先に白状しておきますが、今週は朝日のワクチン記事をなんとか仕立てるつもりでした。予定では木曜日ぐらいに仕上がる予定でしたが、昨日も無理で、今日もタイムアウト状態です。自分で作った締め切りについに落ちてしまいました。それも「あと一歩」なんてレベルではなくて、実質的には白紙と同様で落っこちている状態ですから話になりません。プロでなくて良かったとシミジミ感じています。
今日の話題も、もう少し大上段に振りかぶる予定だったのですが、とてもそこまで余裕がなく、ほんの重箱だけ穿って、お茶を濁らさせて頂きます。10/21付中日新聞より、
聖隷福祉事業団(浜松市中区、山本敏博理事長)が浜松市内で運営する聖隷浜松病院と聖隷三方原病院は20日、手術を控えた一部の患者らに、求めがなくてもエイズウイルス(HIV)感染検査をし、費用を負担させていたと発表した。両病院は不適切な対応だったと認めて既に検査を中止し、約3万5000人に計6200万円を返金する。
手術前のHIV検査は、大量出血を伴う手術について静岡県では保険適用が一部認められているが、両病院では輸血が必要ない軽微な手術患者にも費用を全額負担させていた。
事業団が運営する聖隷横浜病院(横浜市)で今年、同様の問題が発覚し、両病院が調査していた。
聖隷浜松病院(浜松市中区)で開かれた両病院の会見で、荻野和功・聖隷三方原病院長は「当初は院内感染から職員を守るのを目的に、病院側の解釈でやった。少し無理があったと反省している」と述べた。
話は術前のHIV検査の取扱いです。この話の根幹は術前検査としてのHIV検査の位置付けの話になり、広げると日本のHIV対策まで及ぶのですが、これも結局話としてまとめきれない状態になったのは遺憾とするところです。本来は本論があって蛇足として加える程度のお話ですが、時間切れで蛇足部分のみをエントリーにさせて頂きます。どうにも手が回らなくて申し訳ありません。
妙なところが非常に気になってしまっています。まずですが、
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静岡県では保険適用が一部認められている
それが公然と「静岡県では」とローカル・ルールが存在する事を明示しているのに驚かされました。「静岡県では」と書くからには、他の都道府県では扱いが異なっている事を示唆している事になります。ここも申し訳ないのですが、小児科開業医なもので、たとえば現在のぢぎく県の術前のHIV検査がどう扱われているのかも存じません。
それでも「静岡県では」と書かれると、きっと異なる部分があると思わざるを得ませんし、事は術前のHIV検査にとどまらない事にも発想は行き着くことになります。こんな事を書いてしまって良いのかどうかへの疑問を素直に感じた次第です。
まあ、この「静岡県では」から取材を広げて、全国の都道府県のローカル・ルールの差を報道するぐらいの気概があればたいしたものですが、過剰な期待でしょうか。やればそこそこ面白いネタと思うのですが、やらないでしょうね。
もう一つありまして、
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両病院では輸血が必要ない軽微な手術患者にも費用を全額負担させていた。
混合診療の適用の知識もやや薄弱なのですが、例えばHIV検査だけを他の保険適用検査と別の日に行っていれば、形式上は混合診療を回避できる可能性はあると思いますが、同日であれば難しいような気がします。この辺も建前と現実の間をとりなす手法論は無いとは言いませんが、手法論はあくまでもお目こぼし的なところがあり、この件のように公然の問題となればチト困った事になりそうな気がします。
今朝は本当に時間切れ状態で、問題の本質とはかけ離れた重箱の話題で本当に申し訳ありません。やっぱり休載にすれば良かったかなぁ?