S式セレブ・クリニックY風味

病院がクリニックを新設しています。まず病院の方ですが、

  • 周産期診療は、EBMに基づく周産期管理を基本としながら、自然なお産を目指しています。一方、高齢、多胎などのほか、合併症(悪性腫瘍、糖尿病、心疾患、てんかん等)を持っている妊婦さんや、赤ちゃんが病気をもって生まれてくる場合などの、「ハイリスク妊娠」といわれる方にも対応しています。妊婦健診は主治医制をとっていますが、チームでの診療も大切にしています。また東京都の地域周産期母子医療センターとして登録されています。


  • 周産期センターに登録されています。『児の安全性』を中心とし、それを踏まえた上での『快適さ』を追求する周産期管理を目指しています。また、Evidence based medicine(EBM)に基づく周産期管理を基本としています。

ありきたりと言うか、無難と言うか、普通の謳い文句です。うるさい人は「自然なお産」あたりに反応するかもしれませんが、ちゃんと「EBMに基く」との但し書きが入っていますから、問題とするところは無いように思います。


さてクリニックです。

  • 女性はみな産む力をもち、赤ちゃんも生まれてくる力をもっています。からだに眠っているその力を最大限に引き出すことができるのは、産む女性本人です。自分の持つその力を信じ、自ら最大限に引き出すための努力(妊娠中の身体づくり・養生など)をし、他の誰でもない自分のお産を成し遂げようとする人を歓迎します。人の温かさを、緑・光・風を感じる心地の良い環境で、あなたとあなたの家族らしいマタニティライフが送れるようにお手伝いします。


  • 助産院のようなクニックです<


      助産師が中心となってケアと運営を行う、医療介入のない自然分娩に特化した施設です。安定期の妊婦健診、出産の立会い、産後のケアを助産師*が行います。産婦人科医・小児科医の協力を得ながら、女性のもつ「産む力」と赤ちゃんが持つ「生まれる力」が最大限に発揮できる場所、新しい家族の誕生を応援する場所を目指します


  • 助産師とは


      助産師は、合併症がなく、正常に経過する妊娠・出産・産後の女性やその家族のケアの担い手です。妊娠・出産は本来病気ではありません。正常に経過できるように生活を整えるお手伝いをいたします。また、経過を通じて異常と正常の判断を行い、必要なときには医師と協力します。


  • 当院では以下のような治療はいたしません。


    • 帝王切開
    • 薬剤による分娩誘発、促進
    • 麻酔を使った分娩


  • 最新の助産研究に基づいた女性に優しいケアを目指して、新しい命の誕生を家族でむかえるあたたかい時間となるよう支援いたします。また、将来助産師になる学生や開業を希望する助産師の研修を受け入れています。当院助産師と共にケアに携わることがあります。ぜひ、ご理解とご協力をお願いします。

気になる費用ですが、病院の方はHPに見当らなかったのですが85〜95万円ぐらいの情報が見られます。一方でクリニックの方は、

入院・分娩費用は個室料金込みで63万円からとなっています。

この「から」ってのが微妙で、病院の方も情報として、

正常分娩の分娩費約¥80万

てのもあり、病院の方も80万円「から」が表現として正しいのかもしれません。あんまり縁の無い病院なので、これぐらいの情報提供にさせて頂きます。料金の方は、こういう医療機関を利用される方なので、たいした問題にはならないのかもしれません。


クリニックの方で気になるのは「それでも」が起こった時です。相手は分娩ですから、受診時に少々選別しても「それでも」は起こります。その場合には、

当クリニックにおかかりの間(妊婦健診・出産・産後を含む)母児に異常が発生した場合は、適切な医療介入ができる医療機関に転院・搬送となります。

この「適切な医療機関」がどこだろうになりますが、リンク先を確認していただければ判るかと思いますが、病院とクリニックはグループであり、近接しています。近接と言うより隣接で地図がありますが、それこそストレッチャーを押しながらでも余裕で病院に駆け込めるぐらいの近さです。道向かいですからね。

外野的には当然の事ですが、クリニックで「それでも」が発生したときには病院で対応してくれるはずと思うのですが、あくまでも表現は「適切な医療介入ができる医療機関」となっています。ただ病院の方も、

2007年12月7日 当院では分娩数の調整を行っています。当院での分娩を希望の方は予約をお取りください。

こういう状態のようですから、「必ずしも」なのかもしれません。



正直なところクリニックの実態についてはまったく知る由もありません。漠然と思ったのはどう表現すれば良いのだろうか、強いて言えばなんに近いのだろうかです。パッと浮かんだのはセレブ助産院です。そんなに相場に詳しくないのですが、分娩費用63万円「から」は相当な費用です。東京ならいざ知らず、その他の地域では63万円「から」なら地方のセレブ産婦人科になりそうな気がします。

とは言えあくまでも助産院ではなくクリニックです。無痛分娩はともかくとしても、遷延分娩などに対する陣痛促進剤投与や、緊急時の帝王切開も出来ないとは言え、クリニックです。そうなるとそんな事が出来ずにクリニックとして成立し、なおかつ著名なところと言えば某Y医院が思い浮かびます。そうなるとY式クリニックが適当かも知れません。Y式の本家の方は情報によると分娩費用は49万円「から」になっていますから、高い分だけY式セレブ・クリニックぐらいにはしても良いかもしれません。

ただY式とは相違する部分が多いとは思います。東京の真ん中で薪割りや畑仕事が無いみたいな些細な相違ではなく、確実なバックアップ病院の存在です。Y式の場合は恐怖の大王として周辺医療機関に君臨し、産科医療資源を平然と食い散らかしているのは有名です。しかしこちらは「適切な医療介入ができる医療機関」とはなっていますが、やはり病院と言うかグループの金看板を汚す様な事はしないだろうと考えます。

そうなると謳い文句はビジネストークと割り切って考えて、実態は病院から正常分娩(になる可能性が高いもの)を出来るだけ切り離しての、単純な業務拡大と見れないことはありません。つまりY式ではなくS式と言うわけです。S式なのにY式の匂いがなんとなく漂うのは、そういう潜在需要が多いとのマーケット・リサーチに基いたものとするのが妥当で、そうなると、S式セレブ・クリニックY風味ぐらいが適当かもしれません。

どうもY式の風味はビジネス・モデルとして有用なようです。この点については、力不足を痛感しています。