなりません。普通に心配していたのなら駐車場に患者を置いたりせずに、とにもかくにも救急外来なりに運び込むんじゃないかです。さらに言えば医師だってヒョコヒョコと駐車場まで足を運ぶとは思えません。駐車場で切羽詰った状況になっていたとしたら別ですが、それでも駐車場に行くとしても、次に行われる作業はなんとかして駐車場から運ぶほうに段取りが進行するからです。

つまり両親にしろ主治医にしろ幾度も経験した状況であったんじゃなかろうかです。まるっきり初回でこの対応はどうしても信じられないからです。かなりの経験があったので両親もクルマから患者を降ろさず、主治医もまた救急外来に運び込まずに駐車場まで出かけていったの推測です。そうでも考えないと両親にしろ、主治医にしろ駐車場で診察と言う状況が発生しないように思います。

その上での主治医の判断の是非は別のお話になりますから、その点は御留意頂きたいと存じます。