あの団体も煮詰まっているみたいの続報です。前回の話は、あの団体の有力者を賛美した番組がBPOにて「問題あり」とされ、そのBPO決定にあの団体が抗議し緊急シンポジウムを行ったというものです。そいでもってその緊急シンポジウムの様子を友好団体がレポートされております。
あの団体ではなく、あの手の団体の構成はよく分からないのですが、緊急シンポジウムには、
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主催:医療の良心を守る市民の会
共催:患者の視点で医療安全を考える連絡協議会
後援:特定非営利活動法人 患者のための医療ネット
定 員:100名 (事前登録優先)
実況レポートにはシンポジウムの風景も画像として提供されていますが、どうも押すな押すなの満席状態ではなく、パラパラと空席が確認できます。緊急ですから仕方ないのかもしれません。
ではレポートを順番に読んでいきます。
7月31日、放送倫理・番組向上機構(以下BPO)と医療報道のあり方に関する緊急シンポジウムが開かれました。(前記載「緊急シンポジュウム案内」参照)
7/31と言いますから先週の日曜日にあったようです。
昨年2月に放映された報道番組「サンデープロジェクト」で取り上げた「密着5年 隠蔽体質を帰る〜大学病院医師の孤独な闘い」の内容の一部がBPO規定に抵触するとされた事に対し、BPOの判断には事実誤認、論理矛盾があり、医療報道の委縮に繋がるとして「医療の良心を守る市民の会」と「医療情報の公開・開示を求める市民の会」がBPOに再発防止のためのシステム改善を要望したものです。(7月22日・要望書提出)
BPOの裁定に関しては前回にやりましたから簡便にしておきますが、あの団体の主張点は、
- BPOは高裁判決を誤読し、まさに重箱の隅をつつくような指摘で当該報道を放送倫理違反としたのは、事実誤認や論理矛盾などによるものであり、全く納得できるものではなく、看過できません。BPOが当該裁判判決を誤読し、放送倫理違反を指摘するようであれば、メデイア・ジャーナリストは、怖くて医療裁判の報道はできなくなります。
- そして、本件決定文においてBPOが犯したもう一つの誤りは、説明義務違反は医療過誤とは違うという、医事法界の通説と異なる見解をBPOが出したところにあります。こんな初歩的誤りを犯す当該委員が、独自の判断で専門家の意見も聞かずに決定文を公表する体制は改めるべきです。
会場ではその概要説明とBPOの根本問題についてパネルディスカッションが行われ、会場からも有意義で建設的な意見が出て予定時間を大幅に超過、活発で充実した場となりました。会場には報道機関や医療側の関係者、大学生などの姿も見受けられました。
ここで会場の様子を伝え方で興味深いのは、
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会場には報道機関や医療側の関係者、大学生などの姿も見受けられました
尚、BPOの判断(誤判断)は当該大学の教授が放送の(枝葉末節な)一部を捉えた抗議で為されたものですが、これで大学側は一見功を奏したかのように見えたものの、結果的にBPOに抗議の要望書が出たり、シンポジウムでも取り上げられて「火に油を注ぐ」ことになりました。
ここもよく読まないと誤解しそうになるのですが、このレポートは東京医大被害者遺族ネットであり、BPOに抗議したのは医療の良心を守る市民の会です。つまり最初の大学教授からのBPOの抗議に「東京医大被害者遺族ネット」が懸念していたら、「医療の良心を守る市民の会」がBPOに要望書を出したり、シンポジウムが行われた事で「火に油を注ぐ」状態になったと言う事のようです。
この「火に油を注ぐ」と言う意味ですが、大辞泉には、「勢いの盛んなものにさらに勢いを加えるようなことをするたとえ」となっています。そうなると「勢いのさかんなもの」がどこかにいる事になります。さてどこにおられるのでしょうか。なんとなく火のないところに無理やり煙を立たせようとしている気がしないでもありませんが、ま、主観になりますからこの程度で置いときます。
この大学病院は東京医大とは関係ありませんが、東京医大もこれまで何度もマスコミを騒がせてきました。どこの病院であれ、マスコミに報道される要因を直視し、いたずらに被害者と対立しないよう心掛けて欲しいものです。
ここが一番面白かったのですが、「東京医大被害者遺族ネット」のレポートですから東京医大を持ち出すのはまあヨシとしましょう。微笑まざるを得なかったのは、
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どこの病院であれ、マスコミに報道される要因を直視し
この度の件は大学教授の独断行動か、大学病院の組織が背景にあるかは断言できません。BPOに抗議するのも自由です。しかし、事実誤認、論理矛盾があるとなると病院は一層患者さん達の信頼と世間の信用を失い「天に唾する」ことになりかねません。
詳細な内容と今後の活動についてはシンポジュウム主催者の報告を待ちたいと思います。
この
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しかし、事実誤認、論理矛盾があるとなると病院は一層患者さん達の信頼と世間の信用を失い「天に唾する」ことになりかねません。
「???」ですが、団体と言うか組織内では独特の言い回しと言うか表現が良く行われ、部外者には理解し難いことが多々起こりますが、これもその一例と理解すればよろしいのでしょうか。ここもそういう風にかの手の団体系は表現するぐらいに留めておきます。
さて、BPO『放送人権委員会』の第46 号委員会決定に関する要望書の一部を引用しておきます。おっと引用する前にこの要望書の提出者ですが、
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医療の良心を守る市民の会 代表永井裕之
医療情報の公開・開示を求める市民の会 代表勝村久司
一方で「倫理上の問題あり」とした誤った本件決定は、医療という専門家集団に切り込んだ報道番組に対して、その専門家集団からBPOに申し立てがあると、BPOは軽率にそれを受け入れて番組を批判するのではないか、という不安を報道現場に広げていることが容易に想像できます。つまり、今回のBPOの誤った判断は、医療ジャーナリズムを萎縮させ、専門家集団に切り込もうとする健全な報道スピリッツをなくし、医療をより良いものに変化させるきっかけをもなくすことにつながり、そのことは、健全な医療者やすべての患者・社会にとっても不幸なことです。
これもどうでも良い事ですが、BPOの決定如きでマスコミの「健全な報道スピリッツ」がなんと無くされるそうです。いやぁ、そんなに怖い怖い団体と思われているなら、BPOも大変嬉しく思われると存じます。それとも医療ジャーナリズムとはそんなにひ弱なものだと言う事でしょうか。医療ジャーナリストと親交の深そうな方々の主張ですから、これは真実かもしれません。
どうでも良い事ついでですから、BPOに抗議を出したからには、この抗議は当然の事ですが「受け入れられる」とかの団体系は確信しておられるとは思います。出す時にはそれぐらいの意気込みは必要とは思います。それは良いのですが、とくにこのレポートでは勝つ事を前提にしての結末を煽られています。重複しますが出しておきますと、
- この抗議が認められなければ医療ジャーナリズムを萎縮し、健全な報道スピリッツがなくなる
- この抗議が認められれば病院の信頼と信用が失われる
- この抗議が認められず医療ジャーナリズムを萎縮し、健全な報道スピリッツがなくなる
- この抗議が認められず病院の信頼と信用は損なわれない
前も感じましたが筋の悪い事をしているように思っています。BPOの抗議や裁定、勧告なんて屁の突っ張り程度の存在感です。今回の放映に関しても、あの団体が掘り出さなければ殆んどの方が興味も関心も無かったわけです。今回の放送を見た大部分の人が、あの放送がBPO勧告を受けているなんて、そもそも知らなかったわけです。
イメージ戦略からすると、そのまま放置の方が効果的と思えてならないのですが、わざわざ掘り出してくるセンスがなんともです。これで勝てばまだしもなんですが、勝てなければ「火に油」ではなく、駄目押しのダメージを喰らいかねません。かなり危険な戦術に素直に思います。それでもそういう戦術をあえて取る理由として考えられるのは、
- 筋が悪くともとにかく花火を打ち上げて注目を集める
- 注目を集めて、「抗議したから正義だ」のアピール戦術の効果を狙う
- BPOの審査の結果が良ければ再アピール、悪ければ知らない顔をするないしBPOに全面戦争(訴訟)を仕掛ける
ただ花火は上りましたが、一番期待しているであろう報道機関の反応はかなり鈍そうな印象です。ま、報道機関としても屁の突っ張り程度であってもBPOにあえて喧嘩を売りたいとは思わないと考えます。もちろん売る時は売るでしょうが、売るならばよほど美味しい材料が必要です。美味しさとは報道しただけで世論の圧倒的な支持が得られるような美味しさです。
なんか煮詰まりすぎて、鍋の底から煙が上りかけているように感じた次第です。それでもBPO相手に頑張られれば、その間は少しは静かになるかと思わないでもありませんから、悪い事ばかりではないかもしれません。