ネットの引用・転載の現実的なマナー

越後屋健太様のekkenの10/21付エントリー、

これを読んで思ったことです。転載・引用が許される著作権上の条件は書きました。著作権法上のトラブルに巻き込まれたくないと考えるのなら、これを守るのが大原則になりますし、これを守らずにトラブルに巻き込まれたら自己責任です。今日は大原則がある上で、著作権法上の条件を満たしていなくとも守るべきネット上のマナーみたいなお話です。

つうのは引用するにしても合法的な引用条件を守るのはかなり大変です。ネット言論も厳しいところで、引用元の文章の一部だけ使った場合には「恣意的な引用」の批判がしばしば出るからです。文章の表現は全体の文脈で読み取るべきものであり、出来るだけ広く引用するほうが妙な誤解を生まずに済むと言うのがあります。

ところが引用条件としては引用文相当の文章量が最低限必要であり、長く引用すればするほど、全体の文章がさらに長くなってしまうというのがあります。取り様によってはアリ地獄みたいな側面があります。


引用もその状況により2種類あると思っています。たいした分け方ではないのですが、敵対的引用と有効的引用です。敵対的引用とは強い批判のために行なわれる引用ぐらいに考えてもらえればよく、著作者に不快の念を与える危険性が強いものです。そういう時には著作権法の引用条件は可能な限り守る事をお勧めします。相手の対応により鬱陶しい事態を迫られないとも限らないからです。

友好的引用の時は引用条件はかなり緩和される事が多いと勝手に考えています。著作権法違反はあくまでも親告罪ですから、著作者が「その気」にならないと問題にならないとも言えます。

実際のところ、たとえば私の文章が引用され、これが著作権上の引用条件を守られていなくともスルーします。理由は単純至極で、著作権法違反で通告するのも素人では面倒過ぎると言うのがあります。敵対的引用でかなりの不快感情を催したとしても、次の行動までには幾つもの壁があると言う事です。ましてや友好的引用なら気にもならないと言うのが本音です。

現実的にはネットでの引用は著作者が手間ヒマかけて著作権云々を振りかざすのは余程の事態でないと起こりにくく、その上に乗っかってナアナアで運用されている様に考えています。私もこの「ナアナア」は嫌いではありません。


ほいじゃ「ナアナア」で大抵OKなので、なんでもOKかと言えばやはり違和感が残ります。越後屋健太様が指摘されたのもその部分だと思っています。主張として「著作権法の転載・引用条件を守れ」ではないのは明瞭です。訴えたいのは著作に対する扱いの最低限のマナーみたいなものだと思っています。越後屋健太様が訴えたいのはシンプルで、引用なり転載を行うのであれば、その引用元を明記すべしです。

引用元と言っても著作権法に基づくほどのものでなくと、URLなりリンクで示すのはネットであっても最低限のマナーとすべきと解釈しています。これには2つの意味があると考えています。

1つは著作の実在の証明と著作への最低限のリスペクトになると考えます。とくに引用元のない転載では、これが転載なのかオリジナルなのかの区別もわからなくなります。引用・転載については現実的にはかなりルーズであるのは上記した通りですが、ネットであっても軽蔑されるのは盗作と考えています。盗作はやられると本当に嫌なもので、また盗作されていると思われるのは心外になります。

もう1つは、引用元のない引用や転載は、これが全文かどうかの確認に手間がかかります。探せば見つかるから無問題であると言う主張もどこかにありましたが、見つかり難い時は見つかり難いものです。ネットにはリンクと言う便利なツールがあるのですから、これを使用すると言うのは読者への便宜としてやっておくべきと思います。

もう一つ言えば引用された当該の文章だけではなく、その他の文章も合わせて評価したいときがあります。ブログ形式なら引用元に飛べば前後のエントリーの確認も容易になりますから、ネットのマナーとしてやっておく方が良いと思います。


最後に念を押しておきますが、引用元を明示しただけでは著作権法違反はクリアしません。あくまでも著作権法違反に対する親告のリスクを減らしているだけに過ぎません。違法状態の転載・引用違反の親告は著作者の「その気」だけですから、地雷はいつでも踏む可能性はあると言う事です。その点についてはあくまでも自己責任ですから、このブログに

    引用元さえ明示すれば著作権法はクリアと書いてあるみたいな曲解はなさらぬ様にお願いします。
ついでだから書いておきますが、当ブログは通常の著作権法に基いています。書くまでもなく転載は原則禁であり、引用は条件を満たせば誰にも止められません。ではでは実際に違法転載や違法引用されたらどうかですが、余程の事がない限りスルーです。ネット中を探し回って角を立てるみたいな面倒な事をやる気もやる時間もありません。

ただ著作権は放棄している訳ではありませんから、余程の事があれば伝家の宝刀として大事に抱えているぐらいに御理解頂ければ幸いです。