消えたガミラス艦隊

今日は完全に息抜きで、宇宙戦艦ヤマトの第1シリーズのお話です。

ガミラスは強大でした。またガミラス艦も強力でした。第1話の冒頭シーンで、沖田艦長率いる地球艦隊が冥王星ガミラス艦隊に決戦を挑みますが、まったく刃が立たないシーンがあります。地球側の戦艦主砲が命中しても跳ね返され、一方でガミラス艦の主砲は地球艦隊を切り裂いてしまうです。まるで旧日本陸軍の戦車みたいな状況です。

ガミラス艦隊は艦としても強力なだけではなく、艦数も膨大であったとして良いでしょう。第1話で地球艦隊を粉砕した冥王星ガミラス艦隊は後に再登場します。ヤマトが冥王星前線基地を襲撃した時に登場したものと考えています。確かにテンコモリいたと思っています。この時のヤマトもガミラス艦隊を単艦で軽々と粉砕したわけではありません。

あの反射衛星砲の被害もあったとは言え、正面から単艦で戦えば危なそうな印象です。どうやって切り抜けたかはご存知でしょうから省略しますが、実はガミラス大艦隊との正面からの艦隊決戦はこの時だけだった記憶しています。古い記憶なので間違いがあったら御容赦下さい。


次にヤマトがガミラス大艦隊と遭遇したのはバラン星だったと思います。ドメル指揮下の太陽系方面艦隊の演習に紛れ込んでしまうぐらいの設定です。この時もガミラス大艦隊から逃げるのだけで精一杯で、確かワープで窮地を脱したはずです。ところがドメルはこの大艦隊をヤマト戦には使った形跡は乏しいと思っています。バラン星でドメルが駆使した戦術も有名ですから省略します。

あの時に太陽系方面艦隊がどうなったかは描かれていなかったと思いますが、ドメルもゲールも帰還できたぐらいですから、かなりは逃げ帰れたんじゃないかと思っています。仮に巻き添えで大損害を受けていたとしても次があります。七色星団です。


七色星団の時にドメルは精鋭部隊を召集します。三段空母3隻と戦闘空母の計4隻です。なおかつこれらの空母はそれぞれ別の戦線からの引き抜きです。つまりガミラスは地球以外に少なくとも4つの戦線を持っており、そこには当然の事として冥王星の前線基地程度の艦隊があるとする方が自然です。そもそもドメルだって、地球以外の戦線の英雄であり、バラン星の艦隊もドメル子飼いの艦隊でさえありません。しかしドメルは少数精鋭の機動艦隊のみを率いて決戦に臨みます。これも有名な戦いですから、経過は省略します。

さらにとなると、ガミラス本星の決戦になります。ここでは天井からロケットがヤマトに降り注ぎましたが、ガミラス大艦隊が残っていたらまず艦隊決戦でしょう。しかしデスラーが直接采配を行った本土決戦でもガミラス大艦隊は出現しなかったとしても良いと考えます。


へぇへぇへぇ、ガミラス大艦隊がヤマトに決戦を挑まなかったのは波動砲のためと言う見方もあります。ドメルはバラン星の失敗で相当意識していたのは間違いありません。波動砲は確かに強力で、一撃必殺のジョーカー兵器ではありましたが、欠点もあります。一発撃つのに全動力を集中させる必要があり、連射も効きません。

連射についてはガミラス側も情報を把握しきれていない可能性が残るにしろ、あれは艦首砲です。つまり接近戦になれば、正面の敵を粉砕できても両側面及び後方からの敵には無力です。それぐらいビッシリ取り囲むぐらいの艦数は余裕でガミラスにあるはずです。とくに終盤は対ヤマト戦にガミラスの命運がかかっている設定でしたから、損害を恐れずに波状包囲攻撃を行なう選択はあったはずです。そういう戦術を取れるキャラ設定がデスラーでもあります。

もう一つ理由はあります。ヤマト艦載機の無謀なほどのパワーアップです。前ヤマト型の地球艦隊戦艦の主砲でも弾き返されたガミラス装甲が、艦載機の機銃掃射程度で切り裂かれるなんてのがあった記憶しています。この点はやや怪しい記憶なんですが、ヤマト艦載機を意識しすぎた・・・にしては無理がありそうな気がします。


こんな些細な点はストーリーの御都合主義で片付けても良いのですし、そもそも正面から単艦でガミラス大艦隊を全滅させるほどの能力があれば、知恵と勇気を揮う部分はなくなります。と言って正面から来られるとその回が「宇宙戦艦ヤマトの最後」になってしまいます。それでもあえて理由を考えるのが面白味です。理由として考えられるのは、

    全39話の予定が26話に短縮された
理由はハイジに叩きのめされたです。ガミラスよりハイジの方がヤマトにはさらに強大な敵であったと言う事です。問題は短くなった13話のプロットです。私は漠然と銀河鉄道999風の星巡りじゃないかと思っていましたが、ひょっとしてガミラス主力艦隊壊滅のエピソードも含まれていたんじゃなかろうかです。それこそデスラーの厳命下、猛烈な包囲攻撃を仕掛けたです。

これを定番の機知とか、何らかの新しく手に入れたツールを活用して一網打尽に粉砕してしまったです。だからドメルが命令を受けた時には、残っていた機動部隊ぐらいしか使えなかったんじゃないかです。ガミラスナチスドイツをモデルにしているのはミエミエですが、七色星団はバルジ、ガミラス本星はベルリン攻防戦みたいなものです。ここで消えた13話のうちにスターリングラードとクルスクと、ノルマンディーをあわせたようなエピソードがぐらいがあったんじゃないかです。別にマリアナやレイテでも構いません。

ここが欠けたので、ガミラス大艦隊がストーリーの都合で消えちゃったです。ほいでもこれで良かったのかもしれません。私のように重箱をわざわざ穿るような人間がいなければそれほど問題視される個所でもありませんし、先にガミラスの圧倒的な大艦隊が一挙に壊滅する話が出てしまうと、七色星団の決戦の話の価値が下がってしまう気もします。

それにしても消えた13話は何が出る予定だったのかは、今となっては妙に気になるところにはなります。