あるベルトにまつわるお話のムック

トコちゃんベルト

トコちゃんベルトなるものがあるそうです。トコちゃんドットコムで通販でも買えるようですが、見る限りヘルニアバンドと類似のもののようです。お値段は5250円から8925円までの定価がつけられているようです。ベルトの発想の元は妊娠中〜産後「腹帯&ウェストニッパー&ガードル神話」の 嘘ホントに、

「お産婆さん」のさらしの腹帯を巻く技術を現代の科学的技術でアレンジしたもの。 (特殊素材の組み合わせと特殊な形)

まあ妊娠出産に伴う諸症状、とくに腰痛にはある程度効果はあるそうで、その点は否定する材料も無いので認めても良さそうです。そこは良いとして、

腰痛を和らげ、しかも、妊娠中毒症を引き起こさないものは、「トコちゃんベルト」と、腰部保護プロテクター(犬印)の二つしかありません (※1 最近、類似品がたくさん出ているので注意してください。)。プロテクターは、薄いアウターにもひびかず、外出時には重宝しますが、腰痛予防の最も大切な時期である産後の入院中には、とても着用できないのが最大の欠点です。

他社類似性品がそれほど劣悪なものであるかの情報はありませんから、この点については保留とさせて頂きます。


二つの事件

一つ目は5月に起こったものです。

ちょっとだけtogetterへの感想コメントを拾っておくと、

  • 嫁がトコベル愛用者だったんですが、ベルトが届いた時に一緒に入ってた冊子が恐怖心煽りまくってて気持ち悪かった記憶がありますね。中には骨盤歪んでるとサチュレーションが死人か?ってレベルまで下がってる例があってお茶噴きましたね。と同時にこんなん使わせて大丈夫か?って不安になりました。
  • ただベルトを使い始めてからは明らかに調子が良くなったらしく、それならいいんじゃない?と放っておきましたよ。特に健康被害もなさそうですしね。余計な胡散臭さを追加しなくても効果は実感できるんだからそれでいいんじゃないでしょうか?

この時はこの程度で収まったわけです。後は興味があればリンク先をお読み下さい。これが今年の5月頃のお話です。今回のものはおそらくこれで、

その中で火種になったであろう渡部氏のツイートは、

整体を学ぶ助産師の中で、発達生涯の子を持つ者の割合が異様に高く、彼女達の体を診るたびに、胎内環境・産道のいずれも児には負担だったんだろうなと感じさせられます。彼女達は自分と子どもの体を何とかしたいとの思いで、整体を学び始めた人がほとんどです。

後は興味のある方はお読み下さい。渡部氏が大奮戦しておられる状況が確認できます。そうそうもう一つ引用しておかないと後の話に不便ですから、

「トコちゃんベルトを買いたい」とのニーズに応えるためには黒字経営を続けなければならないし、従業員の雇用も守らないといけないですからね。給与所得者にはそれが「商売っ気」に見えるのでしょうけどね。

ツイッターは非公開に変更

さてなんですがこのベルトについての論争がツイッターであったのですが、私の目に付いたのは5月11月の2回です。これはある程度定期的なものかもしれません。でもってちょっと内容を確認しようと思って渡部信子氏のツイッターを見てみると、

@tocochiroさんのツイートは非公開です。
許可されたフォロワーのみが@tocochiroさんのツイートやアカウントを見ることが出来ます。[フォロー] ボタンをクリックしてフォローリクエストを送りましょう。

ありゃ非公開です。これが前から非公開であるのか最近なのかは確認するのが厄介なんですが、キャッシュ保存版)では拾う事が出来ます。非公開のツイートはGoogleでもキャッシュに出来ないのではないかとまず考えます。キャッシュの最終ツイートは10月29日なので、このあたりまでは公開であったのだろうはまず言えます。

もう一つ傍証はあって、koume様が11/17にリツイートした分があります。内容は、

7.私に「騙している、不安を煽っている、悪徳商法だ」と言いたい人は、今後は実名を名乗って公的機関にお伝えください。

「7.」って書いてあるぐらいですから、その前に「1.」から「6.」まではあった事になります。またツイート内容からして非公開の仲間内に発信しても意味が乏しいものであり、11/17時点では普通に公開していたものを突如非公開にされたと考えるのが妥当かと判断します。ちにみに下書きを書いているのは11/18ですから、昨日なら読めた可能性があったかもしれません。チト残念です。


商売っ気

5月と11月の事件の共通点は産科医と精神科医に直接絡んだことが発端です。わざわざ平地に乱を起したような格好です。外野から見れば「なにが目的?」しか感じないのですが、事件は巻き込まれたのではなく絡んでいっているです。当然「なぜ」の疑問が出てくるところです。ベルトは冒頭で書いたように効果がある事は否定されていません。私は詳しくは存じませんが拾う限り効果について肯定的な意見が多く、真っ向否定するものは余り目に付きませんでした。まずこの点は重要なポイントですからもう一度確認しておきます。

話はその上でのものになります。渡部氏も「商売」の言葉を持ち出されておられるので、私も使わせて頂きますが、販売戦略として付加価値を高めるは常套手段です。ベルトについて言えば効果があるのは先に確認されているようですから、付加価値として考えられそうな事は、

  1. なぜ効果があるのかの医学的な説明(理論の整備)
  2. 腰痛だけではなく他のものにも効果がある事の説明(理論の拡張)
この2つが基本になるのは自然の流れかと存じます。まず使用個所が骨盤部位が中心であるので理論の整備は骨盤中心になるでしょうし、使用目的が妊娠出産であるので理論の拡張もその方面が中心になるのもまた自然の流れかと存じます。まさか水虫に効くは無理がさすがにあるからです。その辺の一つの研究成果として女性の腰痛&骨盤ケアと言う文書を公開しています。

効能の理論整備・拡張のために勉強はされたとは思いますが、どうもある時期から骨盤原理主義者に変貌された気がします。妊娠出産に関するトラブルの諸原因はすべからく骨盤に由来するです。これが渡部氏の脳内で完成され、不抜の信念がお生まれになったようです。商売としての提唱者はそれぐらいの自信はある意味必要とは思いますが、相手が誰であっても通用すると強い強い確信を抱かれたのだと推測します。

渡部氏が唱えるの骨盤原理理論を聞けば、医師であろうが誰であろうが直ちにひれ伏すであろうです。これも根拠はベルトで効果があった人の熱い支持ではないかと考えます。こういう自信満々の状態で産科医や精神科医にお絡みになられたです。絶対の自信を持って相手は直ちにひれ伏すと思っていたのが、ところが案に相違してひれ伏してくれなかった。

それが予想できない心理状態がチト怖いのですが、とにかく心外な反応がツイッター上に巻き起こってしまったです。おそらくしばらくは防戦反撃に努めたのでしょうが、これもまた相手が次から次に湧き出てくる状況に形勢不利を見たようです。いわゆる炎上状態ですが、そうなってしまえば誰であっても収拾は困難です。結局のところツイッターを非公開にして「人の噂も75日」作戦に転じざるを得なくなったです。個人的には5月の時にそうなると予測できそうなものですが、11月に再戦を挑んだ渡部氏に心理状況が理解し難いところです。

なにか骨盤由来の精神状況の変化でも起こられたのでしょうか。


理論のタネはカイロ

渡部氏は助産師であると同時に整体にも詳しいとされており、信奉者からは骨盤ケアの第一人者の評価を得ているようです。この整体と似たものにカイロプラクティック(カイロ)なるものがあります。これが同じものかと言えばそうではなく、カイロプラクティック辞典には、

往々にして、「あ〜マッサージ?」とか「整体だよね?」といわれてしまいます。

つまりはカイロはマッサージや整体と一緒にしてもらっては困るとしています。ではカイロとはなんぞやですが、これもカイロ辞典から、

主に手によってサブラクセーション(背骨・骨盤などのゆがみやズレなど原因となっている自然治癒力をさえぎっている箇所)をアジャスト(矯正)して人間本来の自然治癒力を戻してあげる手技です。

整体とどう違うかについての知見はこれ以上はありませんし、あんまり勉強する気もありません。でもって渡部氏ですが、渡部氏の公式ブログである魔女のひとりごとの2012.10.18付サヨナラ・トコビルに、

トコちゃんベルトアドバイザー養成セミナー

アドバイザー養成ねぇ、キッチリ商売の手順は踏まれているのが良くわかります。それはともかく、

8名の受講生とカイロプラクティックセミナー

どうも渡部氏は整体でなくカイロが主体であると見なして良さそうな記述です。そもそも渡部氏の本拠地は「トコ・カイロプラクティック学院ビル」です。カイロなら渡部氏の主張は理解しやすくなりそうな気がします。英国カイロプラクティック協会が、”Trick or Treatment”のSimon Singhを訴えるからですが、

現代のカイロプラクターたちは治療を背骨の問題に限定していると思うかもしれない。しかし、事実は違う。彼らは未だにめちゃくちゃな考えを持ったままだ。原理主義者たちは、あらゆる病気を治せると言っている。さらには、多くの穏健なカイロプラクターたちは、自分たちの領分を大きく逸脱している。英国カイロプラクティック協会は、少しの証拠もないのに、疝痛や睡眠異常や食事異常や耳の感染症気管支喘息や長泣きなどの子供の治療の助けができると主張している。この協会は、カイロプラクティックの本職のちゃんとした人々のものだが、なお、こんなボーガスな治療法を宣伝している。

英国カイロ協会が主張している

これと類似のものと考えれば「ああ、なるほど!」と納得できるわけです。


5月と11月の騒動の遠因

渡部氏が5月と11月の2回に渡りツイッターで頑張られた原因の一つがおぼろげですがあります。もう一度渡部氏のツイートを引用しておきます。

    「トコちゃんベルトを買いたい」とのニーズに応えるためには黒字経営を続けなければならないし、従業員の雇用も守らないといけないですからね。給与所得者にはそれが「商売っ気」に見えるのでしょうけどね。
企業ですから黒字経営を求めて当然です。うちだって黒字を続けるために努力はしています。ただ「より一層」の理由がどうやらありそうな徴候があります。これも先ほど引用した公式ブログ「サヨナラ・トコビル」ですが、これは5年前に購入したものを取り壊すためのものです。この辺の経緯は9/29付産褥助産院を作ろう!に詳しく書かれています。

寒い京都の2月、健美サロン渡部での施術日の昼休み、
「受付から『不動産屋さんから、院長に話をしたい』との電話です」と。
何事かと思いつつ電話に出ると
「北隣の土地、売り出してますんや。安いでっせ、買いまへんか?」

2月に隣接する土地をビルごと買わないかの話があり、これを了承したようです。ちなみに現在のビルは5年前に購入したものであり、ここを念頭において次を読んで頂くと興味深いところです。

  • ↓古ビル付きの土地、一億円を超える物件
  • 白い方がトコ・カイロプラクティック学院ビル↑ 電線が目障りやな〜
    これを買った5年前のことを思えば、ずいぶんと安い。

新しく買うビル(つうか土地)が1億円、5年前に買った現在の本拠は、今回の物件に較べて1億円が「ずいぶんと安い」としていますから1億5000万〜2億円ぐらいでしょうか。また現在の本拠地は土地及びビル代であって、内装費はまた別と考えて良さそうです。内装費も3階建てのビルならお安くありません。でもって、両方をあわせてどうするかと言えば

2014年の3〜4月には、新しいトコビルが完成予定。

2つのビルを取り壊して新しいビルを建設されるようです。これも建設費は新たな物件の購入費とまた別途と考えるのが妥当です。いやぁ、それだけの投資を回収できるとは、実に商売繁盛で羨ましいと思います。商売繁盛であるのは宜しいですが、この投資のための新たな宣伝が必要とお感じになられたんじゃないでしょうか。

さすがに渡部氏を以ってしても結構な投資であるようで、投資分の早期回収のための販路拡大を目指されたんじゃないかです。ベルトはやはり主力製品だと思われるからです。そういう宣伝に、どれほどツイッターをご利用されていたか確認したかったのですが、上述したように非公開となってしまい、残念ながらこれは出来ず、わずかにtogetterに残された戦績だけを御紹介させて頂いています。

渡部氏が期待したほどの効果があったかなかったかは、存じ上げるところではありません。もしかしたら5月の騒動の後に売上が伸びた成功経験が11月の再戦につながったのかなぁ?