10/5付山陽新聞より、
現計画からの継続では、市町村が行う乳がん、子宮がん検診はともに現計画の目標30・0%を下回っているため、休日・夜間の実施などにより30%を目指す。
記事の大半を占める岡山大の地域枠増大計画については、ssd様の解説があるので今日は控えます。
記事にある「現計画からの継続」されるものとは「第6次県保健医療計画」(2011〜15年度)を指します。素案はみつからなかったので議事概要から関連しそうな話をピックアップしてみます。確認できたのは岡山県保健医療計画策定協議会の開催状況(第1回)の議事概要からだけで、
○委員
生活習慣病予防の悪性新生物で、がん検診の受診率の向上として、受診勧奨をいろいろ行うとあるが、数値目標達成状況のがん検診受診率で、乳がんと子宮がんがまだ20%ぐらい。また目標が30%になっているが、特に乳がんは検診受診率が大体50%に上昇しないと死亡率の減少には寄与できないと言われているが、受診勧奨だけで、現在の20%前後を30%、50%に上げるのは、ちょっと無理ではないかと思う。今年から津山市では、来てない人に年度末に再び通知するようにした。受診勧奨だけでなく、何か具体的な方法を考えているのか。また平成21年度に無料クーポン券が発行されたが、今後続くのか。
○事務局
がん検診受診率で、乳がん11.2%と非常に低い数字になっているが、岡山県では、従前から視触診も大変重要視しており、これを含めた受診率は全国でもトップレベルになっている。そうした中、受診率の算定にマンモグラフィ検診が必須ということで、こうした受診率になっており、マンモグラフィ検診の受診の勧奨、普及が大きな課題になっているところである。そして、マンモグラフィ検診を受診しやすい体制の整備については、現在医師会にもご協力をいただきながら、市町村も住民の方にわかりやすい受診勧奨の取り組みを進めている。ここに挙がっている受診率は、市町村が行う住民健診として行うがん検診の受診率であり、このほかにも、職域において実施されている検診あるいは人間ドックがある。それらを含めた受診率は、健康おかやま21の改訂に先立ち行う県民健康調査で把握できる。その資料は手元にないが、3〜4割の受診率であったと記憶している。また、21年度に実施された無料クーポン券の事業は、22年度以降も実施の方向で検討される市町村が多いと聞いている。
○会長
この問題はいろいろあると思うが、一つは受診される方々は女性の医師に診てもらいたいという要望がある。岡山方式といって、全国と共通に比較ができないようなやり方をしているので比較が難しい。講習会も、ただ講習を受ることに力を入れており、受診を勧めるようなやり方をしていない。もう一つ問題なのは、多くの受診者はマンモグラフィと視触診を一回で済ませてもらいたいとの希望があるが、うちは視触診しかしていないから、次はマンモグラフィのある所に行きなさいという状況がある。今のやり方にいろいろな問題点があると思うがどうか。
○事務局
乳がん検診の実施方法については、県が設置した生活習慣病等検診管理指導協議会の中の乳がん部会で議論を重ね、生活習慣病検診等管理指導協議会での議論を経て、現在の内容で実施している。ご指摘の受診しやすい体制の整備については、岡山県医師会にもご尽力をいただき、そして市町村にもどこに行けば1日で済むかなど、わかりやすく周知していただき、また医療機関においても体制をできるだけ整備し、また連携していただくなど、皆さんの力を合わせての取り組みが必要と考えている。
私が目を通す限りでは全部でこれだけです。この会議は岡山県HPの第6次岡山県保健医療計画の策定についてに公開されているのですが、第3回の会議まで公開されており、
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第1回 平成22年3月12日 (金曜日) 開催
第2回 平成22年5月25日(火曜日)開催
第3回 平成22年7月30日(金曜日)開催
第4回協議会は10月5日の火曜日の午後2時からこの会場にて開催を予定しております。
この第4回会議の時点で、
岡山県は5日、保健・医療施策の指針となる「第6次県保健医療計画」(2011〜15年度)の素案をまとめた。
1〜3回の議事概要を読み直してみたのですが、私が確認する限り「子宮がん」「乳がん」のお話は第1回の時のみです。つうか検診事業について言及されていたのはそこだけのようです。そうなると第4回の時に突然浮上して子宮がん検診の
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休日・夜間の実施
- がんを早期発見・早期治療するためには、市町村や関係団体等と連携し、がん検診の受診率向上が必要です。
- 受診しやすい検診体制の整備が必要です。
この
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受診しやすい検診体制の整備が必要です。
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休日・夜間の実施
○子宮頸がんの検査
子宮頸がんは、子宮の入口になる部分の頸部に発生します。検査はこの付近を綿棒やヘラのような器具で細胞をこすり取って行います。1、2分で終了し、痛みはありません。
○子宮体がんの検査
採取した細胞をスライドグラスに固定し、色素で染め、顕微鏡で観察(「細胞診」といいます)し、がん細胞の有無をみます。判定には1〜2週間かかります。子宮体がんは子宮の内部にできるので、少し湾曲した細い棒やチューブを子宮内部に挿入して、子宮の中の細胞を丁寧に採取して細胞診をします。多くは1〜2分で終了しますが、少量の出血とともに少し痛みを伴います。
これを休日も夜間も実施しようと言う方針である事がわかります。これはssd様のところへの子持ちししゃも様のコメントですが、
休日夜間の子宮がん検診!誰がやるんだ!
産婦人科医局から消失かも
私もそう感じたので岡山の決定の経緯を追いかけたのですが、実は岡山だけの話ではありませんでした。ググると結構ゴッソリ出てきますから、「乳がん検診 夜間」で見てください。どうも全国的に展開しつつあるような気がします。こういうものは横並びになりやすいですから、岡山も論議するまでもなく実行と言う運びになったようです。
一つだけ紹介しておきますと、山口県の報道発表からです。
県では、勤務等の都合により、がん検診を受診することができない方の受診を促進するために、医療機関や市町等の御協力により、休日や平日夜間にがん検診を実施する「休日・平日夜間がん検診体制整備支援事業」を実施することとし、別紙のとおり、その実施計画(9月〜11月)を策定しましたので、お知らせします。
もうちょっと具体的にはどうなっているかですが、
種 類 | 申込先 | 対 象 者 |
乳がん、子宮がん検診 (一次検診) |
各市町のがん検診担当課 | ※各市町のがん検診において、今年度の対象となっている方に限ります。 ・乳 が ん:40歳以上の女性 ・子宮がん:20歳以上の女性 |
大腸がん検診 (二次検診) |
医療機関 |
大腸がんの一次検診(便潜血検査) で陽性とされた者(要精密検査者) 【年齢制限なし】 |
山口では大腸がんの二次検診も休日に可能になっているようです。岡山は・・・ゴメンナサイ、乳がんと子宮がんの項目ばっかり追いかけたので確認できていません。
そりゃ、夜間休日に検診をやれば受診率は上るでしょうし、行政サービスとして住民に喜ばれるでしょうが、そのサービスを提供する側にとっては純粋の負担増になりますから内心は複雑です。そう言えば小児科でも平日の昼間に予防接種が受けられない子どものために、土曜の午後とか休日の昼間に予防接種をするウィーク(今は年に1回)が作られていますが、今後は常設の方向に進むかもしれません。
まあ本当に平日の昼間に受診できない切羽詰った事情の方がおられるのは理解しますが、こういう利便性の向上は平日の昼間に受診可能な方でも夜間や休日にシフトする現象を誘発させますから、この先の展開を考えると少々怖い感じもしています。学会とか医会レベルは積極推進の方向になっているのでしょうか。そこまでは調べていませんので悪しからずです。