祝!サッカー女子ワールドカップ優勝

優勝しちゃいました。正直なところ優勝は難しいと思っていましたし、準優勝でも立派過ぎる成績と思っていました。決勝の展開も御存知の通り、2度も先行される苦しい展開で、これを執念で追いつき、さらにPK戦で勝つなんて夢のようです。試合の展開や、技術的な事はスノブなサイトがテンコモリありますから、うちは過去の戦績をまとめておきたいと思います。

女子サッカーは現在のところ、W杯と五輪がフル代表の互角の大会と位置付けられています。一時は五輪の予選的な位置付けにW杯があった事もありましたが、とりあえず互角とされています。将来的には男子の様に位置付けが変わっていく可能性もありますが、二大大会の成績をまとめてみます。

大会 1位 2位 3位 4位 日本
1991 W杯 アメリ ノルウェー スウェーデン ドイツ GL4位(0勝4敗0分)
1995 W杯 ノルウェー ドイツ アメリ 中国 準々決勝(GL:1勝2敗0分)
1996 五輪 アメリ 中国 ノルウェー ブラジル GS(0勝3敗0分)
1999 W杯 アメリ 中国 ブラジル ノルウェー GL4位(0勝2敗1分)
2000 五輪 ノルウェー アメリ ドイツ ブラジル 不出場
2003 W杯 ドイツ スウェーデン アメリ カナダ GL3位(0勝2敗1分)
2004 五輪 アメリ ブラジル ドイツ スウェーデン 準々決勝(GS:1勝1敗0分)
2007 W杯 ドイツ ブラジル アメリ ノルウェー GL(1勝1敗1分)
2008 五輪 アメリ ブラジル ドイツ 日本 4位(GS:1勝1敗1分)
2011 W杯 日本 アメリ スウェーデン フランス 優勝(GL:2勝1敗0分)
*GL:グループリーグ、GS:グループステージ


1991年にFIFA女子世界選手権として始まっていますが、90年代で勝ったのは1995年のGLでの1勝のみです。調べてみると対戦相手はブラジルで、スコアは2-1となっています。この時の2点が代表チームとしての初得点で、1991・1995年の2大会計7試合の唯一の得点試合となっています。この第1回・2回の成績なんですが、

大会 勝敗 スコア 対戦国 段階
1991 W杯 0-1 ブラジル GL
0-8 スウェーデン
0-3 アメリ
1995 W杯 0-1 ドイツ GL
2-1 ブラジル
0-2 スウェーデン
0-4 アメリ 準々決勝


当時の参加国は12となっていますから、奇跡の様にブラジルに1回勝ったと言うところでしょうか。1995年に1回勝って準々決勝に進出していますが、その次の勝利は2004年の五輪まで待たねばならなくなります。

大会 勝敗 スコア 対戦国 段階
1996 五輪 2-3 ドイツ GS
0-2 ブラジル
0-4 ノルウェー
1999 W杯 1-1 カナダ GL
0-5 ロシア
0-4 ノルウェー
2000 五輪 出場できず
2003 W杯 1-0 スウェーデン GL
0-1 ナイジエリア
1-2 アメリ 準々決勝


1991〜1999の4大会は、たまに善戦して接戦に持ち込んでいますが、それ以外の試合はハッキリ言って実力差からか粉砕される試合を繰り返していたとしても良いかと思います。サッカーと言うスポーツは、実力差がそれなりあっても、時に善戦出来る競技で、雨霰の様にシュートを浴びても、得点が入らない時はなぜか入らない試合になります。ただそうやって運だけで拾ったような勝利だけでは大会には勝てません。

あくまでもスコア上ですが、様相が変わり始めたのは2004年に2勝目をあげたアテネ五輪みたいのようです。この大会も戦績は1勝2敗ですが、いずれも1点差の試合展開で、それまでの大会のようにコテンパン試合がなくなってきています。直前2大会です。

大会 勝敗 スコア 対戦国 段階
2007 W杯 2-2 イングランド GL
1-0 アルゼンチン
0-2 ドイツ
2008 五輪 2-2 NZ GS
0-1 アメリ
5-1 ノルウェー
2-0 中国 準々決勝
2-4 アメリ 準決勝
0-2 ドイツ 3位決定戦


2008年五輪は3位決定戦進出の好成績を残したのですが、特筆すべきはGSのノルウェー戦の大勝かと感じます。ノルウェーはW杯、五輪で1回ずつ優勝、3位が1回、4位が2回の強豪国です。前年のW杯でも4位です。この大会は不調だったのかもしれませんが、それでも伝統国に大勝するのは地力のアップの証としても良さそうです。

もう一つ準々決勝で開催国中国に勝っているのもすごい事です。中国も90年代に2度の準優勝の成績を残しており、開催国の面子にかけての試合だったはずですが、これを完全なアウェイで退けているのは今回の躍進を予見させるものです。


90年代はまだまだ弱小であったので通算対戦成績は芳しくないのですが、今大会の対戦国の大会前の通算成績を示しておくと、

大会前の戦績
国名 FIFA順位
イングランド 0 1 1 10位
メキシコ 5 1 1 22位
ニュージーランド 3 0 1 24位
ドイツ 0 7 1 2位
スウェーデン 2 4 2 5位
アメリ 0 23 3 1位
*日本はFIFA4位


メキシコ、ニュージーランドは勝ち越しているのと、スウェーデンには案外相性が良いのがわかります。ただドイツ、アメリカとなると歯がたたない戦績であるのがわかります。とくにアメリカは二大大会の壁みたいな相手で、

大会 勝敗 スコア 段階
1995 W杯 0-4 準々決勝
2004 W杯 1-2 準々決勝
2008 五輪 0-1 GS
2-4 準決勝


通算でも0勝23敗3分とまさに世界の壁になっています。ドイツが強いのはなんとなくわかりますが、どちらかというとサッカー不毛国に属するアメリカの女子がこれほど強いのか少々不思議です。理由としては屋外で行われる集団球技で、アメリカの女子でプロとして成立している競技で、サッカーがメジャーであるというのがあるのだそうです。

アメリカのスポーツの強弱はある意味分かりやすくて、プロとして成立する競技は異常に強くなります。逆にそうでないところはイマイチのところがあります。サッカーでプロとして食えるとなると、そこに優秀な素質を持った競技者が集まり、しのぎを削りレベルが上る循環があるそうです。これはヨーロッパもあてはまるかもしれず、ある意味南米が当てはまり難いのかもしれません。

今大会も参加は16カ国ですが、オセアニアからNZ、オーストラリアの2カ国が出場しているのに較べて、南米はブラジルとコロンビアの2国です。中南米からメキシコとアメリカとカナダが出場していますが、南米より中南米が優勢とは男子と明らかに異なります。もちろんこの辺は、女性の社会進出の度合い、サッカーチームと言うより、女子サッカーリーグを運営できる経済力の差も大きいのかもしれません。


最後に今大会の戦績を示しておきます。

大会 勝敗 スコア 対戦国 段階
2011 W杯 2-1 NZ GL
4-0 メキシコ
0-2 イングランド
1-0 ドイツ 準々決勝
3-1 スウェーデン 準決勝
2-2
(3-1)
アメリ 決勝


多少の幸運もありましたが、堂々たる優勝と思います。多少の幸運と言っても、優勝するようなチームには必ずある程度のものであり、世界のトップと争える実力を備えたチームにのみ与えられる幸運と思っています。本当に優勝おめでとうございます。