想像すると・・・ものものしそう

2/1付朝日新聞デジタルより、

天皇陛下、冠動脈の再検査へ 11日に入院し翌日退院

 宮内庁は1日、天皇陛下が11日に東京大付属病院に入院し、心臓の冠動脈の再検査を受けて翌12日に退院すると発表した。

 宮内庁によると陛下は昨年2月、心臓の冠動脈の血管が狭くなる狭窄(きょうさく)が見つかり、薬で治療を進めていた。心電図をつけて24時間過ごす検査などを数カ月に1回実施したところ、運動をした際などに時折、血液の流れが悪くなることを示す若干の変化が認められたため、前回の検査から1年となる11日に改めて造影検査を受けることにした。

 2〜7日には予定通り葉山御用邸(神奈川県)で静養するが、11日の祭祀は欠席するという。

陛下の検査が無事終了されること、また結果が良いものに終る事を一国民として強く願います。


ところでなんですが、「造影検査」と言うぐらいですからカテ検査で良いと思うのですが、当たり前ですが術前の説明は行なわれるはずです。「はず」と言うより絶対に行われなければなりません。陛下であるから省略されるは当たり前ですが「ありえない」です。

相手によって説明の内容が変わるわけではありませんが、相手によって説明の姿勢が変わるのもやむを得ないところがあります。誰であっても患者である事に変わりは無いのが医師の精神ではありますが、相手の社会的地位、またはうるさ型か否か、説明に至るまでのコミュニケーションの程度でも変わるところはあります。一般的に同業者は気を使います。

さて今回の説明対象は陛下です。これはどうしたって超弩級の気を使います。それとこういう説明の時は、家族同伴も一般的には原則です。家族と言っても奥様は美智子妃殿下ですし、子供と言っても皇太子殿下や秋篠宮殿下や黒田清子様になります。陛下や妃殿下、皇太子殿下、秋篠宮殿下、黒田清子様も含めて間違っても「うるさ型」ではなく、むしろ対極の方と思ってはいますが、その程度のことでリラックス出来るものとは思えません。肩に力瘤がメリメリ入るのは不可避かと存じます。

説明するのは教授になるのは当然として、主要な医局員から院長を始めとする病院幹部がズラリと出席されると想像します。これに加えて関係するコ・メディカル及び各部署の責任者もまたズラリと言う感じでしょうか。一般人と扱いが違うと不快を感じる方も中にはおられるかもしれませんが、でもそうなってしまいそうに思います。私が責任者・関係者であってもそうすると思います。

ひょっとすると予演会も行われているかもしれません。どんな質問が出てこようとも、これに対して失礼があってはならないとより手際よくやりたいと思うのが人情です。どうせ想像ですから許されるかとは思いますが、普段は単独でやっている説明を一部でもグループでやろうなんて思うと打ち合わせも必要になります。

ここもあんまり完璧を期し過ぎると、今度は往々にして説明自体が長時間化することもよくある事です。下手すると冠動脈疾患から検査についての大熱弁になってしまう事もありえるです。どんなに長くなっても陛下が御不快を示す事はないですが、説明する当人はともかく、今度は周囲が気を使います。もう少し簡略にしないと、陛下がお疲れになられるです。

やはり予演会はありそうな気がします。


もう一つ、個人的におかしみを想像してしまうのは言葉遣いです。昔ほど陛下に対する敬語の使い方にうるさくはなくなっているとは思いますが、これは敬語を使う方が自意識過剰になりそうな気がします。これも事前に「普段どおりで結構です」と申し伝えられても、意識しない様にするのが無理です。私はこれまでも、またこれからも無いとは思いますが、直接陛下とお会いされ、言葉を交わされた方々は、自然に湧きあがる敬意を抑えきれなくなると聞いた事があります。

そういう状態で「普段どおり」と幾ら言われても、普段どおりに出来るものではないと思います。そのうえ、そういう言葉遣いは、たとえば説明の主役である教授は必ずしも得意としていません。使い慣れない敬語を使う時に、一番まごつくのは言葉の終わりです。どういう風に締めくくるかで、時に言葉に詰まります。この文脈で「です」で終ったら失礼と思い始めれば立ち往生しかねないという事です。

もちろん陛下及びロイヤル・ファミリーの方々は、どんなにたどしい話し振りになっても、微笑みで対応されるかと思いますし、むしろ気を使ってくれるぐらいだとは想像はできます。そういう心遣いが自然に出来る方々であるのは言うまでもありませんが、そうされるとさらに逆上してしまうのが普通の日本国民かと存じます。


でもって、無事と言うか、なんとかと言うか説明が終れば、通常は同意書にサインをしてもらうわけですが、やはりあるんでしょうね。そのサインだけで家宝ものですが、医療情報ですから持ち出すわけにいかないのは言うまでもありません。むしろ心配するのは流出かもしれません。余人の同意書なら、あえてこれを流出させようなんて酔狂な人間は殆んどいませんが、サインの価値が違います。

そうなると、同意書は金庫の中にでもしまわれるのでしょうか。コピーであっても流出すれば大問題になりそうですから、さぞ厳重に保管されるような気がします。

それと電子カルテの閲覧も気になります。これは陛下だけではなく、政府要人クラスでも該当しそうに思いますが、一般人のカルテと同様の条件で閲覧できるかどうかです。なんとなく関係者だけの特別のパスワードが設定されているような気がするのですが、どんなものでしょうか。


ロイヤル・ファミリーどころか地方的いや地域限定VIPさえ縁遠い町医者なので、想像と言うより妄想ばかりが広がりますが、もし一端でも御存知の方がおられれば、こぼれ話レベルで教えて頂ければと思います。もちろん医療情報でもあり、公人であっても個人情報には違いありませんから、そこらあたりは十分に御配慮をお願いします。