年末に起こったワクチン不足問題?

12月に入って突然起こった日常診療の重大問題。

    ポリオワクチンが手に入らない
4種混合(DPT-P)は発売直後から品薄も良いところでしたが、IPVも突然の品薄どころか「今年は事実上販売終了」のお知らせです。これもどうにも全体像がつかみ難いのですが、ワクチンの分布もムラムラとされています。このムラムラが都道府県単位なのか、市町村単位なのか私の知見では不明ですが、とりあえず神戸では手に入らないです。

どんだけ足りないかと言えば、年内の入手がほぼ無理と判断し、2回目や3回目のIPV接種を他院に振るところが出てきています。まあ、正直なところ、そうやって流れて、頼られてきても振れる袖が殆んどないのはうちも同じです。どう対応しようか、残り少ないワクチン本数とニラメッコと言うところです。先日サノフィのMRの訪問があって、

    年明けにはなんとか大丈夫と思います
MRも御苦労様な事ですが、この言葉をどれだけ信じるかになります。もちろんサノフィのMRが私を騙そうとしているとは思ってもいませんが、こういう供給見通しは、トドの詰り蓋を開けてみないとわからないからです。MRの言葉をどれぐらい信じるかは自己責任と言う事です。

12月に入って突然神戸の供給が逼迫を越えて途絶した理由のアングラ情報として、どこかの自治体が集団接種のために大量購入したという話があります。他の地域のワクチン供給が途絶するほどの大量購入も問題はあると思いますし、それに応じて在庫を根こそぎ売り払った問屋もどうかと思うところもあります。それでも大口客は大事にされるのはアリですから、嘆いたところでどうしようもありません。問屋にしても今後の大口顧客からの購入指名にも関ります。商売ですからね。


なんと言うか、新たなワクチンが供給される時にはこの手のドタバタはいつも起こります。アクトヒブ然り、サーバリックス然りです。ただ何回経験しても有効な対応策は思い浮かびません。強いて言えば大量の在庫を常に抱えおくですが、零細医療機関にとっては負担の重いお話です。払いの問題もありますし、なによりワクチンを保管しておく場所がありません。それに、そんな事を一斉にやればまたぞろ供給不足が起こります。

あえて正論的な事を書いておけば、アクトヒブやサーバリックスは当時は任意接種でした(今でも位置付け上はそうですが・・・)が、ポリオはゴチゴチの公費接種です。不安を招かない安定供給を行う事が望まれるとしたいところです。もっとも日本脳炎のドタバタも前例としてありますから、たいした問題としてとらえられていないのかもしれません。いずれにしても迷惑なお話です。

それでも何ヶ月かすれば安定供給が確立するのも見えていると言えますから、それまでドタバトとやり繰りしていくしかないかもしれません。無策といえば無策ですが、それも開業医のお仕事なんでしょう。年明けにはサノフィのMRの予言通り解消しますように。