ガッチャマンの実写化

そんなニュースが流れてますが、個人的には「どうなんだろう」と思ってしまいます。マンガ作品のアニメ化は比較的スムーズと思っていますが、アニメの実写化で成功した作品と言われても、思い出すのに一苦労します。その代わりに失敗作はゾロゾロ出てくる気がします。あえて成功といえば、興行的には存じませんが、ヤッターマンドロンジョぐらいしか思いつきません。

技術的にはアニメの実写化はかなり容易になっているんだろうと思っています。アニメと実写の壁は、アニメ独特の超人的なアクションです。それこそ絵だから可能な動きです。これを実写で行うには途轍もない特殊撮影が必要になり、余程の費用をかけてもアニメで培われたイメージにはまだ遠いになっていました。これがCGの発達により可能になってきたです。

だから失敗しても、失敗しても試みられるんでしょうが、正直なところ「やって欲しくない」が本音です。ガッチャマンがある意味典型と思うのですが、あまりに古いのが一つの理由です。私も当然のように見ていましたが、記憶は歳月と共に美化されてしまうです。

当時のアニメの質からして、そんなにクオリティが高かったかと言われると、今から冷静に考えるとかなり疑問です。ただ見たのは子供時代であり、当時の興奮と熱気が記憶の中で美化してしまっていると言うのがあります。記憶の中のクオリティは異常に高いと言うのが確実にあります。こういうイメージの再現はほぼ不可能と思っています。

美化されきった記憶を期待して見れば高確率で失望します。ここでなんですが、ガッチャマンを再放送を含めてリアルで見た世代は、おそらく現在の40歳以上になるかと思います。そういう懐古層をどれほどアテにしているかです。そうじゃないの意見もあるかと思います。ガッチャマンガッチャマンでも、平成のガッチャマンであり、平成のガッチャマンを知らない層をターゲットにしているです。

それはそれで一つの考え方ですが、それならわざわざオッサン世代のヒーローであるガッチャマンを引っ張り出さなくとも良いんじゃないかです。だってガッチャマンを知らない世代をターゲットにするのなら、それこそニューヒーローを創造する方が前向きじゃなかろうかです。

それに公開されれば批評の中心はそれこそ「昔見ていた世代」がどうしても中心になります。批評家の現役層の年齢構成はどうしてもその辺に傾くからです。彼らが好意的に受け取るとは思えないからです。映画興行も微妙なもので、公開初期の批評の声はかなり影響します。良いとなれば観客動員への加速になりますし、悪ければブレーキがかかるです。


結局のところガッチャマンがわざわざ引っ張り出されたのは、そのネームバリューのみと思っています。そのネームバリューもやはり諸刃の剣のような気がしてなりません。なによりガッチャマン世代としては、そういう宣伝のダシで昔の美化されきった記憶が汚されてしまうのが少々辛いです。まあニューヒーローを創作するよりリスクが低く、資金を集めやすい面があるためと思ってはいますが非常に複雑です。

ふと思ったのですが、最近はこういうヒーローを作り出すパワーが落ちてしまったんじゃないかと思う事があります。かつて百花撩乱と言うより粗製濫造で量産されていた時代を知るオッサンはなぜかそう感じてしまいます。ウルトラマンウルトラセブンジャイアント・ロボ、マグマ大使仮面ライダー、超人バロムワン、レインボーマンジャンボーグAマジンガーZキャシャーンゲッターロボ、バビル2世、デビルマン、スーパージェッター、光速エスパーエイトマン黄金バット・・・


これはパワーが落ちたのではなくてヒーローの質が変わったとする方が適切かもしれません。古き良き昭和のヒーローは単純でした。問答無用の絶対悪の組織があり、これに完全無欠の善のヒーローとして対決するのが基本構図でした。ヒーローは正義感溢れる単純な熱血漢の設定で必要にして十分だったような気がします。

これが変わったのは昭和の終わり頃の様な気がしています。ガンダムとかマクロスが象徴的ですが、主人公はある特殊な才能を持つが故に戦いに巻き込まれてしまう設定です。特殊な才能は戦闘には非常な能力を発揮するものの、その他はむしろ気の弱い少年みたいな感じとすれば良いでしょうか。さらに善と悪の構図も複雑化します。ヒーロー側にも悪がおり、ライバル側にも正義があるみたいと言えば良いでしょうか。

さらに女性の役割が飛躍的に重くなります。ヒロインは可憐でかつ強く、さらにちゃんと恋愛もするみたいに大活躍します。単純化して言えば等身大のヒーローにスーパーヒロインが配置される構図です。それだけストーリーが複雑化したと言う事ですが、その代わりアニメ自体はヒットしても、主人公が古き良き時代のように単純にヒーロー視されなくなったです。

こういう路線の反動もあり、再び絶対強者がヒーローの設定が作られます。たとえば北斗の拳ドラゴンボールも類似していると思いますが、この時に今に続くトレンドが持ち込まれたような気がしています。魔術的な能力の導入です。メカの能力を凌駕する摩訶不思議パワーの炸裂です。摩訶不思議パワーも昔からあり、「リングにかけろ」なんてのもありましたがこの路線の進化です。


ガッチャマンの製作は決定されてしまっています。今の時代のヒット要素を盛り込まないと興行的に苦しいでしょうから、そういう平成のガッチャマンが創作されると予想します。それが吉と出るか凶となるかは出来上がらないとわかりませんが、郷愁としてそっとしておいて欲しかったなぁ・・・と言うのが偽らざる本音です。