ネットのリークトラブルのお話

リークと表現しましたが、やや不適切な表現で、余計な事をネットに書き込んで警察沙汰になったり、社内処分騒ぎになったりするものを今日は指しています。最近でも日本新薬の社員が起こして話題になりました。

余計な事で典型的なのは「○○を殺してやる」みたいな類です。これを2chに書き込んで警察沙汰になったのもありますし、ブログに書き綴って同じく警察沙汰になったものもあります。警察沙汰までいかなくとも、余りに露骨なプライベートの誹謗中傷をやりすぎて、個人が特定され、社内処分の問題になったのもあります。また社内秘になっているような情報を「ここだけの話」として書き込んでトラブルを起こした者もいます。

医療系ブログでも、今は知りませんがかつては何回かあり、トラブルとか問題を抱えた患者の話を詳細に書きすぎて、患者個人が特定され、さらには医師も特定されて一騒ぎなんて事も起こっています。

ネットは自由なところと私も良く表現しますが、自由とはリアル社会に較べての自由さであって、ネット社会とてリアル社会の一部であると言う事です。決して何でもござれの無法地帯ではなく、リアル社会の法的ルールも適用されるところはしっかり適用されます。自由なのはあくまでも公序良俗を守った上での自由であって、それを勘違いしたらきっちり罰は下ると言う事です。


こういうリークトラブルが発生する要因として先日のコメ欄でも話題になりましたが、おおよそ2つではないかとまとめられています。

  1. ネットを狭い世界と勘違いしている
  2. やんちゃ自慢が我慢できない人
コメントを頂いた、けい様は2つのどちらかないし両方であると看破されていました。私的には両方と考えている部分があるのですが、それでも「やんちゃ自慢」だけでところかまわず暴走するタイプの人は確かに存在しますし、「狭い世界」の認識で詳細すぎる情報を流すタイプの人もいますから、どちらもありうると思います。ここをあえて表にしておくと、

分類 やんちゃ自慢 ネットは狭い
type A ×
type B
type C ×


type Aの人は真性の「やんちゃ自慢」になります。こういうタイプの人はネットに限らず、周囲の状況に無頓着に「やんちゃ自慢」しますし、周囲への影響より目の前のウケを最重視します。正直なところ、どうしようもない人で、せいぜい「やんちゃ」の内容が穏当である事を祈るばかりです。

type Bとtype Cの要因は場をわきまえていないに尽きます。「やんちゃ自慢」であっても、信用できる身内とか知人に話すのは珍しい事でもなんでもありません。聞いた人間が話した人間を刺さない限り、ほんの内輪話に過ぎないからです。

こういうタイプの人間は、ネットであっても「誰も他人は聞いていない」と思い込んでいるのが問題です。感覚としては理解は出来ます。ネットと言っても、日常的には狭い交流範囲でしかない事は結構あります。ブログを書いても、HPを書いてもほとんどのサイトの訪問者は微々たるもので、いくらネットは全世界に向けて発信されていると言われても実感しようがないと言うところでしょうか。

実感としては間違っていないとも思うのですが、リアルの内輪話とネットの内輪話の「つもり」では状況が全く異なります。リアルの内輪話は、赤の他人の第三者がこれを聞く事はほとんどありません。たとえ飲食店などで「たまたま」耳にしたところで、話している人物は誰かなんて知りようがありませんし、聞いた記録もどこにも残りません。

ネットの「つもり」はそうはいきません。いつでも、誰かが「たまたま」アクセスする可能性は残るわけです。そのサイトに意図的に訪問するつもりが無くとも、情報収集でググっている時に、たまたま引っ掛けるなんて事はいつでもありえるわけです。検索ソフトの網羅性はかなりのレベルであるのは、今さら言うまでも無いと思います。

さらなる危険性は、情報公開時間です。リアルの内輪話なら、その情報を探知できる時間は「話している」間だけです。一方でネットは文字情報として削除されない限り残ります。また一旦火がつけば、自分のところを削除してもコピペはネズミ算式に増え、それこそストライザンド効果を味わう羽目に陥ります。

さらにさらにの危険性は匿名性の儚さです。リアルで見ず知らずの内輪話を耳にしたとしても、話した相手を特定するのは非常に困難です。ところがネットではすべての発言の元を手繰る事は可能なんです。実際にプロバイダ経由で身許を調べられるのは少ないにしろ、内輪話の内容を過去ログにまで遡ってプロファイルすれば、相当精度の高い個人の特定が可能になります。

ネットで匿名にしているから「絶対に個人は特定されない」なんて事を信じては、決してならないと言う事です。


どれぐらい個人情報をネットに公開されている情報から探し出せるかは、不評もありましたが何度か私も行なっています。もちろんある程度の有名人ではありましたが、断片的でも情報を集めると、かなりの特定は可能である事は既に立証済みです。

私がほじくったある方は、「そんな事まで書くとはケシカラン」みたいな批判を行っていましたが、書いたのは当人であり、たとえ当人でなくともネットに書かかたれたからには公開情報であり、それを利用するのは違法でも何でもありません。ネットが自由であるの側面には、こんな自由もあると言う事です。

つまり書き込んだ本人的には広い範囲と言うか、知人以外に広まって欲しくない情報と思っても、そういう情報コントロールは認められないとすれば良いでしょうか。書き込むからには、後日になって誰が公開情報として利用しようが文句を付けられないと言う事です。

ネットの本質は内輪話と本人的に意識として書いても、あくまでも、

    無期限にさらされる公開立ち話
これぐらいの意識を常に持つ必要はあると考えます。逆に言えば書き込まなければ誰も読めないわけですから、書くときに、その内容を誰に読まれても自分や会社にトラブルが生じないか否かぐらいを考えるのは、最低限のネットの作法であると言う事です。とくにツイッターなんて、自動話題拡散器の側面が濃厚なツールですから、心して書かないとエライ目に会う危険性が飛躍的に高まります。


さてこのリークトラブルについて、撲滅を望まれる方はおられます。これについても減少は可能でしょうが、ゼロは絶対無理です。教育にしても、徹底して叩き込まれているはずの犯罪がゼロになりようがないのを見るだけでわかります。今回の分類でも真性の「やんちゃ自慢」なんて手の施し様がありません。

また真性とまで行かなくとも、「やんちゃ自慢」傾向が強い人間なら、自制が外れるような状況、たとえば酔っ払っていたりすれば、勢いで暴走する危険性は常にあります。とくに酒乱傾向がある人間なら、酔いが醒めて真っ青は最終的に不可避だと考えています。これはネットだけではなく、リアルでも同じ事をやってますから、ゼロにするのはまず無理でしょう。

教育や啓蒙で効果のあるのは、「ネットは狭い」と信じ込んでいる方のみでしょう。これとて、知識と実感のギャップは相当距離があったりします。知識が与えられるだけで理解できる方がいる一方で、「そうは言われても、実感がもてない」タイプの人は必ず出てきます。世の中そんなものです。


ただなんですが、「やんちゃ自慢」にしろ、「ネットは狭い」にしろ、殆んどは実害レベルに達しません。実害レベルはたかだか新聞沙汰になる程度の数です。そりゃそうで、「やんちゃ自慢」であっても殆んどは他愛のないレベルが殆んどだからです。現在の発生数が多いか少ないかの評価は分かれるかもしれませんが、子どもの時からネットがあるのが当たり前の時代に世代交代していけば、自然にあるレベルに落ち着いて話は終わるようにも考えています。

どのみち、リークトラブルを起こす奴はネットから絶滅は無理です。ま、「ネットは広い」を認識されて自省された方が1人でもおられれば、今日のエントリーは大成功ぐらいに思っています。