新型インフルエンザワクチン方針決定だとか

9/16に新政権スタート以来、長妻大臣が新型ワクチンについてコメントされないのは不思議と思い、厚労省HPにある大臣記者会見をチェックしてみました。話していてもマスコミが取り上げていないはありうるからです。そしたら幾つかありました。新型ワクチン関係だけピックアップします。

まず9/17です。

(記者)
 新型インフルエンザについてですが、ワクチンの接種と確保ですが、確保に関して言えば現在海外の2つの企業と輸入について契約交渉を行って来ているわけですが、この交渉はこのまま続けられるお考えなのか、そういった指示を出されたのかということが一つと、先般、厚生労働省として接種の優先順位をパブリックコメントにかけて3千人くらいの方から意見を募っているという積み重ねがあるのですが、その優先順位に関する議論は現行のものをそのまま検討していくというお考えでしょうか。

(大臣)
 前者の質問については、実態把握が必要だと思っておりまして、基本的にはこれまでの経緯もございますので、これも非常に緊急課題として現状をいろいろな専門家も含めて聞いてみたいと思います。そして、ワクチン接種の優先順位についてですが、これについても多くの専門家の方から御意見をいただいておりますので、私も再度そういう方から御意見をいただいて基本的に今の状況で問題がなければそのとおりだと思いますが、現状として本当に問題がないのか私はまだ把握はしておりませんので、それをきちんと把握した上で速やかに決定をして行きたいと思います。

(記者)
 喫緊の課題のわけですが、現状把握にどの程度の期間を取られる御予定でしょうか。

(大臣)
 本当に待ったなしですので、国内ワクチンの接種が私の聞いたところによると10月下旬ということですので、それに間に合うタイミングで決めなければならないと認識しております。

おぉ、長妻大臣に大変失礼な事を申し上げました。ちゃんと10月下旬にワクチン接種を間に合わすと明言しております。こういう記者会見の発言は軽くないと思います。続いて翌日の9/18です。

(記者)
 閣議が終わった後にしばらく官邸に残られたと思いますが、総理とお話をされたのか、その場合どのような指示等があったのかお聞かせ下さい。

(大臣)
 これは、昨日私の方から、総理にお話をしたいということでアポイントを取らせていただいてお話を申し上げました。テーマとしては新型インフルエンザの対策でございます。昨日、横浜市において12歳の方がお亡くなりになったという情報がございまして、それも含めて、インフルエンザ対策本部もなるべく早めに、総理も外遊されますので、その後に開催をしたいと考えておりますけれども、それも含めて、現状を私の方から御報告を申し上げたということであります。

(記者)
 総理からは何か。

(大臣)
 総理からは、「国民の皆様の不安が増大しないようにしっかり対応して下さい」と、こういう御指示を頂きました。

長妻大臣はインフルエンザ対策本部の開催を気にしているのがわかります。この日はもう1ヵ所あって、

(記者)
 新型インフルエンザの話に戻るのですが、ここに来て12歳の方が亡くなったり、病歴がはっきりしない方がなくなったり、国民の不安も高まっていると思うのですが、今後どのような対策をされて行きたいかという点で、政府の中に対策本部があると思うのですが、総理の方に対策本部の開催を求めたかどうか2点お聞かせください。

(大臣)
 本日、対策本部長は鳩山総理大臣ということで、なるべく早く開催しましょうというお話もいたしました。

手続き的にインフルエンザ対策本部を開催して、そこで決定しないと先に進まないと理解しても良さそうです。対策本部は鳩山首相が本部長のはずなんですが、首相も9/16組閣の後、9/21〜9/26に外遊に出かけられています。9/27には国技館総理大臣杯授与を行なっていますが、9/29の大臣記者会見には、

(記者)
 新型インフルエンザ対策ですが、大臣は早々に本部を開きたいとお話もありましたが、開催日程は如何でしょうか。

(大臣)
 ワクチン接種の時期も迫っておりますので、速やかに開いていきたいと、そう遠くない時期に開催をして、色々決めなければならないこともございます。閣議決定が必要な部分もございますので、速やかに開催をしていきたいと思っております。開催の主体は内閣の方でございますので、そういう形でお願いをしているところであります。

鳩山首相も帰国後は多忙で、9/29時点でもインフルエンザ対策本部は開催出来ていない事が確認されます。どうもなんですが、どう考えても新型ワクチンはこの対策本部の承認がないと手続き上、次に進めないと考えて良さそうです。待望の対策本部の開催は10/1にあったようです。10/1付読売新聞より、

政府の新型インフルエンザ対策本部(本部長=鳩山首相)は1日、ワクチン接種に関する基本方針を正式決定した。

これに伴う接種時期の問題については他の医療系ブロガーの方がされると思いますから、今日は簡単にしておいて、本来と言うか、もともとの案ではスケジュールがどうなっていたかを確認してみます。もちろんこのスケジュール案は前政権時代に立案されたもので、現政権がどれほど重視しているか不明ですが、具体的に書かれているソースがこれぐらいなので参考程度になると思います。

ソースは9/8に厚労省都道府県担当者を呼んで行なった説明会の配布資料です。wam net様に新型インフルエンザ対策担当課長会議資料(平成21年9月8日開催) としてあり、その中に(参考)国、都道府県、市町村において実施すべき事項があるので、実施時期を表にまとめてみます。

提示目安時期 内容
9月中旬 ・標準的接種スケジュール
・受託医療機関窓口提示証明書一覧
・予防接種済証
医療機関選定の指針
9月下旬 ・ワクチン接種に係る被接種者向け説明書案
・予診表様式
・副反応報告要領
・委託契約書
9月末 ・対象者の範囲
・基礎疾患を有する者の「優先接種対象者証明書」様式
10月上旬 ・ワクチン使用・保存に関する指針
10月中旬 ・全国受託医療機関一覧
・接種数報告要領
10月下旬 ・ワクチン供給の指針


ここで10/1付共同通信(47NEWS版)の一部を引用しますが、まず、

方針によると、接種は国と委託契約を結んだ医療機関で実施。

とあり、さらに、

 最優先の接種対象者は(1)インフルエンザ患者を診る医療従事者(約100万人)(2)持病のある人と妊婦(約1千万人)(3)1歳から小学校低学年の子ども(約1千万人)(4)1歳未満の乳児の保護者と優先対象だがアレルギーなどで接種を受けられない人の保護者ら(約200万人)。このほかに小学校高学年と中高校生(約1千万人)、持病のない高齢者(約2100万人)も優先される。

 接種は、母子健康手帳や健康保険証で優先対象であることを確認しながら原則予約制で行う。

 医療従事者以外の接種開始時期の目安は、持病のある人と妊婦が11月初め、1歳から小学校低学年の子どもは12月、乳児の保護者は年明け、小学校高学年と中高校生、高齢者は1月前半。

これらから確認できるのは

  • 医療機関選定の指針
  • 対象者の範囲
  • 標準的接種スケジュール
  • 受託医療機関窓口提示証明書一覧
少なくともこれらは「決定されたらしい」として良さそうです。これらはスケジュール案では9月中旬に行なわれる予定であったものとほぼ合致します。そうであれば、おおよそ2週間以上遅れて新型ワクチン計画は進行していると受け取る事も可能です。もちろん9/8の案のまま進行するかどうかは全く不明です。


この遅れが接種スケジュールに影響したのかそうでないのかは、現時点では明言は避けておきます。ただ医療関係者なら誰でも一言は注文つけたくなる接種時期については、長くなるので今日はわざと書きません(時間が無いだけなんですが・・・)。もちろんコメ欄で議論してもらう分には問題ありませんし、私も一言だけは書いておきたいのですが、

    1歳から小学校低学年の子どもは12月、乳児の保護者は年明け
「う〜ん」と朝から唸っています。