見方・考え方

吉本芸人の母親の生活保護問題が大きな話題になっているようです。意見は様々で、吉本芸人を擁護するもの、こき下ろす者、また国会で取り上げた片山議員を非難する者、逆に問題提起として評価する者、さらに厚労相のリアクションに対しても様々な意見が乱れ飛んでいます。

これらについては基本的に置いておきたいのですが、医療者としてはまず吉本芸人の家庭環境から這い上がった点は評価したいと思っています。医療者は正直なところ生保患者に余り良い感情を抱いていない者が多いと言うのがあります。なぜにと言う事になりますが、一つはプロの生保を相手にする事がどうしても多い点だと見ています。

プロが生保資格を維持するためには「働けない理由」を確保するのが重要になります。本当に病気で生保に甘んじざるを得ない人が本物ですが、プロは病気である事をなんとかして証明維持する事が商売の要になります。医師なら詐病であるかどうか見抜けるはずだと言われそうですが、病気の治療の基本は患者が自覚症状を正しく言うが前提になっています。もう少し言えば患者が「治りたい」「良くなりたい」であるです。

たとえば頭痛症にしても、本人が「死にそうに痛くなる」と言われれば、これを客観的に否定する術を持たないと言う事です。本物の頭痛症患者も、どんな検査でも異常は見つからなくとも頭痛があるからです。心身症関連も似たようなところがあります。医師の観察として「これはどうも違う」と考えても、患者の訴えとしてあれば否定するのは容易ではないです。

必然的に医療関係者が接する生活保護者で「あの野郎(女郎でも良いです)」と不快感をもつ者が、実数としても、比率としても、印象としても高くなってしまうです。プロはしばしば一族ぐるみでスキルを共有して増殖する事が多く、そういう環境から芸人として成功していると言うのは称賛できるものと私は思っています。褒めるところは褒めたいと思います。



もう一つ、ツイッターで匿名希・望様から指摘されて唸ってしまったのですが、事件と言うか騒動全体を俯瞰してみる大切さを勉強させて頂きました。この事件で抱いた違和感は、野党サイドの片山議員の指摘と言うか追及に厚労相が見事に反応している点です。通常かどうかはなんとも言えませんが、一つの類型として片山議員の指摘追及に対し、厚労相はたとえば、

    御指摘の通りの生保受給者がおられ、そういう存在は生活保護制度の存在意義に関るものであると認識しております。他にもそのような事例が存在しないかを調査し、今後はより正しい運用に努めて参らせて頂きます。
これぐらいでお茶を濁して終らす選択枝もあったはずです。国会質疑ではよくあるパターンじゃないかと思います。ところが厚労相は質疑をキッカケにさらに踏み込み、生活保護制度全般の見直しに問題を波及させ、さらに給付水準の引き下げまで言及しています。ちょっと反応が良すぎるんじゃないかです。これが与党議員の質問を受けてのものなら話はわかりますが、野党議員からですから「エエッ!」て感じです。


もちろん片山議員の余りにも見事な指摘に大臣、厚労相、さらには政府与党までが驚嘆しリアクションを起こした可能性は否定しきれませんが、そんな事が国会で起こる可能性が極めて低いのは良く御存知かと思います。起こった可能性は否定しきれませんが、起こっていないと今日は仮定して考えて見ます。

事実としては片山議員のパフォーマンスに厚労相は的確にリアクションを起こしています。このうち厚労相のリアクションですが、大臣個人の思いつきでなく政府与党の考え方を代表しているものと受け取りたいところです。現在の政権はしばしば個人の思いつきがヒョコヒョコと飛び出す点が厄介ですが、現在のところ与党内からもさほどの異論反論は出ていないように思います。

そうなると表面に出ている片山議員、厚労相だけでなくもっと背景があると考えるべきであろうです。つまり、

    片山議員は「誰か」を意識して質疑を行い、厚労相も「誰か」の存在を濃厚に意識して反応し、政府与党も「誰か」を濃厚に意識した。
生活保護制度問題では与野党とも「誰か」を濃厚に意識せざるを得ない状況があり、この「誰か」の意向に副う、もしくは逆らわない、もしくはこの問題では恩を売る必要性を感じたです。だから野党議員の質問にあれほどスルスルと与党が反応したです。では「誰か」とは誰なんですが、この前提なら推理は単純です。犯罪捜査の鉄則である「誰が一番利益を受けるか」です。匿名希・望様の見方は非常に鋭いと思いました。

言い様によっては一種の陰謀論になりますが、もしそんな陰謀があったとしたら大成功のような気がします。陰謀とは首謀者が表に出ないから陰謀であって、首謀者が操る表の人物・出来事にのみ注目が集まり、なおかつ首謀者の目的が達成される事だからです。そうそう、この見方・考え方が本当かどうかはあくまでも自己責任で御判断お願いします。