得票数雑談

とりあえず2000年以降、小選挙区が300、比例区が180になってからの得票数の推移です。

2000 2003 2005 2009 2012
有権者 100492328 102306684 103067956 103949441 104360193
投票数 62757858 61193216 69532168 72003558 60179888
投票率 62.5 59.8 67.5 69.3 57.7
非投票者数 37734470 41113468 33535788 31945883 44180305
選挙区 自民 24945807 26089327 32518390 27301982 25643309
民主 16811732 21814154 24804787 33475534 13598733
その他 21000319 13289735 12208991 11226042 20937846
比例区 自民 16943425 20660185 25887398 18810217 16624457
民主 15067990 22095636 21036425 29844794 9628653
その他 30746443 18437395 22608345 23348547 33926778
自民 選挙区 177 168 219 64 237
比例区 56 69 77 55 57
民主 選挙区 80 105 52 221 27
比例区 47 72 61 87 30

まず投票率の長期推移なんですが、これは総務省資料の目で見る得票率からグラフを引用しておきます。
おおよそ70%前後の投票率があったものが、1996年の総選挙で急激に落ち込んでいるのがわかります。何があったかと言いたいところなんですが、選挙制度で言えば1996年から小選挙区比例代表制が導入されています(この年は小選挙区300、比例200)。中選挙区制がなくなった年なんですが、ここから投票率が以後3回に渡って60%ソコソコに落ち込みます。 その後の2回は回復傾向を示していますが、前々回は自民が圧勝劇を演じた小泉内閣による郵政選挙であり、前回は民主が政権奪取を行った選挙です。投票率が上ったため投票数も増えているのですが、
  • 2005年は2003年より約830万票増加
  • 2009年は2005年より約250万票増加
  • 2012年は2009年より約1200万票減少
こんな感じです。2005年の郵政選挙の民主の得票も良く見ると2003年に較べて小選挙区では300万票近く増やしていますし、比例でもほぼ横這いで100万票ぐらいしか減っていません。ただし自民は小選挙区で650万票、比例区で500万票増やしています。大雑把に言うと小選挙区では得票数の増えた分の7割は自民に、3割が民主に流れ、小選挙区制の特性で自民圧勝劇が起こったとも見れそうです。

こういう感じで得票結果を並べ直すと、

選挙区 得票数増減 その他 得票数増減
自民・民主
合計
自民 民主
2004 8338952 -1080744 9419696 6429063 2990633
2009 2471390 -982949 3454339 -5216408 8670747
2012 -11823670 9711804 -21535474 -1658673 -19876801
比例区 得票数増減 その他 得票数増減
自民・民主
合計
自民 民主
2004 8338952 4170950 4168002 5227213 -1059211
2009 2471390 740202 1731188 -7077181 8808369
2012 -11823670 10578231 -22401901 -2185760 -20216141

2004年選挙も2009年選挙も自民。民主に投票が集まっています。どう集まっているかと言えば小選挙区で見ますが、
  1. 投票者増加分
  2. 自民・民主以外の「その他」政党の減少分
2004年選挙は自民がこの分を民主よりより多く集めて圧勝。次の2009年選挙はさらに増えた分を民主が集めただけではなく、2004年に自民に投票していた分まで集めて圧勝です。とくに小選挙区ではそんな感じです。2004年と2009年で小選挙区で自民と民主が新たに増やした得票数は1287万票です。これが2012年にどうなったかですが、2153万票の減少です。

失われた小選挙区の2153万票なんですが、

  1. 得票者が1182万票減少
  2. 自民も165万票減らしている
残りの1000万票は民主からその他に流れたです。別にたいした分析ではありませんが、いわゆる無党派層にも2タイプありそうな気がします。これもまた単純な分類ですが、
  1. いつも投票に行く無党派層
  2. 盛り上がった時に投票に行く無党派層
2004年、2009年は盛り上がるだけの要素があり1200万票ほど無党派層の2.のタイプが投票し、2004年は自民を勝たせ、2009年は1.のタイプの無党派層も加わって民主を勝たせたです。2012年は2.のタイプの無党派層にやる気が起こらず1100万票ほど消失。これは2009年で時点では民主投票者が多かったと考えられ民主の投票は大幅に減少となった。

さらに1.のタイプの無党派層も民主から逃げ出したです。ただ1.のタイプの無党派層も自民に向かったとは言えず、多くは「その他」に流れ、とくに維新に流れた分が多かったんじゃないかです。2009年の民主の1.のタイプの無党派層の受け皿に民主はなったとは言え、2.のタイプまで引き付けるには魅力に欠け、小選挙区では民主と維新に分散した票では微減の自民の敵ではなかったぐらいの感じになります。


最近の選挙では「風」があれこれ言われますが、これはどうやら

  • いつも投票に行くのが1000万票ぐらい
  • 興が乗れば投票に行くのが1000万票ぐらい
小さな風はいつも投票に行く者が起こす風であり、大きな風は興に乗れば投票に行く層まで動いた時ぐらいに感じます。こうやって見ると2009年の民主は大きな風を目一杯受けて勝った事がわかります。そして今回は思いっきり萎んだです。次の選挙では興に乗れば投票に行く層まで動く風が吹くでしょうか、それとも吹かないでしょうか。まあ、そこまでブログが続くかどうかが、そもそもの問題です。3年なり、4年は長いですからねぇ。