くすしのそばめ

今日は軽いのにします。一般法人日本癌治療学会「コ・メディカル」という用語の原則使用自粛についてより、

 「コ・メディカル」という言葉は,一般的には医師以外の医療専門職(看護師,薬剤師,検査技師等)の方を意味する用語として現在広く使用されていますが,この用語には,(1)意味する職種の範囲が不明確である,(2)Comedy「喜劇」の形容詞(comedical)と解釈される場合があり和製英語としても不適切である,(3)「医師とそれ以外」といった上下関係を暗示させすべての医療人が対等に参画することが原則のチーム医療の精神に反する等の問題点が兼ねてより指摘されています。

 この点に鑑み,本会においても理事会で本用語使用の是非について慎重に審議を重ねて参りました。また,本会会員の皆様からもパブリックコメントを公募致しました。

 その結果,今後,本会での発表や学会関連の出版物では,この用語の使用を原則として自粛することが本年度の代議員総会で決定されました。

 以上の方針は,平成24年の第50回学術集会から施行されます。つきましては,平成24年の第50回学術集会からは,本会の発表では本用語の使用は原則として自粛するよう会員の皆様にお願い申し上げます。

 「コ・メディカル」という用語は使用せずに,薬剤師,看護師,検査技師,放射線技師等といった医療専門職の名称を積極的に使用することが望まれます。

とりあえず笑ったのは

    「コ・メディカル」という用語は使用せずに
こうなっているのですが当該ページのURLが、
    http://jsco.umin.ac.jp/info/comedi.html
「comedi.html」でっか・・・
    Comedy「喜劇」の形容詞(comedical)と解釈される場合があり和製英語としても不適切である
ちょっとは気を使われればと思います。さてコ・メディカルの前はパラメディカルと呼んでいた時代があったはずです。いつのまにか「パラ」が「コ」に変わったわけですが、wikipediaより、

英語圏では paramedic(英語発音: /ˈpærəˌmedik/ パラメディク)または「paramedical staff」と呼ばれ、日本でも英語にならって「パラメディカル」「パラメディカルスタッフ」との呼称が用いられていた。接頭辞の "para-" は「補足する」「従属する」という意味であり、パラメディカルは医師の補助をする職種を指している。

1982年(昭和57年)、第1回糖尿病患者教育担当者セミナーの講演において、阿部正和東京慈恵会医科大学学長(当時)が、患者教育には医師のみならず全ての関係スタッフの協力が不可欠として、医師以外の関係スタッフを卑下したパラメディカルとの呼称を止め、「協同」を意味する接頭辞の "co-" を用いた「コ・メディカル」(co-medical、英語発音: /ˌkouˈmedikəl/ コウメディカル)との呼称の使用を提唱した[3]。「コ・メディカル」という名称は、後に定着する「チーム医療」の考えと合致し、日本の医療業界に広く受け入れられた。

記憶ってアテにならないのか、それとも阿部氏が提唱したあとも切り替えに地域差・温度差があったのかですが、コ・メディカルに切り替えるキッカケは1982年だったそうです。もう一つ「パラ」から「コ」に切り替わったのは、和製英語を標準英語に正したものと思い込んでいましたが、そうではなくて標準英語をわざわざ和製英語に切り替えたものだったと言う事です。

私は海外学会には縁がない人でしたから恥をかかずに済みました。


さてなんですが、日本癌治療学会は

    「コ・メディカル」という用語は使用せずに,薬剤師,看護師,検査技師,放射線技師等といった医療専門職の名称を積極的に使用することが望まれます
これはこれで正論なんですが、個人的にやはり不便です。医師及び歯科医師以外の医療職を総称する言葉が無くなってしまうからです。そうやって総称してしまう事自体が良くないの意見もごもっともなんですが、今まであったのがなくなると少々困るというところです。もちろん日本癌治療学会が提唱と言うか自粛しているだけで、私が縛られたり従わなければならない理由はないのですが、それなりに気は使っておきたいところです。

もう一度日本癌治療学会のコ・メディカル自粛理由を挙げておくと、

  1. 意味する職種の範囲が不明確である
  2. Comedy「喜劇」の形容詞(comedical)と解釈される場合があり和製英語としても不適切である
  3. 「医師とそれ以外」といった上下関係を暗示させすべての医療人が対等に参画することが原則のチーム医療の精神に反する
本音で言うとコ・メディカルが不適切であると言うのなら、標準的な英語表現であるパラメディックもしくはパラメディカル・スタッフに戻すのが適切な様にも思っています。みんな大好き「グローバル・スタンダード」です。無理してガラパゴス化に勤しむ必要はなさそうにも感じています。だいたい「和製英語としても不適切」つうのも妙な言い方で、和製英語に適切も不適切もなさそうにも考えています。


でもって日本癌治療学会の提唱に反応してチョコットだけ私も絡んでツイートでやり取りされた分です、

中村利仁
@rijin_nakamura
禁止用語を作るなら、代替語を複数提案するのがスジだろうな。できないなら禁止の実態は担保できない。
大城 真理子
@slummy77
コ・メディカルという語まで自粛するだなんて、驚きました。パラメディカルからコメディカルになってったのは記憶してるんですけど、次は何になるんでしょうね。代替語といっても…医療チームメンバー?医療スタッフ?私の貧困な語彙では思いつきません(苦笑)
Yosyan
@Yosyan2
「パラ」も「コ」もダメなら「サブ」と「アザー」とかかなぁ。それとも「メディカル・スタッフ」とか「メディカル・サポーター」とか。
aramaki
@aramaki34
カタカナ語を止めて漢字を使えばどうだろう?いっそのこと中国に作ってもらうとか。あるいはここは国粋主義大和言葉をひねり出してはどうか?副医療職、くすしのそばめ。
Yosyan
@Yosyan2
「くすしのそばめ」はワロタ。日本語が良いのなら「医療側用人」てなものは如何でしょうか。



やはり従来定着していた総称がなくなるのは不便が本音のようです。とくにrijin様の意見はごもっともで、コ・メディカルをNGワードにするのはまだ良いとして、唐突に総称自体を廃止しても定着しないです。日本癌治療学会の提唱は、総称単語そのもの自体を廃止してしまうですが、趣旨はともかく一つの単語を置き換え無しに抹殺してしまうのは少々無理があるです。

果たして日本癌治療学会の提唱がかつてのコ・メディカルのように浸透定着するかは・・・はてさてどうなる事やらです。なんとなく日本癌治療学会の一時的なローカルルールになりそうな気がしないでもありませんが、のんびり見物させて頂きます。それにしても「くすしのそばめ」はワロタ。