8/3付産経新聞「【あめりかノート】ワシントン駐在特別編集委員・古森義久」
- http://sankei.jp.msn.com/world/america/100803/amr1008030318000-n1.htm
- http://sankei.jp.msn.com/world/america/100803/amr1008030318000-n2.htm
- http://sankei.jp.msn.com/world/america/100803/amr1008030318000-n3.htm
■露呈した偏向メディア
オバマ政権のアフガニスタン作戦に関する機密情報がインターネット上で流され、農務省の黒人女性職員の人種に関する発言が歪曲(わいきょく)されてネットで広められ、米国では内々のはずの情報がネットで頻繁に暴露されるようになった。だがこの一連の動きで日本側にほとんど伝わっていないのは各種メディアの記者、編集者らのオバマ氏支援談合ジャーナリズムの露呈である。
政治ニュースのネットサイト「デーリー・コーラー」は、「大手メディアの記者たちは2008年の大統領選では談合してバラク・オバマ候補を当選させるために活動した」というスクープ報道を流した。つい最近の7月下旬のことである。
この報道は民主党リベラル派の記者ら400人ほどが加わった「ジャーノリスト」というネット論壇で交換されたメッセージ合計約2万5千通を入手したうえで、リベラル派記者同士の協力や連帯の実例を伝えていた。発信者の名前や地位を明らかにしたメッセージはまずオバマ候補が08年4月、黒人過激派のジェレマイア・ライト牧師との長年の親交をあばかれ、窮地に陥った際の対策を提案していた。牧師は「アメリカに呪(のろ)いあれ!」と叫ぶ活動家である。
「ジャーノリストの会員多数が連名でライト牧師を批判するメディアに抗議して、不快感を表明し、圧力をかけて、今後の警告としよう」(ボルティモア・サン紙コラムニスト、トーマス・シャラー氏)
「メディアや一般の関心をオバマ氏とライト牧師の関係からそらすために、保守派の論客のフレッド・バーンズやカール・ローブを『人種差別主義者』と呼ぼう」(ワシントン・インディペンデント紙記者、スペンサー・アッカーマン氏)
「大手メディアの記者たちにライト牧師の話を無視することを訴えよう。この話は右翼が米国を牛耳ろうとする試みの一端なのだ」(ネーション誌記者、クリス・ヘイズ氏)
とにかくオバマ当選を恥ずることなく至高の目的とした政治プロパガンダなのである。ただ問題は発信者たちが表向きは非党派の客観性を掲げるニュースメディアのメンバーだという点だろう。
そもそも「ジャーノリスト」のサイト開設者はワシントン・ポスト編集者のエズラ・クライン氏だった。会員は同氏らの審査を受けて認められたリベラル派ばかり、タイム、ニューズウィーク、ニューヨーカー、ポリティコ、CNN、MSNBCなど多数のメディアのジャーナリストたちが内々で名を連ねていた。
会員たちはみなオフレコ・ベースで共和党副大統領候補のサラ・ペイリン氏の弱点の情報を交換しあっていた。「保守派論客のラッシュ・リムボウが心臓発作を起こせば、私は笑いが止まらないだろう」(KCRWラジオのプロデューサー、サラ・スピッツ氏)、「(保守派の情報配信の)マット・ドラッジは焼身自殺せよ」(ワシントン・ポスト記者、デービッド・ウェイゲル氏)という過激な書き込みもあった。ちなみにウェイゲル記者はポスト紙をこのコメントのために退社したという。
米国のジャーナリストの大多数が民主党びいきであることは知られていたが、これで完全立証ということだろう。インターネットは国防総省の秘密とともに、リベラル偏向メディアの実態をも明るみに出す新たな多目的の武器なのかもしれない。
話はオバマ大統領の選挙時の裏話のようです。アメリカ・メディアが「どうやら」オバマ大統領当選のために裏で連絡を取り合っていた事が「露呈」されたとなっています。私はアメリカのメディア事情にそんなに詳しくはないのですが、オバマ支持に加担したジャーナリストは、
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タイム、ニューズウィーク、ニューヨーカー、ポリティコ、CNN、MSNBCなど多数
オバマ支持に集まった「ジャーノリスト」も、
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リベラル派ばかり
取り上げている記事の日付を確認してもらえればわかるのですが、少し古めの記事でかなり塩漬けにしていたものです。もう少しアメリカ・メディアの情報を入手してから膨らます予定だったのですが、予定は未定になって、手抜きの「わからない」で進歩はしていません。ここで本当に気になったのは産経が何を言いたかったのだろうと言う点です。
産経の主張の前提は「アメリカ・メディアに偏向がある」です。実態は「わからない」にしましたが、記事中では偏向がある事が「悪い事」として取り上げているのは明白です。再掲しますが、
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インターネットは国防総省の秘密とともに、リベラル偏向メディアの実態をも明るみに出す新たな多目的の武器なのかもしれない。
これがサッパリわからなくて、あり得る可能性としては、
2.は実情と乖離しているので論外なので、1.と解釈する以外はないはずなのですが、どうにもそういう風に読めないのです。1.を意図しての記事として読もうとすると猛烈な違和感が湧き上がります。そうなると産経のスタンスは論外とした2.になるのですが、まさかそこまで自分の事を棚の上にあげて記事が書けるだろうかの深刻な疑問です。ただ私が読む限り、どう読んでも2.の姿勢に基いて記事が書かれている様にしか感じられないのです。自分の読解力を信じるならば、産経は2.の考え方でアメリカ・メディアを批判した事になります。真夏の怪談みたいな話ですが、記事の内容的にはそうです。
ほいじゃ、産経の主張が成立するにはどういう考え方を用いれば可能かを考えなければなりません。立ち位置の判定は絶対と相対があります。絶対とは固定の基準点を設定し、それに対しての立ち位置を判定する方法です。相対的とは、その時々の比較対象に対して自分の位置を判定する方法です。産経が自社や他の日本のメディアを絶対基準で公平中立であるなんて判定したら爆笑です。
そうなると論理的に、相対基準でアメリカに較べれば遥かに産経及び日本のメディアは公平中立であるとの主張であるに帰結します。帰結はするんですが、どうにも口の中に砂がジャリジャリ残る思いが拭いきれません。アメリカ・メディアの実態をもう少し調べておく必要があったのはこの点ですが、調べきれていないので、この点は保留としておきます。
ここでなんですが、立ち位置の判定基準が相対であるとした時に、判定基準がなんであろうの問題が出てきます。主観か客観かの問題です。ここを主観と考えればなんとか筋が通るかもしれません。つまり産経は、
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相対的な立ち位置を主観で判定した結果、産経及び日本のメディアはアメリカ・メディアより遥かに公平中立である