子供の交通事故統計と自殺統計

「もう統計は見たくない」の声もあるかと思いますが、ここまで統計物を続けたので子供の交通事故もまとめて見ます。ソースは人口動態統計の死亡統計からで、1997年度から2010年度までの14年間の集計です。今週の流れですから「交通事故 = 交通事故死」です。


事故総数

とりあえず実数の変化です。

これも恒例の年齢階級での人口10万人対の発生率のグラフです。
14-19歳が突出して多いので、それ以下の年齢層のグラフを示します。
実数と発生率の表です。

実数 発生率
1997 2010 1997 2010
子供総数 1639 446 6.04 1.96
0歳 24 9 2.02 0.87
1-4歳 146 44 3.10 1.04
5-9歳 163 56 2.63 1.01
10-14歳 98 45 1.38 0.76
15-19歳 1208 292 15.21 4.84

14年間で7割ぐらいは減少しています。子供の交通事故もかなりのペースで減少しています。
歩行者事故
まずはグラフです。
実数の表です。
年度 1997 2010
0歳 1 0
1-4歳 101 29
5-9歳 97 39
10-14歳 24 7
15-19歳 66 31
合計 289 106

これも見るからに減っています。
自転車乗員事故
これは運転しているだけではなく、二人乗り(ママチャリとか)も含めた数と考えられます。グラフです。
これも表を示します。
年度 1997 2010
0歳 0 0
1-4歳 6 2
5-9歳 41 7
10-14歳 38 28
15-19歳 100 40
合計 185 77

これも減っています。
オートバイ乗員事故
これも運転者だけではなく同乗者も含むものです。グラフです。
表に示します。
年度 1997 2010
0歳 0 0
1-4歳 1 0
5-9歳 0 0
10-14歳 11 1
15-19歳 540 123
合計 552 124

言うまでもなく14-19歳が圧倒的に多いのですが、ここも減っています。そう言えば、あれだけ猛威を揮った暴走族も伝説になりそうな感じがしないでもありません。どこかで暴走族の高齢化とか、後継者不足に悩むみたいな話題も転がっていました。
乗用車乗員事故
ここは人口動態統計では「乗用車」と「軽トラ又はバン」で分けられていましたが、あえて一緒にしました。理由としては「軽トラ又はバン」の2010年度の合計が5人だったのもあります。ではグラフです。
でもって表ですが、
年度 1997 2010
0歳 22 8
1-4歳 27 11
5-9歳 19 9
10-14歳 19 4
15-19歳 418 86
合計 505 118

同じ感想ばかりで申し訳ありません。ここも減っています。
大型車両事故
大型車両も「大型輸送車両」と「バス」に分かれていましたが一緒にしています。と言うのもバスは14年間で5人しかいなかったからです。グラフです。
ここについては事故の発生の有無の依存が大きいので「こんなもの」ぐらいにしておきます。
水上交通事故
ジェットスキーとかも入ると思うのですが、グラフです。
こんなデータなんだとぐらいしか言い様がありません。
その他の陸上交通事故
とりあえずグラフを示します。
2006年度からカタンと減っているのはグラフから明らかですが、そもそも「その他の陸上交通事故」とは何ぞやになります。参考までに小分類を示しておくと、
    V80   交通事故により受傷した動物牽引車乗員又は動物に乗った者
    V81   交通事故により受傷した鉄道列車乗員又は鉄道車両乗員
    V82   交通事故により受傷した市街電車乗員
    V83   主として工業用地内で使用される特殊車両の乗員で,交通事故により受傷した者
    V84   主として農業用に使用される特殊車両の乗員で,交通事故により受傷した者
    V85   建設用特殊車両の乗員で,交通事故により受傷した者
    V86   本来道路外〈オフロード〉で使用するために設計された特殊全地形用又はその他のモーター車両の乗員で,交通事故により受傷した者
    V87   事故の形態が明示され,受傷者の輸送形態が不明の路上交通事故
    V88   事故の形態が明示され,受傷者の輸送形態が不明の路上外交通事故
    V89   車両(駆動形態を問わない)事故,車両の型式不明
漠然とオフローダーかと思っていたらそうでなく、
    V87   事故の形態が明示され,受傷者の輸送形態が不明の路上交通事故
    V89   車両(駆動形態を問わない)事故,車両の型式不明
この二つが1997年時点で大半を示しています。
航空及び宇宙交通事故
凄い名前の項目ですが、14年間で2人しかいませんでした。これも旅客機墜落事故でも起これば跳ね上がるのでしょうが、14年の間には大きな事故は無かったようです。
感想
今週に延々とやった統計シリーズで確認できた事は、
  1. 子供の死亡数、死亡率は減少している
  2. 不慮の事故も減少している
  3. 不慮の事故のうち溺水も減少している
  4. 不慮の事故のうち交通事故も減少している
  5. 子供の自殺は相対的に増えている
これらの変化を子供の死因別でグラフに示せば、
子供の死亡率の減少からすると、溺水もかなり減少しているのは昨日示しましたが、あれだけ減っても1997年度と占める割合は変わりません。交通事故の減少は、かつて11.8%もあったものが7.2%になっていますから、溺水よりさらに減少率が高い事になります。自殺は実数としては横這いなのですが、他の死因が減少した結果、今や交通事故よりも多くなっています。今後問題視されてもおかしくない状況と考えられます。

1997〜1999年度が見つからなかったので2000年度と2010年度のの子供の死因順位と発生率を3位まで(スペースの関係でスミマセン)示します。

年齢 年度 1位 発生率 2位 発生率 3位 発生率
0歳 2000 先天奇形・染色体異常 119.10 呼吸障害・血管障害 51.85 乳幼児突然死症候群 27.26
2010 先天奇形,染色体異常 88.28 周産期に特異的な呼吸障害等 32.86 乳幼児突然死症候群 13.49
1-4歳 2000 不慮の事故 6.56 先天奇形・染色体異常 5.26 悪性新生物 2.49
2010 先天奇形,染色体異常 3.84 不慮の事故 3.58 悪性新生物 2.04
5-9歳 2000 不慮の事故 4.04 悪性新生物 2.29 先天奇形・染色体異常 1.00
2010 不慮の事故 2.25 悪性新生物 1.93 心 疾 患 0.47
10-14歳 2000 不慮の事故 2.55 悪性新生物 2.01 自   殺 1.14
2010 不慮の事故 2.06 悪性新生物 1.97 自   殺 1.07
15-19歳 2000 不慮の事故 14.15 自   殺 6.36 悪性新生物 3.19
2010 自   殺 7.48 不慮の事故 7.03 悪性新生物 2.49

2000年度と2010年度の主な違いは、
  1. 2010年度の方が全体に発生率が低くなっている。
  2. 1-4歳の死因1位が先手奇形・染色体異常になり不慮の事故は2位に下がっている(これは2009年度から)。
  3. 10-19歳の死因1位が自殺になっている。
自殺と交通事故の人数関係が気になったので1997年度からの推移をグラフにして見ました。
10-14歳は2006年度に「自殺 > 交通事故」に初めてなり、2008年度以降は定着しているようです。
14-19歳は2005年度に「自殺 > 交通事故」となり以後は差が開く関係になっています。
子供の合計では2008年度に「自殺 > 交通事故」になっています。ひょとしたら公衆衛生学では既に常識になっているのかも知れませんが、子供の死因で、
    自殺 > 交通事故
こうなっているのに私は驚きました。