余りにもローカルな診療ネタで気が引けるのですが、最近この問合せが多くてスタッフも音を上げているので、情報収集を行なったついでのエントリーです。とりあえず公式には一切情報がありません。この手の医療情報の伝達で、医療機関が後回しになるのは毎度の事なんですが、Hibワクチンも少々費用がかかりますから、問い合わせてくる心情だけは理解しないといけないかもしれません。
ただしここでもう一度強調しておきます。
さて話の出所はどこかになります。とりあえず神戸市でもヒブワクチンの助成の話はあるのだけはわかります。署名運動が行なわれていたりはあるのですが、神戸市会議員金沢はるみのブログにこうあります。これまで、何度も新日本婦人の会の皆さんが議会に陳情を出されていた「ヒブワクチン予防接種公費助成」が神戸市でも実現します。ヒブワクチンは、小児細菌性髄膜炎という乳幼児の病気で、重症化したり死亡したりすることもあり、ヒブワクチンの接種により発病を防ぐことが出来るとされています。しかし、4回接種しなければならず、 1回の接種費用が7千円〜8千円と高額でなかなか接種できない状況でした。この度、兵庫県と神戸市の助成制度ができることとなり、ワクチン接種が受けやすくなります。お母さん達の運動の成果です。
市会議員のブログですからある程度の信用を置いても良いと思うのですが、これは2/27付のものですがはっきりと、
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この度、兵庫県と神戸市の助成制度ができることとなり、ワクチン接種が受けやすくなります。
県は全41市町の実施を前提に新年度予算に約4660万円を計上。実施主体の市町が接種費用の半額を助成した場合、その半分(全体の4分の1)を財政支援する。 対象は、発症の7割を占める2歳未満児。接種回数は年齢に応じて4回、3回、1回の3段階に分け、1回の補助限度額を2000円に設定した。 これにより、自己負担額は大幅に軽減される。
おそらく神戸市もこれに乗っかると考えられます。そうなると、
- 対象は2歳未満
- 接種費用の1/4は兵庫県が助成
- 接種費用の1/2は神戸市が助成
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(県の助成ですが、市町村が半額以上助成したときに残りの部分に1/4の助成を行なうのではなく、市町村助成のうちの1/4を助成すると解釈するのが正しいのではないかの指摘をfalcon71様から頂きました。私もその方が正しいと思いますから、仮に1回の接種費用を8000円とすると市町村が2000円、県が2000円、家族負担が4000円になります。)
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そんな話もあるようだが、どうなるかについては全くわからない
どうなっているかなんて想像推測のレベルになりますが、兵庫県の助成制度の決定を受けてのものなら、新年度になってからの補正予算で助成費用は組まれると考えられます。神戸市会の日程は第2回定例会が15日間の審議日程で、6〜7月に行なわれるとなっているようですから、この定例市会でヒブワクチン助成の審議が行われると考えるのが妥当かと思われます。
7月と言う話はおそらく第2回定例会が6〜7月に行なわれるので、そこで決定するだろうが根拠ではないかと推測されます。ちなみに昨年は6月11日から6月24日の間に行なわれたようですから、今年もそれに近い日程で行なわれれば7月1日から助成が行なわれる可能性は確かにあります。
さて助成内容がどんなものになるかです。兵庫県の助成を受ける条件は接種費用の半分以上です。誰しも願うのは全額補助ですが、神戸市も貧乏ですからそうなるかどうかは藪のうちです。おそらくですが、近隣市町村を横目でにらんでの条件になりそうです。県庁所在地であり、政令指定都市でもありますから、横並び感覚のどん尻と言うのも嫌でしょうが、見栄を張るほど予算も無いという言うところです。
間違い無く参考にするであろう西宮市の助成条件を参考に示してみます。
西宮市に居住する2歳未満の方を対象とし、生活保護世帯の方は接種費用の全額(接種1回につき上限8000円)、保護者の市町村民税(所得割)課税年額が23万5千円未満の方は接種費用の1/2(接種1回につき上限4000円)を公費助成します。
所得割の市町村税が23万5000円とはどれぐらいの所得になるかが難しいのですが、所得割の計算方法は
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所得割額 =(所得金額 - 所得控除額) × 税率 − 税額控除
ここは断っておきますが、税金計算には自信がまったくありませんから、間違っていたらゴメンナサイです。ただ500万弱程度と言うのは微妙な額ですから、そんなものかもしれません。
ただ西宮市の制度を見て少しだけホッとしているところはあります。医療機関が設定する接種費用は基本的にスルーである点です。これが良いことか悪い事かの評価が微妙なんですが、いきなり全市の接種費用の公定価格化がなされていない事です。たぶん全額補助で無いので出来たのでしょうが、全額補助なら価格の統一は前提条件になるだろうからです。
もちろん神戸市が同じような設定になるかはわかりません。神戸市ではインフルエンザ接種も公定価格ですから、ヒブワクチンもそうしないという保証はありません。そんな事をなぜ心配するかと言えば、
- 今でも助成前に接種した保護者から恨まれそう
- 公定価格が現在の費用より安ければさらに恨まれそう
助成決定の前に情報をリークして現場を混乱させたくないとの意図と好意的に受け取っても良いのですが、一方で突然発表されても現場の困惑は当然生じます。助成のある無しでは希望者への負担が5000円3000〜4000円ぐらいは変わりますから、制度の変わり目で「損をした」の思いは必ず生じると考えるからです。カネの恨みは怖いですし、恨みが向けられるのは神戸市ではなく医療機関に向けられるのはほぼ確実でもあるからです。
今月はともかく来月、とくに後半はヒブワクチンの接種を極力控えておく方が無難かもしれません。希望者が全額自費で接種して帰宅したら、7月1日から助成決定のニュースが流れていたなんてシチュエーションはゾッとします。そうなれば医療機関に文句の一つも言いたくなるでしょうからね。
私が集められた情報はこの程度です。残念ながらこの程度の情報では、問い合わせ対応にはあんまり足しにならないのですが、知らないより知っておいた方がマシだろうぐらいで提供しておきます。