乳幼児向け肺炎球菌ワクチン、国内初承認
乳幼児の髄膜炎などを予防する肺炎球菌ワクチン「プレベナー」(ワイス社、東京都)が31日、厚生労働省薬事・食品衛生審議会の部会で承認された。今後、上部に位置する分科会の審議を経て年内にも発売される見通し。同省によれば、海外90カ国・地域で承認されているが、国内は初めて。
成人向けの肺炎球菌ワクチンはすでに承認されているが、今回のワクチンは、免疫系が未成熟な幼い子どもに効くように作られた。国内の2〜6カ月の乳児181人を対象にした臨床試験では、ほぼ全員で抗体ができたという。
乳幼児の肺炎球菌による髄膜炎は極めて重い病気で、10〜30%が死亡し30%で後遺症が残るとされている。海外16カ国で国が推奨する「定期接種」の対象になっている。
同じく乳幼児に重い髄膜炎を起こす「インフルエンザ菌b型(Hib=ヒブ)」のワクチンは昨年ようやく日本で発売され、肺炎球菌ワクチンが残った課題となっていた。
おぉ、これはまた勉強しておかないといけませんが、これは楽しい勉強になります。亀の歩みの感はありますが、日本の予防接種もほんの少しだけ世界標準に近づく事になります。肺炎球菌ワクチンは教科書的な知識はありますが、何回接種するとか、具体的な副反応はどうなのかとかは、しっかり知識をつけておかないと説明に困ります。
もうちょっと情報が欲しいところなのですが、発売元のワイスの承認申請時の報道資料があるので引用します。
ワイス株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:倉田 進、以下「ワイス」)は、本日、厚生労働省に対し7価肺炎球菌結合型ワクチン「プレベナー®」の輸入販売について承認申請を行いました。プレベナーは、肺炎球菌感染症を予防する唯一の乳幼児向け肺炎球菌ワクチンです。
プレベナーは、90種類以上ある肺炎球菌の血清型から、小児において侵入性肺炎球菌感染症を引き起こす可能性の高い7つの血清型(7価)を選んでワクチン化したものです。この7価は、より重症度の高い疾患(敗血症、菌血症など)の原因のほぼ8割を占めています。現在日本では、乳幼児向けの肺炎球菌ワクチンとして承認されている薬剤はなく、承認を得られれば本ワクチンが国内初の乳幼児向け肺炎球菌感染症ワクチンとなります。
肺炎球菌感染症とは、肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)によって引き起こされる疾患で、代表的なものに菌血症/敗血症、髄膜炎、細菌性肺炎、中耳炎があります。WHOによれば、世界では肺炎球菌感染症により毎年約100万人の乳幼児が死亡に至っており、肺炎球菌感染症はワクチンで予防可能な疾患の代表的なものです。特に、肺炎球菌によって引き起こされる髄膜炎は、ほかの菌の場合と比べ重症化しやすくする場合が多く、40%以上が予後不良であることが報告されています(*1)。
2000年よりプレベナーを小児期の定期接種ワクチンとして導入した米国では、導入前と比較し、ワクチンに含まれる肺炎球菌の血清型による髄膜炎、菌血症の発症が94%減少したことが既に確認されており、プレベナーがもたらす疾患予防効果が実証されています。
発売元のワイスの説明なのでよい事ばかりが書いてありますが、ここで分かることは成人用の肺炎球菌ワクチンである「ニューモバックスNP」とはちょっと違うものである事です。乳児用の肺炎球菌ワクチンは「プレベナー」と言うそうですが、プレベナーは
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7価肺炎球菌結合型ワクチン
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小児において侵入性肺炎球菌感染症を引き起こす可能性の高い7つの血清型(7価)を選んでワクチン化したものです
理由は2歳未満の子供ではIgG2産生が不十分であるともされ、実際に接種した子供の検証でも、接種をしてもしなくても差がなかったとのレポートもあるそうです。
えらそうに書いていますが、完全に受け売り知識で、なおかつやや古めの知識なので訂正・補充情報をお持ちの方は宜しくお願いします。つまりはと言うほどではありませんが、従来のニューモバックスNPでは効果が期待できなかった2歳未満の小児にも有効となる様に改良されたのがプレベナーと言う事になります。効果は、
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米国では、導入前と比較し、ワクチンに含まれる肺炎球菌の血清型による髄膜炎、菌血症の発症が94%減少したことが既に確認
後はメーカーのMRを呼んで説明を聞こうと思っていますが、問題は価格と供給になりそうな気がします。ニューモバックスは薬価として4835円となっていますが、プレベナーが果たして幾らになるかです。また供給はHibワクチンで長期の予約待ち状態を起していますが、同じような状態になるのはあんまり嬉しいとは思えません。
もう一つは推奨される接種時期もあります。時期として参考になりそうなのは、Asahi.comの記事に、
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国内の2〜6カ月の乳児181人を対象にした臨床試験では、ほぼ全員で抗体ができたという