ブログ納め

今週もヘトヘトになりながら何とか紡いで、今日でブログを納めます。最後は定番の今年を振り返ってモノです。1月から順に目に付いた話題を拾ってみます。


1月
この月は平穏だったようで、ボタン電池の誤飲の話とか、医師の悪筆の話題とかを扱っています。そうそう山崎正和氏の読売インタビュー記事も話題になりました。


2月
この月も今から思えば平和で、男根挿入による膣の形態変化を大真面目に主張する脳科学者の話とか、福岡の助産所プロジェクトにかの牟田口中将が参画されたりの話題があった月です。そういやあの産屋プロジェクトどうなったんでしょうね。国際的にはエジプト騒乱があり、これに引き続いてアラブの春が誘発されていったのは今年の大きなトピックになるでしょう。NZの地震も今から思えば示唆的な出来事でした。


3月
この月は東日本大震災があり、もちろんその事も何回も取り上げて書いてはいますが、あんまりヒットにはなってません。今日のピックアップはブックマーク基準でやらせて頂いており、たぶん日本中のブログなり報道機関が根こそぎ震災を取り上げたので、その中に埋没したのだろうと思っています。

震災は重要なのですが、ちょっと置いといて、小児医療的に今年の大きな問題に同時接種による副反応問題がこの月に起こっています。公式の結論としては因果関係無しにはなっていますが、この件をキッカケにしてバラ打ち接種に流れが変わり、今年のインフルンザ接種は半殺しの目に遭いました。震災に較べると地味な話題ですが、個人的には大きな問題として尾を引いています。

それとこれは個人的に今年で一番手間がかかった幼児の不慮の事故の統計ですが、なんと震災の前日に書かれていたのに少し驚きました。個人的な思い入れは強いエントリーですが、上げた時期が悪かったとしみじみ思っています。


4月
さすがに震災関連の話題が主体となっています。これも今から思えばですが、4月時点でもボチボチ震災被害の主役は地震津波の直接被害よりも、原発による放射能問題にシフトしつつあったように感じます。以後は御存知の通りで、震災といえば放射能問題、原発問題に話題の中心がシフトしていった様に感じます。もうひとつ地味な話題ですが統一地方選挙があり、練馬区の皆様も平和に投票されていたかと思っています。


5月
5月と言えばユッケになります。つうかあれが5月だったかと思い起こしています。それとフリー・ジャーナリストと会社記者の確執がこの後も何度か浮上しています。質の低いフリー・ジャーナリストの存在が明らかになる一方で、だからフリーは問題だと導く会社記者の主張にもあんまり共鳴が集まらないぐらいに言えば良いでしょうか。


6月
震災後の反応の一つに反原発があります。あれだけの被害をもたらしたのですから、反原発への共鳴が出てきて当然なのですが、一部の反原発派のボルテージと言うか行動は凄まじいものがありました。もともと原発自体には、多くの人に漠然たる不安感はあり、以前から反原発運動が息長く続けられていた事も周知の事です。それが原発事故を契機に一挙に爆発したとは言えるかもしれません。

ただ余りにも激しすぎたと言うか、過激に過ぎ、気に入らない説を主張する者に猛烈なバッシングを加えて回ったのは記憶に新しいところです。反原発以外の主張を根こそぎ叩き潰そうと動き回ったとすれば宜しいでしょうか。連動してと言うか、根拠とする放射能被曝問題もひたすらヒートアップしたとしても良さそうです。

ほいじゃ、それだけ激烈な運動を展開して、日本中が反原発一色に染まりあがったかと言えば少々微妙です。もともと親原発派なんて少なかったわけで、出来うるならば原発は廃止しようぐらいまでは成果はあったと思っています。一方で、過激反原発派は完全に浮き上がってしまったようにも感じています。これも震災後の狂想曲の一幕だったと感じています。


7月
こうやって見ると7月も平穏だったようで、静かな話題しか取り上げていません。ま、有名人の自殺報道があるたびに、WHOのメディアの基準が私以外にもセットの様に出してくれる方が増えたのは喜ばしい事です。もちろん、そんなものを物ともしないと言うか、鋭い忘却力で次の報道が為されるのも定番ですが、だんだん報道のたびにカウンターの様に騒がれれば、「そのうち」ちっとは変わると期待しています。


8月
ネタに困ったのかホメパチもしくはその類似の怪しげネタを頻用した月のようです。それと富山の話が出ていますが、最善とは言えなくとも次善であっても、結果が悪ければ許さない式の報道が例年のように多かった事がわかります。

もう期待するのもバカらしいかもしれませんが、結果からすべてを断定し、そういう結果が起こった事は二度と起してはならない式の話に少々ウンザリしています。結果は過程があって起こった事であり、過程のどこに問題があったかを論じ指摘する作業が本来は不可欠なはずです。救急問題の最大の問題点は、傷病者を受け入れる医療機関の戦力不足が根幹です。

この根幹に触れるのは基本的にタブーのようで、ひたすら効率的な運び方ばかりが指摘されます。トドの詰りが「無理やりでも押し込めばすべて解決」式の強引な論法が横行するだけでなく、行政の施策でも推進されています。それで解決するなら楽しいですが、そうはならないと私は指摘しておきたいと思います。


9月
このあたりから何度か日大光が丘病院問題を取り上げているのですが、一番のイメージダウンを喰らったのは地域医療振興協会であったように感じています。ここまでの騒ぎになるのも織り込み済みだったのか、想定外だったのかは知る由もありませんが、個人的には鬼女板に反発を喰らっているぐらいの状態に見ています。でもまあ、乗りかかった船ですから進んでいくのでしょう。

もう一つは佐々木俊尚氏の記事を書いて感じた事ですが、一貫性は大事ですが、発展性とか柔軟性も重要じゃないかと考えた次第です。自分の主張を売り込んでいくためには、事象に合わせた柔軟性・応用性が必要であり、教条主義に陥るのは良くないです。これは私にも当てはまる事で、常々自戒している所です。

一方でなんですが、とある有名人医師は、現れる事象に機敏に対応されるのですが、その度が過ぎて、「この人の根っ子はなんだろう」の疑念を抱かざるを得ないと感じています。確かに頭の回転も早く、その場の理解力は非常に優れているようですが、その理解が浅いと言うか、全体との整合性に齟齬を来たしていると見ています。

たぶん試験問題を解くのなら文句の無い能力ですし、臨床でもその場の判断材料で素早く診断を下し、また新たな情報が入れば即座に診療方針を切り替えていくので優秀であろうとは思います。ただ社会事象はその場で手に出来る判断材料はすべてではありません。その場だけを切り取ったものならまだしも、複雑かつ多層的に他の事柄と絡み合っていますから、そこまで考えての判断が求められます。

ある程度すべての判断材料が出揃っていた社会事件への対応・判断は非常に良かったので、すべての事柄でそうかと思われていましたが、その後の主張を見ると「どうも」そうでは無いように感じています。単なる才子肌の人物で、参謀役とか情報分析官としては適任でしょうが、リーダーとしてはチト問題が残るタイプと見ています。名前は出さないのは結論を出すにはまだもう少し時間をかけたいぐらいの趣旨と御理解下さい。


10月
小児科医としてSOTIの話は、実戦でも参考になると言う意味で今年一番の収穫でした。実戦に役に立つと言っても、そのまま使える訳ではありませんが、食事アレルギーの治療の基本戦略と言うか考え方として取り入れていきたいと思います。

それと今年の第2のワクチン問題としてOPV問題があります。神奈川県の動きは結果としてIPV早期導入の拍車にはなったと見ています。ただ導入に当たっては、OPVからIPVへの移行期問題、DPT-IPV(セービン株)と単抗原IPV(ソーク株)の並立問題、それと移行期のワクチン確保の問題があるとメーカー筋は話しておりました。来秋は覚悟しないといけないのですが、秋に導入されるのは正直厳しいところです。インフルエンザ接種で忙殺される時期ですからね。


11月
TPPと消費税、ついでに言えば普天間基地問題は民主政権がとりあえず担っている政治課題です。政治課題は他にもテンコモリありますが、抜き差しならないと言う意味では切迫している問題です。前回の衆議院解散が2009年7月21日です。それで来年が2012年。解散はなんだかんだとしないでしょうから、まだ1年半以上はこれに直面するわけです。民主政権は2013年夏まで続いても、現政権がどこまで頑張れるかは来年のお楽しみかもしれません。


12月
12月は書いただけでも私はヨシとしておきます。11月もそうですが、よくまあ、あの状況下で書いたものだと自分で自分を褒めています。


ちょっといい話

今日はできればホッとするような「ちょっといい話」を書くのが主題でした。ところが何にも思いつかず、定番ネタでお茶を濁させて頂きました。それじゃ寂しいので一つだけ提供しておきます。時間の関係で公開許可をまだもらっていないのですが、エ〜イ、コピペします。

「あの文書を、あの昭和38年の文書を認めて、

 あなた方はあの労働を法的に違法ではない

 『当直業務』であるとでも仰るつもりですか!?

 そもそも当直とはナンであるかを問い詰めるために

 起こした裁判です。あなた方は本当に「法の番人」の

 おつもりなのですか?判決文が欲しいのですが。」

これで和解交渉の流れがガラッと変わったそうです。元法学部生様が指摘された様に労基署に原本がなくとも、所持していれば有効性は保持されるみたいです。これはそういう扱いであるから致し方ないとして、労基法41条3号の宿日直許可があるから「当直業務」であるとの主張で和解交渉に入った流れはあったようです。それこそぶぶ漬けの50万円ぐらいで手を打とうです。

裁判官がそういう風に水を向けると言うか、被告側の和解条件を取り上げて提示してきたら、訴訟の当事者としては疑心暗鬼の塊になるとの指摘もありました。判決もそうではないかです。それでも凛として裁判官に言い切った光景は目に浮かぶようです。さぞ迫力があったと思います。いや怖かったとも思います。

原告側弁護士の後日談によると、そこまで言い切れる人間は和解交渉の場では非常に珍しいそうで、思いの他の原告側態度に動揺したんじゃないかと評しています。和解になったことに批判的な意見もありましたが、絶対に譲らない原告の意思の固さに満額和解しか逃げようがなくなったと私は見ます。私のようなヘタレでは絶対にムリな話と思っています。


ではでは、来年が皆様にとっても良いお年になられる様に祈ります。