ツイッターで拾った専門医認定のためのレポートです。
ごく簡単に内容を紹介しておきますと、上気道炎と思って葛根湯を処方したらかなりの重症感染である事が判り、慌てて指導医なりに相談し、ドタバタしながらもなんとか治ったと言うものです。えらい複雑な考察をしていますが、気になったのは文章表現です。最近のこの手のレポートの書き方のトレンドをよく存じませんが、正直なところどうにも「こなれていない」感触を受けます。最初に読んだ時は書き手の問題と軽く考えていました。医師だって文章の巧拙はあるぐらいのレベルの感じです。ところが調べるともう少し根が深そうです。ツイッターで拾った時はレポート本体しかなかったのですが、何の学会の専門医認定のためのレポートかを確認してみました。手法は単純でURLを遡るです。そうすると、
ここのHPの学会認定研修プログラムに属している事が確認できます。そこからこれに入るとポートフォリオ(詳細)事例報告書(記載例)
てなものがあり、これが冒頭で紹介した専門医認定のためのレポートである事が判ります。つまり「模範例」であると言うわけです。このレポートが日本プライマリ・ケア連合学会の模範レポートと思って読むと面白味がかなり増します。お暇があればそう思って読み直してください。私は結構楽しめました。
もう一つ気になったのは、これも最近の医学界の用語の使い方のトレンドに疎くなっているので何とも言えませんが、
なんじゃらほいってなところです。これは日本プライマリ・ケア連合学会が公式に使われているようで、新学会の専門医認定審査におけるポートフォリオに関連する規則ともなっており、さらに、第18条 専門医の認定審査は後期研修中に作成したポートフォリオならびに臨床能力評価試験(Clinical Skills Assessment)および論述試験(Modified Essay Question)によって行う。
さらに
第4条 ここでいうポートフォリオとは,家庭医療専門医に求められる臨床能力を示す事例を集めたものである。前条の(4)に定めるポートフォリオ事例報告書には次のことを記述する必要がある。
ここは単純に
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ポートフォリオ = 症例レポート
現代の日本においては、ある程度の資産を持つ投資家が、自らの資産を複数の金融商品に分散投資すること、またその投資した金融商品の組み合わせを指すことが多い。
私もそう思っていました。ただこれもwikipediaにあるのですが、
ポートフォリオ(Portfolio)は、本来は「紙挟み」や建築家の作品ファイルの意。
ここをもう少し確認してみたいのですが、大辞泉には、
大辞林なら、
- 携帯用書類入れ。
- 写真家やデザイナーなどが自分の作品をまとめたもの。
- 経済主体(企業・個人)が所有する各種の金融資産の組み合わせ。収益性の異なる方向を持つ商品を組み合わせることで、リスクを分散させる投資手法。ポートフォリオ-セレクション。
う〜ん、医学における症例レポートを「ポートフォリオ」と表現するのは何となく違和感があります。つうか、わざわざポートフォリオなんて持ち出さなくとも良さそうな気がしてならないのですが、最近の学会の認定試験のための症例レポートはポートフォリオと表現するのがトレンドなんでしょうか。用語の使い方は歳月と共に変わりますが、私が時代に遅れているのか、日本プライマリ・ケア連合学会が独自の使い方をしているのか確認できませんでした。
「教えて君」状態でお恥ずかしい限りなのですが、御存知の方は情報下さい。