夕張タイムズのゴシップ記事

2011年(平成23年)9月21日付夕張タイムズ(第2769号)2面「まちのレポート」より、手打ちで起します。

 大問題です! 私のところに以下に紹介する手紙が届きました。市民にとって重大な内容と考え、敢えて投書いたします。

 「○○社長 匿名でお送りするご無礼をお許しください。私は夕張市立診療所の関係者です。○○様がM上と戦っておられるという御噂を耳にしまして、いてもたってもいられず御連絡差し上げました。M上は医者の資格がありません。M上にくっついている他の医者も同様です。患者を人として見ていないのです。何かにつけて『歳なんだからしょうがない』、『寿命だ』などと言っては治療せずに患者を見殺しにしています。それを『在宅医療』などと言ってきれいに見せていますが、実力のない医者の詭弁でしかありません。職員一同皆そう思っております。本当にもうウンザリです。田舎の住民は、正当な医療を受けられないのでしょうか。住民を馬鹿にしすぎています。あんまりヤブ医者なので、診療所内では医師免許の偽造説まで囁かれています。

 診療所の内外に同時に複数の愛人を作り、それをとっかえひっかえしているため、職場の雰囲気は最悪ですし、前市長の時はまだ、M上を抑える力もあったようなのでよかったのですが、新市長になってからはそれもなくなり、取り入ってまた儲けようとしています。新病院建設もM上の手に落ちそうです。M上の手にかかったら病院の体をなさない、ただの箱になってしまいます。○○様は御存知でしょうか、現在、診療所の入院患者は常に1〜3人程度です。住民も入院したら殺されるとわかっているからです。病院を維持するための光熱費や病院維持費と称して市から数千万円の補助金を要求し奪い取っているのにこの有様です。市民の税金をこんなに無駄に使っていいのでしょうか。こんなM上に新病院を任せたら、夕張市民は生きた心地がしないでしょう。一刻も早く出て行って欲しいです。ほかにも、施設基準に満たない部分をもみ消してもらったり、不正請求も見逃してもらって大儲けしているようです。在宅医療は密室医療なので表には出にくいようです。どうか○○様のお力でこれを明るみにお出しください。不正をおこなっている事は事実です。職員全員が証明します。T先生、W先生など良心的な医師は、惨状を見かねて改革しようとし、M上の毒牙にかかって潰されました。元職員のI氏、F氏、S氏も同志です。皆、現状を憂いながらも、涙を流して去らざるを得なかったのです。彼らはM上なき後の夕張に正当で安心できる医療を復活させようと、道内で虎視眈々と機会をうかがっています。どうか○○様のお力で、このやりきれない状況を何とか打破して頂けますことを祈っています。我々の持つ力は微力です。○○様のお力におすがりすることが唯一の救いなのです。M上の毒牙は私の目の前に迫る勢いです。危険を承知で御連絡差し上げました。陰ながらではありますが、全力で応援させていただきます。是非お力を頂けますよう、心からお願い申し上げます。

 追伸 M上はインターネットでの宣伝に力を入れていて、その世界では強気にふるまっていますが、実はそこで自分が批判される(当たり前で正当な批判だと思いますが)と弱いようです。最近、特に痛いところを突かれるような批判が多いようで、よく診療所で逆上している姿が見られます。精神的崩壊一歩寸前というような勢いで逆上しているようです。御参考までに」。
(頑異一徹)

最後の署名らしいところが不鮮明なのですが、どうしても頑固一徹とは読めず「頑異一徹」としています。また第2769号としましたが、「6」か「5」も不鮮明である事も予めお断りさせて頂きます。

感想を書かないといけないのですが、もう地域医療振興協会に任せたらと思うぐらいです。もっとも商売にシビアな地域医療振興協会が間違っても引き受けないとは思います。つうか一体誰が引き受けるかが基本的な疑問です。

正直なところ手打ちにくたびれたので、これで終わりにしたいのですが、これで終ってしまえば引用の条件を満たしません。引用量が多いので、引用条件を満たすためだけに無理やり引き延ばした蛇足を付けておきます。ですから以下は読んでも読まなくても結構です。


夕張タイムズ

まずはwikipediaです。

夕張タイムス

夕張タイムス(ゆうばりたいむす)、社名:夕張タイムス社は、北海道夕張市内で発行する地方新聞。判型395×275 通常4ページ、月3回発刊(発行1、11、21日)。月額購読料450円、郵送料120円。創刊は1940年2月11日に遡る。

歴史

1940年2月11日 創刊
2008年10月21日 第2672号より判型をA3判に変更

本社・支社

北海道夕張市昭和1-12

ここで判るのは実在する新聞社であると言う事ぐらいです。後はサイズがかなり小さいようで、A3版となっていますが、写真で実物を見る限り、A3二つ折り2枚としてよさそうです。サイズ的にはタブロイド版よりさらに小さいぐらいで宜しいかと思います。なお新聞協会には加盟していないようです。

実はそれ以上は、何も情報が見つからないのです。夕張のローカル紙であるのは間違いありませんが、他人事ながら経営は成立するんだろうかの懸念ぐらいです。夕張市による夕張市の人口推移から夕張タイムズが1940年に創刊されてから現在までの人口と所帯数の推移を示してみます。

夕張市の2010年の人口は10925人となっていますから、このペースなら2011年には1万人を切っても不思議なさそうです。新聞は世帯毎に考えた方が良いと思いますが、2010年で5559所帯です。はたして5000部も売れているかどうかはソースが無いのでまったく不明です。仮に5000部売れても月当たりの購読料が450円ですから、月の販売収入が225万円、年にして2700万円と言うところです。広告収入とあわせて年間売り上げで3000万円もあればとぐらいに思います。

他に夕張タイムズ関係の情報ですが、2007.4.25付読売新聞『再建始動 夕張の春/(2)変われるか「ダメ市議会」』に、

地元紙「夕張タイムス」で印刷工として働く伝里(でんり)雅之さん(48)は、告示5日前の4月10日未明、自宅に呼んだ友人3人に、出馬する考えをうち明けた。

でもってこの方当選されています。ただ今春の統一地方選で2期目を目指されましたが、残念ながら再選はできなかったようです。さてそんな夕張タイムズですが、その存在感はどうかになります。これはツイッターからですが、

sasaeruiryou ささえる医療研究所 (夕張発)

夕張タイムスは夕張市内では影響力のあるメディアです。以前から色んな記事を書かれています。その度に、スタッフと患者さんが不安になっています。これが地域のマスコミのあるべき姿か?聞いてみたいです。夕張タイムスへの意見をみなさんも送ってください。(http://twitter.com/#!/sasaeruiryou/status/116523632028696576

と思えば、

@maruta4

@sasaeruiryou 夕張には何の影響力も無い新聞!すべて他紙からの引用と云われている事を知るべき!用紙は小さくなる、活字も虫眼鏡でしか読めない、時代に逆行!地元の新聞としてもう少しやるべき事が有るはず、次元が低い 、恥ずかしい限り?(-.-#)!(http://twitter.com/#!/maruta4/status/116606998879010816

これだけ関心があるようなので影響力は馬鹿にできないとぐらいと解釈します。


村上氏の反応

記事中で「M上」とされているのが誰かですが、これが判らない人は稀でしょう。夕張市には1ヶ所しか診療所はなく、そこには「上」が付く医師は村上医師しかいません。村上氏本人にインタビューするわけにもいきませんので、ツイッターから紹介しておきます。あくまでもピックアップです。

  • 今回の夕張タイムスの記事によりますと、私には医師免許が無く、診療所は不正請求だらけで大儲けしていて、私に愛人が沢山いて、精神的におかしいのだそうです。明らかに名前が特定できる書き方ですので、こりゃまずいな〜と言いますか楽しみに増えました。(http://twitter.com/#!/DTM0313/status/116513618522152960


  • 夕張タイムスの森 剛史編集長は(1人ですが)一般からの投書なので仕方ないと言い訳します。本当に編集している方に責任は無いのでしょうか?森さんはいつも「あいつは生意気だ」と言っている方ですので、明らかに意図的です。(http://twitter.com/#!/DTM0313/status/116515677396930561


  • 何かを変えようとするときには軋轢が生じます。悪者になる覚悟でやらないと、このような地域では変えられません。しかし、今回は流石に法人として弁護士さんに話をして戦う事が理事会で決まりました。民間の医療機関ですから職員の生活がかかっています。(http://twitter.com/#!/DTM0313/status/116517334528700416


  • 職員の名誉の為に言っておきますが、うちの職員は昨年からボーナスも昇給もなしで頑張ってくれています。来てくれている医師の皆さんも本当に安い給与で申し訳なく思っています。何度か破綻の危機もあり、私の経営能力の無さを批判されるのでしたら仕方ないですが、医師免許は本物だと思います。(http://twitter.com/#!/DTM0313/status/116527222243864576

そりゃ怒るでしょう。村上氏の人柄は個人的には存じ上げませんが、地域医療に熱意をお持ちですが、決して聖人君子では無いとみています。地域とくに僻地医療をやり通そうとするなら、生温い性格では到底無理です。これぐらいの反応は当然出るでしょう。


どうでも良い記事分析

やるだけ徒労なんですが、記事冒頭の文書の解釈がやや難解です。

    大問題です! 私のところに以下に紹介する手紙が届きました。市民にとって重大な内容と考え、敢えて投書いたします。
投書記事であるのは間違いないのですが、よく読めば、
    誰かが投書した人間に手紙を書く → 読んだ人間が夕張タイムズに投書 → 夕張タイムズはほぼ丸まま採用して記事にした
でもって、「誰か」も「投書した人間」も記事からある程度はっきりしていますし、採用した夕張タイムズの編集長も特定可能です。

関係者 根拠文章 ソース
最初に手紙を書いた人 私は夕張市立診療所の関係者です 夕張タイムズ記事
手紙を読み投書した人 ○○社長 夕張タイムズ記事
採用した人 夕張タイムスの森 剛史編集長は(1人ですが) 村上氏ツイッター


これだけでも十分に笑えるところです。とりあえず元の手紙を書いた事になっている夕張市立診療所の関係者ですが、JobStockの医療法人財団夕張希望の杜(11年09月01日〜)の職員募集にこうあります。

当事業所68人(うち女性50人)

ま、関係者と言う事で従業員でなく出入の業者と強弁するかもしれませんが、人口が1万人しかない、それも他地域との交流が乏しい夕張市ですから、病院に関係する者の全員の特定ぐらいは極めて容易です。最終的に投書した○○社長も夕張市のすべての社長をピックアップする事ぐらい、これも極めて容易だと言っても良いでしょう。閉鎖的な田舎の常識で、地元なら○○社長が誰かなんてチョンバレと思っています。

村上氏のスキャンダル的な部分は適当で良いでしょう。三流ゴシップ誌だってもう少しマシというか、もう少し信憑性のある記事を書きます。せめて女性関係のゴシップを書くのなら、泣き寝入りしている女性の悲痛な叫びぐらいウソでも作って入れるものです。田舎で余所者が地元の女性に手を出すと言う事が、どれほどのリスクになるかは、地方勤務経験ある医師なら誰でも常識です。村上医師は言ったら悪いですがそういう僻地医療のプロです。

そんな部分より妙に気になったのは、

    新病院建設
人口が1万人を切りそうで、なおかつ人口規模からすると天文学的な赤字を抱える夕張市に新病院建設構想があるそうです。実に魂消た話です。これは夕張市長の所信表明ですが、

当市の標準財政規模である約45億円の7倍にも匹敵する約322億円もの財政赤字

どこから新病院建設資金が湧いてくるのか不可解なのですが、なんとなく新病院建設がこの記事のキーワードのようにも思います。キーワードから読み解いていくと、村上氏の診療方針では病院需要が出てこないと言うのがあります。入院ではなく在宅医療中心に診療されたら、新病院建設の機運さえ生じない(生じても無理だと思うのですが・・・)です。

少しだけ拾っておくと、

  • 治療せずに患者を見殺しにしています
  • それを『在宅医療』などと言ってきれいに見せています
  • 田舎の住民は、正当な医療を受けられないのでしょうか
  • 現在、診療所の入院患者は常に1〜3人程度です

前後の飾りが多いので読みにくいのですが、これらはすべて「もっと入院治療をせよ」と言っていると見れます。在宅医療が中心になると入院治療が減少してしまい、入院患者のための新病院建設の話につながっていかないと読めます。村上氏の治療方針のままでは、夕張市に入院施設の需要が生まれず、需要が生まれないと新病院建設の煙さえ立たないと言う事です。

そこで村上氏を叩きだし、「誰か」後任を迎え入れ、この医師が入院をバンバンさせ診療所のベッドを溢れせせる現状を作ってくれれば、「住民の命を守れ」の運動でも起して、新病院建設の方向性を作り出そうとしていると言っても良いかもしれません。

現在の診療所になっている旧夕張市民病院の建設時期は確認できていませんが、かなり老朽化していたはずです。病院が老朽化すれば定番の建て替え問題からそれを巡る利権争いは地方政治(だけじゃありませんが)の特色ですが、夕張にそんな煙が出る余地があるのかどうかは極めて疑問です。もっともこの解釈は新病院建設のキーワードを重く見た時のものですから、新病院建設からの利権の話まで含めて単なる与太スキャンダルと取る方が適切かもしれません。

ただなんですが、新病院建設とそれに反する村上医師の診療方針だけは妙に符合します。話をもうちょっと広く見て、夕張市が建設するのではなく、どこかの医療法人が進出する話ではどうでしょうか。これもネックがあって、誰が好き好んで夕張にわざわざ新病院を建てる気になるかの問題が立ち塞がります。もし記事の根底に新病院建設を巡る利権があったとしても、それを信じて動いている人間も村上医師の診察を受けた方が良さそうな気がします。


夕張市にとってラッキーな事

ある意味驚嘆しますが、村上医師はそれでも夕張市での診療を続ける気が満々であることです。それぐらいの気概がないと、わざわざ夕張市の乗り込んで医療を続けるなんて気さえ起こらないと言えばそれまでですが、夕張市にとってなんとラッキーなとつくづく思います。前市長とも相当な確執がありましたが、これにも耐え抜きましたし、今度の件も敢然と立ち向かう様子であるのはわかります。

外野から見れば、もっともっと条件の良いところで同じだけの熱意を注げば、遥かに成果は上り、赫々たる実績も残せるはずと思うのですが、村上医師はあくまでも夕張に拘るようです。この事がどれだけ夕張市にとっての幸運か判っていない人は多そうですが、判るには長い歳月か、現実に村上氏が夕張を追い出されたときでしょう。

歳月に関しては村上氏は頑張る気はありそうですが、政治も巻き込んでの排斥運動にはどこまで抵抗できるかは未知数です。田舎政治は時に仰天するような決定を平然と下すからです。仰天とは余所者にとっての仰天であって、身内ルールでは当たり前の例の田舎ルールです。

もっとも村上医師とて完全無欠の人格者であるわけではありませんし、医療についても「神の手」医師でもないとは思います。短所もあり、長所もある人間だと勝手に考えていますが、夕張の住民はともかく、夕張以外の人間、この場合は医師として良いと思いますが、村上医師が叩きだされた後にイソイソと手を挙げる者が出てくる可能性は低いと見ています。

少なくとも市長選のように全国から候補者が湧いてくる可能性は非常に低いと言う事です。政治家は夕張で名を挙げるのに魅力を感じても、医師はそうとは言えないという事です。村上氏に反感を持つ夕張市民が少なくない事はわかりますが、夕張以外の医師の見方は違います。あの村上医師でも追い出した夕張と言う烙印が押されると言う事です。これも今でも烙印は多いので、まだ押せる場所が残っていたらの話です。

仮に夕張タイムズの思惑通り村上医師を叩き出した後に、本当に困る時期が来れば、きっとまた夕張タイムズあたりが

    M上は住民を見捨ててトンヅラしやがった
こんな投書でも記事にしてくれるんじゃないかと思っています・・・これぐらい書けば引用条件は満たしたと思いますから、ようやく今日は終わりにさせて頂きます。