ペンはカネなり

天漢日乗様の機密費と政治部記者を読みながら素直に感じた事です。まず前半部を引用します。

    NHKの解説委員だった影山日出夫さんが局内で自殺を図り、翌日亡くなった。合掌。

    ところで、この件についてネットでは
     機密費がらみで「消された」んじゃないの?
    なんて陰謀説が出てるんだけど、政治のプロの友人は、こんな一言を。
     影山さんは死ななきゃならないほど「巨額の機密費」を貰っていたとは考えにくい
    そうで。ネットで噂されるほどの
     長期間、官邸付ではなかった
    ってことらしいね。で、更に、
     大体、そんなことで死ぬなら、日本中の政治部記者は全員死ななきゃならない
    そうだとか。

    国民が思う以上に
     各メディアの政治部記者は官邸から機密費をたんまり貰っている
    ってことらしいですな。

天漢日乗様も、別に確実保証のソースがあっての事ではないでしょうが、「そうだろうなぁ」と素直にうなづいてしまいます。これは8/14付読売新聞ですが、

官房機密費使途開示訴訟、「公開、国益害す」内閣総務官

 官房機密費(内閣官房報償費)の使途を開示しないのは違法として、大阪市の市民団体「政治資金オンブズマン」のメンバーが、国に不開示処分の取り消しを求めた訴訟の口頭弁論が13日、大阪地裁であった。機密費の使途を知る千代(ちしろ)幹也内閣総務官(57)が証人出廷し、「国内外の難しい政治課題の解決に協力してもらうための経費。使途を公開すると、相手方との信頼関係が崩れ、国益が害される」とし、具体的な使途は明らかにしなかった。機密費について担当官僚が法廷で証言するのは極めて異例。

 千代氏は2006年7月に内閣総務官に就任。これまでに7人の官房長官に仕え、機密費の出納簿の作成補助などを行っている。

 千代氏は、被告の国側の申請で証人出廷。機密費が協力者との会合費や交通費、贈答品代などに充てられ、領収書などが首相官邸で厳重に管理されていることを説明。官房長官を務めた野中広務・元自民党幹事長が「機密費を首相に渡した」と発言したとの報道については、「具体的使途につながるので答えられない」と述べた。

 訴状によると、メンバーは、安倍元首相が官房長官だった05〜06年に支出された計約10億円の機密費の使途に関し情報公開請求したが、全面不開示となったことから07年5月に提訴した。

なるほど、なるほど官房機密費は

    協力者との会合費や交通費、贈答品代などに充てられ
さすがは内閣総務官で「カネを渡した」とは言いませんね。ま、贈答品であっても「商品券」なんて便法もありますから、これ以上はわかりません。それと気になるのは、首相官邸で「厳重に管理」であれば、事実上誰もチェックできないのと同じ意味になります。ちょっと古いのですが4/30付朝日新聞に、

 小渕内閣で1998年から99年にかけて官房長官を務めた野中広務氏が30日、当時の官房機密費の取り扱いについて、「毎月5千万〜7千万円くらいは使っていた」と暴露した。首相の部屋に月1千万円、野党工作などのため自民党国会対策委員長に月500万円、参院幹事長にも月500万円程度を渡していたほか、評論家や当時の野党議員らにも配っていたという。都内で記者団に明らかにした。

 野中氏はさらに「前の官房長官から引き継いだノートに、政治評論家も含め、ここにはこれだけ持って行けと書いてあった。

私は必ずしも政治に完璧な透明性を求めているわけではありませんから、機密費なるものがあり、これの使途を明かせないというのもある程度は理解します。そういう部分も政治にあって然るべしだと思うからです。ただ無制限に許容するかと言われれば、ちょっと話が違います。内閣総務官が主張する

    国内外の難しい政治課題の解決
主な用途が本当にこうであれば許容します。ただなんですが、この「国内外の難しい政治課題の解決」が政治部記者を買収しての世論工作ならチト話が異なってきます。もちろん、そういう政治手法も国益のためならば時には必要かもしれませんが、これは天漢日乗様からですが、

    今回、機密費絡みでなんかマスコミでしゃべっている
     元政治部記者
    がいたら、たぶん、そのヒトがこれまで貰ってた額は、われわれ庶民が想像できない額だろうね。

    というわけで
     長期間、官邸付だった政治部記者の経歴がある人物
    の懐には、
     庶民感覚では理解出来ない額の機密費が流れ込んでいた可能性がある
    と考えるのがよろしいようで。

とりあえず気になるところだけ上げておけば、、

  1. 政府から税金(機密費)をもらいながら、これを申告していないかもしれない(脱税の可能性)
  2. 記者は会社以外から多額の報酬を受けている(社内規定の兼業とか副業の禁止に該当の可能性)
  3. 記者は会社以外の権力の要請に従っている(報道の独立性の問題)
今さらの事に目くじらを立てると余計暑くなりますから、「どうなっているのだろうな?」ぐらいにしておきます。これも一つの記者クラブ利権ぐらいに評しておけば良いのでしょうか。それはそうと、ちょっと面白い構図が浮かぶような気がしています。これも天漢日乗様からなんですが、

     政治部は出世頭
    だからね。
     国民の税金から機密費を貰っている
    わけで、まあ、
     なぜマスメディアの記者は、みんな血道を上げて「政治部」に行きたがるか
    てのが、わかりますよね。

政治部の記者が多大の機密費の恩恵に与っていると「仮定」すれば、とくに総理の記者会見と記事の内容との相関性に興味が出てきます。総理なり官房長官が記者の質問に苛立つ時はやはり、

    お前ら、機密費渡したばかりやないか!
こういう思いが総理なり官房長官の念頭にありそうな気がします。総理ならひょっとして、
    官房長官の野郎、記者への機密費をケチりやがったんやないか!!
こんな事も考えているかも知れません。記者側も記者側で、
    あんなもんは、ただのお小遣いやないか。提灯記事が欲しいのなら、誠意ぐらい勉強しとけ!!!
機密費による買収額が少々大きくとも、もらう方の記者にすれば「もらい慣れ」が当然出てきます。普段の小遣い分では不感症になり、その程度は「もらってない」と同等の感覚になり、提灯記事代は別料金のオプションになるとでもすれば良いのでしょうか。普段の小遣い相場もそうかもしれませんが、オプション相場もある程度「言い値」でから、一度上ればそうそうは下がらないと考えられます。

そういう感覚で記者会見の臨んだり記事を書いていれば、記者会見も記事も機密費の価格交渉の場になるとも考えられます。機密費が安いと感じれば、記者会見でネチネチと重箱質問を執拗に繰り返し、これまた重箱の失言を掘り出して大々的に書き立てます。これを続けられると官邸側はたまりませんから、要求額の機密費を渡さざるを得なくなると言う寸法です。

なんとなく麻生元総理はかなりケチったんじゃないかと想像されます。ケチった結果が漢字の読みへの袋叩き記事で、麻生元総理は行なった政治と別次元の原因で評価を落とす羽目になったとも考えられます。バーに行くのも相当叩かれてましたからね。

それとこういう関係はもう一歩進む可能性があります。通常の関係は機密費の代償に提灯記事ですが、機密費をもらわずに提灯記事を書いても、後で請求書がキッチリ出される関係です。そんな関係があったんじゃないかと想像されるのが鳩山前総理です。記者側にすれば「政権交代」の気運を彼らの感覚でいえば「代償を期待して」で書きたてた関係です。

もちろん、その分の請求書と言うか見返りがたんまりもらえると期待していたら、案に相違して大した事がなかったと考えています。記者側にすれば、

    この総理には「常識」ちゅうものがないんか!!!!
こういう感覚で「教育的指導記事」を連ねて行ったと考えます。ただ鳩山前総理の常識は「宇宙人」と言われるぐらいですから、在任中はひたすら教育的指導記事から、さらには懲罰的指導記事で終ってしまったとも考えられます。

現総理はどうでしょうか。ちょいと微妙なんですが、政治部記者の感覚的に衆参両院の多数派形成は機密費の価格交渉的に宜しくないの感覚が働いた可能性があります。至極簡単には、ねじれ国会時代の自民党政権時代より、両院多数の民主党政権の方が相場が上げ難い、もしくは下がる傾向があったのかもしれません。そうなれば、再びねじれ国会に戻し、記者クラブ買収の価値を高めるのが良策になります。

現総理の消費税発言に猛烈に絡んだ理由はそれかもしれません。そいでもって狙い通りねじれ国会が形成され、現総理も党内に巨大な不穏分子を抱える状態ですから、目論見どおりに機密費の相場アップが果たされたと見えないこともありません。

現総理は不思議な人で、何もせずに参議院選挙に臨んだのに人気が落ちて惨敗し、その後も何もしていないのに支持率が再び上昇するという真夏の怪談みたいな政治を行なっています。その裏側に記者クラブへの機密費の使いっぷりがあるとすれば、妙に納得してしまいます。現総理にすれば9月の代表戦が大きな関門ですから、そりゃ湯水の様に機密費を使っていても不思議ありません。



あくまでも「仮に」ですが、こういう構図があるとするなら、

  1. 政治部記者買収のための機密費の流れが常時ある
  2. 常時あるがために政治部記者は機密費の金額には感覚が麻痺する
  3. 麻痺した感覚で常に増額を要求する
  4. 増額を要求するために、少々の機密費では甘い記事を書かなくなる
こういうサイクルの上で、政治記事は常に政権への辛口記事になり、見た目上は「社会の木鐸として権力を監視している」みたいに外形上はなっているのかもしれません。甘い記事を書かないのなら機密費をやめたらよさそうなものですが、やめたら今度は記者クラブの総力をあげての袋叩き記事、もっと言えば政権打倒記事の洪水になるとも考えられます。

本当に政治部記者に機密費が渡っているかどうかの真相などは確かめようがありません。天漢日乗様のところのコメントにこういうのもあります。

    野中氏は関西のテレビ番組で官邸付きの現場の記者には渡してないと言っていましたが、渡していたのは評論家といわれるような人達だと。
    最も自分以外の官房長官については知らないとのことでしたので確実に渡ってないとは言い切れませんが。
    この問題、一部のフリージャーナリストが言ってることを全面的に信用するのはいささか躊躇われます。

私も全面的には信用はしていませんが、さりとて否定できる材料もありません。勘ぐれば、あれほど必死になって記者クラブ制度を死守しているのも怪しいです。フリージャーナリストも質は玉石混交であるのは言うまでもありませんが、利権に与れないやっかみからのものだと考えれば、逆に信用できる面もあるとも言えます。そういう裏情報はジャーナリスト同士の方が業界情報として集めやすいですからね。

それと記者会見のオープン化の動きも考えようです。オープン化してしまえば、買収相手が限定ではなくなり、さらに買収事実の機密の保持が難しくなります。難しくなる方向性を打ち出すと言う事は、記者への機密費をやめようの動きとも解釈も出来ます。これは買収側の大きな脅しで、買収をやめただけなら袋叩きで対応できますが、オープン化がセットとなれば、記事情報の独占の利権も失う事になります。

記者クラブ制度の非常識性は既成マスコミがカルテルを組んで抑え込んでいるだけで、ネットが発展してくるといつでも火を噴きます。ネットの力は制御も難しいですが、一旦動き出すと大新聞社であっても経営を傾けさせます。ですからオープン化とセットの機密費カットは、既製マスコミにとって機密費利権だけではなく、記者クラブ全体の利権を失う危険性も出てくるわけです。


あきまへんな。

軽めのネタで冷たく笑って、残暑払いのつもりだったのですが、書いているうちにカッカしてしまい、憶測ソースだらけの三流週刊誌みたいになってしまいました。思い通りに書けない時は、こんなものでと言う事で宜しくお願いします。