食傷気味で逃避していた感染地日記なので、情報が気持ち古くなっていますが、5/27 16:15着信の神戸市医師会新型インフルエンザ対策本部からの新型インフルエンザ関連情報(第22報)です。
■先般、PCR検査について実施希望医療機関を募りましたところ、5月26日13時の時点で、270余りの医療機関からの申し込みがございました。本当に有り難うございました。
事情によりすべての医療機関のご要望にお応えできないことは前にお伝えしましたが、そこで昨日、対策本部で各区10医療機関あて、全体で約100医療機関を新たに選定させていただきましたことをご報告いたします。漏れた医療機関については心よりお詫び申し上げます。
PCR検査のみならず、全区的なインフルエンザ症例のサーベイランスについても今後とも各位のご協力をお願いいたします。
■新型インフルエンザ検査件数直近情報(環境保健研究所 5月26日午後2時現在)
月日 陽性件数A 検体件数B 陽性率(%)
C=A/B検体を採取した病院の種別 発熱外来
(うち協力病院)その他 5月15日 1 1 100.0 0 1 5月16日 12 17 70.6 15(0) 2 5月17日 31 101 30.7 99(1) 2 5月18日 14 87 16.1 86(1) 1 5月19日 17 118 14.4 113(1) 5 5月20日 11 55 20.0 55(11) 0 5月21日 10 209 4.8 204(51) 5 5月22日 2 146 1.4 142(39) 4 5月23日 0 86 0.0 107(3) 0 5月24日 0 107 0.0 69(13) 0 5月25日 0 69 0.0 69(13) 0 5月26日
午後2時0 14 0.0 14(0) 0 合計 88 1010 * 990(129) 20
なかなか興味深いデータで、ちょっとグラフ化して見ます。データのうち5/26分は中途集計のため除外し、まず検査件数に対するPCR陽性率のグラフです。
神戸市の矢田立郎市長は二十八日、記者会見を開き、新型インフルエンザ感染について「ひとまず収まった」と事実上の安心宣言を行った。
記事にある「安心」宣言とは微妙な表現ですが、こういう風に物事は今後展開していくだろう事はわかります。国は慎重姿勢のようですが、蔓延期直前宣言の時のように、地方の先行を結果を見て追認するんじゃないかと思われます。
政治的なことはさておき、このデータで非常に興味深い点があります。表にある5月15日より前はどうであったのだろうと言う事です。Faxで情報を送る関係で、神戸での新型インフルエンザ発見前の検査件数は省略したとは考えています。別にそれで構わないのですが、5月15日に発見された時の検体数が1件と言うのが微妙に引っかかります。この最初の1件は開業医が見つけたものであることは有名ですし、データもそれを裏付けています。
この発見したときのエピソードも有名ですから、あえて引用をしませんが、開業医が検体を送ってから検査されるまで、2日間ほど後回しにされています。なぜかと言うと、あの週にはタマタマですが2件の集団食中毒事件があり、とくに2件目の検査に忙殺されていたからです。この事について、一部で批判もあったようですが、それは置いといて、そうなると発見した開業医の検体は5/13に提出されたはずです。
5/13に提出された検体が5/15に検査されて新型インフルエンザ国内発生1号となったのですが、5月15日の検体数はこれ1件しかありません。その日は発熱外来からも、協力病院からも、もちろんその他の一般医療機関からも検体提出がなかった事になります。食中毒騒ぎで後回しにされていたのも含めてこれ1件という事になります。
発熱外来を担当した中央医師民病院からの情報では、FluA(-)であってもPCR検査を行い、陰性患者からの発見が全体の半数ぐらいあったとされます。おそらくですが、発熱外来に受診した患者の相当な割合を、とくに初期はPCR検査を行っていたと推測されます。これは第1号発見後の話ですが、第1号発見前も基本原則はそんなに変わっていないとも思うのですが、5/15の検体件数は1件のみです。
なぜなのかに興味を抱かざるを得ません。5/16以降の患者の増え方、また大阪や兵庫県北部まで患者の発見があった事を考えると、5/15の患者が本当の意味での国内発症第1号でないのは間違いありません。実際に未だに感染ルートは不明です。今さらの話ですが、国内で新型インフルエンザが公式に蔓延したのは神戸と大阪北部のみです。その他の地域は未発見か発見されても散発例のみです。その理由の一つを垣間見たような気がします。