節電を考える

関電圏内の夏の電力事情は厳しそうとの情報です。計画停電であれ、大停電であれ起こった時の最低限の対策は小さな停電対策で考察しましたから置いときます。あえて簡潔に言えば、起こったら「あきらめる」です。その時に居合わせた患者に出来るだけの事をして、粛々と休診せざるを得ないです。

ではでは停電を回避するための節電対策はどうかになります。これも診療所レベルではたかがしれています。無駄な電気を消して、エアコンの設定温度を高めにするぐらいが関の山です。それ以上は、診療をやるかやらないかレベルになります。


さてもう少し俯瞰的に考えると、節電とは電力により享受している快適さの何かを犠牲にする事とも言えます。何を犠牲にするかの選択をまず考えないといけません。時期は真夏ですから、まずエアコンを犠牲にするのは非常に困難です。いくら昭和40年代(もっと前ならなおさら)は無かったから我慢せよと言われても、今の建築設計はエアコンがある事を前提にしている部分は小さくないですから、そうは簡単に我慢は難しいところがあります。

エアコンは犠牲にするのが難しいとすれば、もっと手軽にと言うか、他に代替出来るのであれば犠牲に出来るものは無いかです。冷蔵庫はまず無理ですが、洗濯機はピーク時を回避して使うは可能です。掃除機も洗濯機同様でしょう。他に家庭や診療所ベースで何か無いかと言えば、情報機器は候補に上がって来そうです。

情報機器で電気を使いそうなものと言えばパソコン(ネット)とテレビです。では2つとも止めてしまうかですが、情報は社会生活を営む上において重要です。せいぜいピーク時の使用をなるべく控えようあたりが現実的なところです。


ここでなんですが、自主的努力と言うのは限界があります。かなり徹底する人がいる一方で、相当無頓着な人もいます。こればっかりは「自主的」ですからどうしようもないところです。もう一段の節電効果を狙うなら、ある程度の強制力が必要になるかもしれません。そうなると情報は2系統も維持するのは贅沢として、節電のためにどちらかを根元からシャットダウンしてしまうは考えられるところです。

テレビとネットのどちらかをシャットダウンするの2択であれば、どちらにするかです。詳しくは知りませんが、ネット回線は趣味で見る人だけでなく、広く社会生活に入り込んでいます。電話だってネット依存率が非常に高いのが現状です。安易にネットをシャットダウンしてしまうと、生活だけではなく仕事にも深刻な影響を及ぼすのは必至と考えます。

ではテレビはどうでしょうか。娯楽のために手放せない方もおられると思いますが、シャットダウンしても社会への直接の影響は少なそうに思います。情報機器としても情報量はネットに対して優越している部分は多くなく、無くても正直なところ影響範囲は限定的と考えます。現実に私は昼間(どころか夜も)殆んど見る事はありませんが、別に困っていません。

それにテレビのシャットダウンと言っても昼間のピーク時だけです。夜には電力事情は緩和されますし、朝だって同様ですし、期間も真夏のピーク時期だけです。

テレビは「ながら」の一面が大きく、なんとなくつけている面は大きいところです。ある種のBGMです。自主的努力に無頓着な人でもテレビ放映自体が行なわれていなければ、テレビを消してしまう確率が高くなります。チリも積もれば式にはなりますが、社会的影響の少なさを考慮すると検討に値すると見ます。真夏の暑さの中でテレビとエアコンのどちらかを我慢せよと言われれば、迷わずテレビを私は選びます。


そうは言ってもテレビ局で収入を得ている人の生活もありますから、そこも考える必要があります。両立は難しそうに感じたのですが、よくよく考えれば節電対策として、テレビ局の昼間シャットダウン案が公式に検討されるだけで必要にして十分じゃないかとも思えてきました。

テレビ局と言うかテレビ業界サイドはシャットダウンを避けたいはずです。そうなればシャットダウン案が公式検討の俎上に載せられた段階から、反対運動は猛烈に活発化すると予想されます。これも事が事ですから、単に「自分の業界が困る」だけではかえって反発を招く懸念があります。反発を起こさない様にするにはテレビを使っても電力が足りるとのキャンペインが必要になります。

つまりシャットダウン案を検討するだけで、テレビはもちろんの事、全マスコミ挙げて節電キャンペインを死に物狂いに「タダ」で続けてくれる効果が期待できます。これは結構安上がりの啓蒙対策になりそうな気がします。

ただなんですが、キャンペインのネックとしては少々自己撞着が生じる点かもしれません。テレビ業界的には節電を訴える一方で、テレビを見てもらわないと商売として困るわけです。テレビを見ると言う行為を節電キャンペインの中でどう位置付けるかの問題です。「節電のためにテレビは消しましょう」とキャンペインすれば「それならシャットダウンでもOKじゃないか」に繋がってしまうかも知れないと言う事です。

ではテレビはOKで他の物の節電を強くアピールすれば、「なぜにテレビはOKなのか」の疑問が自然に生じます。こう考えるとシャットダウン案を公式に検討されただけでテレビ業界としては非常に困る状況に陥るかもしれません。ひょっとすると水面下の攻防戦は既に始まっているのかもしれません。

とりあえず私は自主的にテレビのコンセントごと抜いておきたいと思います。