ハニートラップとハニーハンティング

古典的ハニートラップ

あくまでも聞いた話であり、そういう風な話が医師の間で伝えられているぐらいに御了承下さい。今もそういうところはありますが、医局華やかなりし頃も地方病院への異動は当たり前の様にありました。独身男性医師にも当然以前にあり、単身と言うか、1人で赴任するわけです。1人暮らしは何かと不便ですし、勤務医、とくに若手の忙しさは、そりゃもうの世界です。

そういうところにヒョイと地元の女性が登場します。看護師の時もあり、そうでない時もあります。1人暮らしで侘しいところですから、ついつい仲が良くなり、実際に関係を持ってしまう、ないしは関係を持っているんじゃないかと疑われる関係になります。男性医師の方は結婚まで考えていなかったはずが、ある日気がつくと逃げられない状況になっているです。次の異動で逃げたと思っても大学医局まで捻じ込まれて、めでたく御成婚みたいな感じです。

結婚は結婚までの過程も大事ですが、それより大変なのは結婚してからなので、そういうやや不本意な形で結婚となっても、それが幸せか不幸せかはまったく別のお話です。この手のお話は、どこの大学医局でも転がっていると思います。古典的なハニートラップです。もちろん地方勤務時代に交際のあった女性と真剣に愛を育んでゴールインした話も沢山あり、ハニートラップとされるのはごく一部の伝説とはさせて頂きます。


官製ハニーハンティング

10/20付読売yomiDrより、

女性医師定着へ「出会いの場」…秋田

 医師不足の問題を抱えるなか、女性医師と未婚男性との出会いの場をつくり、女性医師の未婚・晩婚化の解消で県内定着を促そうという動きがある。秋田県の「医師不足・偏在改善計画策定部会」(部会長=坂本哲也・県医師会副会長)が、16日の会合で計画案をまとめた。

 県医師確保対策室によると、県内の女性医師数は2000年に258人で全医師の12・0%だったが、10年は361人で15・6%を占めた。秋田大学医学部医学科(秋田市)では女子学生が4割を占め、女性医師は増加傾向にあるという。

 部会では、秋田大医学部長や地域の中核病院長、自治体の首長らが昨年12月から計画案を練ってきた。その中で、委員から「未婚の女性医師が増えている」「女性医師は出会いが少なく、男性医師との結婚が多い」と現状を問題視する声があった。

 これを受け、部会では女性医師と他業種の男性との出会いの場を設ける計画が提案された。委員からは「好きで一人でいる女性もいるのでは」などと否定的な意見も出た。だが、「少々やり過ぎと言われるかもしれないが、行動を起こさなければいけない」(坂本部会長)といった肯定的な意見が大勢を占め、おおむね了承された。

 部会では、若手研修医のキャリア形成支援なども含めた28案が了承された。11月の県地域医療対策協議会でも了承されれば、県が具体的に事業内容を検討する。出会いの場を設けるほか、県などでつくる「あきた結婚支援センター」の活用が考えられるという。

 8年前に同僚と結婚した秋田市に勤務する女性医師(39)は「病院外との接点が少なく、男性医師以外と出会う機会がない。周りも同僚同士の結婚が多い」と話す。さらに「結婚しなくても収入面での不安はないので、結婚を重視しない女性医師も多いのでは。医師同士だから結婚観、価値観も共有できるというわけではない。他業種の男性と出会える場があるのは、いいと思う」と話した。

 秋田大医学部の女子学生(21)も賛成だ。関東地方出身の先輩の女性医師は「秋田県にいたら、男性医師も少なく結婚できない」と卒業後、実家に戻ったといい、「私たちの間でも『将来、結婚できるのか不安』という話になる」と話す。「合同コンパ医学生と明かすと、男性側は構えてしまうこともあった。『女性医師との出会いの場』として設定されるなら、参加してみたい」と話した。

ちょっとだけ絡んでおくと、

    「女性医師は出会いが少なく、男性医師との結婚が多い」と現状を問題視する声があった
コレコレ、女性医師が男性医師と結婚する事を問題視までしては行き過ぎだと思います。そこまで言ってしまえば、この世の職場結婚自体が問題であるとなってしまいます。それでもある調査によれば女性医師の7割が男性医師と結婚していると言うのがあり、従来男性医師との結婚が多いと言うのは事実として良いでしょう。

女性医師の未婚・晩婚化については、従来の結婚適齢期(現在はかなり変わっていますが・・・)がキャリアアップの時期に重なり、どうしても遅くなってしまうというのもあると思っています。逆にサッサと結婚すると言う事はキャリアアップをあきらめ、場合によっては医師業を行わずに家庭に入ってしまうなんて事もあったとされます。さすがに医師ですから完全に専業主婦のままは少ないとは思いますが、一線で働くというより非常勤でボチボチと働くような形態です。

もう一つ要因はあると思っています。29歳以下の女性医師の比率の推移です、

年度 総数 男性医師 女性医師 女性医師
の比率
1994 25803 19482 6321 24.5%
1996 26906 19753 7156 26.6%
1998 26487 18992 7495 28.3%
2000 25285 17488 7797 30.8%
2002 25846 17339 8507 32.9%
2004 25605 16576 9029 35.3%
2006 25695 16506 9189 35.8%
2008 25961 16578 9383 36.1%
2010 26213 16798 9415 35.9%


2010年度時点で1/3が女性医師です。またこの比率はまだ女性医師が増える見方は強いところです。見様にっては「男性医師が女性医師と結婚できる確率が高くなっている」とできない事もありませんが、男性医師が女性医師と結婚を強く望んでいるかと言われると少々疑問です。ここはオッサンの私の感覚なので、今の若い医師の感覚と異なっている可能性を否定できませんが、男性医師は必ずしも女性医師との結婚を強く望んでいないです。少なくとも女性医師側が望むほど男性医師側は望む者が少ないと考えています。

それでもですが、私の学生時代で女性医学生の比率は2割弱程度であったかと思っています。でもってかなりの割合で女性医学生医学生の彼氏がおり、さらにそのまま結婚されたカップルも多かったとおぼろげながら記憶しています。ただし当時の男女比率は5対1ぐらいです。これが2対1になってくると苦しいんじゃないかなぁってところです。

仮に女性医師がすべて男性医師と結婚するとなると、男性医師の半分が女性医師と結婚する必要があります。どこかの調査のように7割としても、男性医師の3人に1人程度は女性医師との結婚が必要になります。同業の職場結婚は是であるとしても、結婚比率がこれだけ上ると女性医師のお眼鏡にかなう男性医師の選択枝が狭くなるだろうと言うところです。

ほいじゃ、女性医師の結婚相手の選択基準が低いかと言われれば、そうではないと思います。これは記事にありますが、

    結婚しなくても収入面での不安はないので、結婚を重視しない女性医師も多いのでは。
1人でも十分な生活を送れるので、それでもなお結婚するとなると、それなりにハードルは高くなります。これは女性医師に限らず、キャリアが高い女性一般に言えそうにも思います。今さらつまらん男となんかと結婚したくないです・・・と常々言いながら、散々探して選んだ相手が「???」なんて事もあるのが世の常ですから、男女の仲の最後のところは永遠の謎かもしれません。


ところで某所で女性医師が男性医師以外と結婚する事について議論がありました。そのまま持ち出せないので概略だけ書きますが、案外抵抗は少なそうな印象はあります。絶対に相手は男性医師に限ると言う意見は乏しかったように思います。ただしサラサラと書かれていた条件は医師なら「そうそう」と思わないでもありませんが、正直なところ結構なものでした。

ここら辺も私の時代とは家庭での役割分担の意識が相当変わっており、私が「結構」と思うのはかなり感覚がずれている可能性は多分にあります。それでも少なくとも、古典的な嫁感覚ではかなり大変じゃないかと思った次第です。女性医師の妻がフルタイムで勤務医をすると言うのがどういう現実であるかは、やはりチョット驚かれると思います。

それでも女性医師が男性医師以外と結婚されて上手くいっている例は多々あるはずです(ゴメンナサイ、私はそういう方を具体的に知らないので「たぶん」です)。何回も今日は繰り返しになりますが、男女の仲は不可思議なもので、外見的な釣り合いと内面の満足はまったく別の趣はあります。秋田の独身男性の方々も頑張ってチャレンジしてみて下さい。

ただなんですが、

    県内定着を促そう
こういう目的を掲げてしまうのは心配しておきます。なんだかんだと言っても結婚は人生の重大事です。夢と現実が複雑に絡み合う側面は多分にあるとは言え、私の乏しい経験からすると、夢にある程度熱中(逆上)しないと結婚までなかなか踏み切れないところがあります。そこにこういう目的が入り込むと熱を冷ます効果が出てきそうな気がします。

私が仮に独身であり、そういう目的も掲げられている官製お見合いパーティに出席するかどうかです。なんとなく嫌な感じがします。まあプライドが許さないと言うところでしょうか。そこまでして結婚相手を探したいかの感覚です。これもオッサン世代の感覚ですから、なんとも言えないぐらいにさせて頂きます。