片手間に根拠を調べていたのですが、どうにも見つからず、また時間的にも賞味期限が切れそうなのであげます。愛育関連なのですが3/26付Asahi.comに、
中林正雄院長は26日の記者会見で、「非常勤医2人の当直という日があってもいいのか。特別条項で基準を超える時間外労働をさせても法違反にならないのか。都や厚労省に文書で保証してもらいたい」と話した。
こうあり、これを受けた形で卵の名無し様より、
非常勤医2人の当直というのを厚労省に認めさせる、というのが産科領域へのバイト解禁であり、これを厚労省に文書を出させて正式に認めさせる。ついで一晩8〜9万円/人の当直料を総合周産期センターでいてほしい都から支出させる。
これが産科勤務医への待遇改善に最も直結するものであり、同時に産科志望者を増やすこともできる一石二鳥の政策となるだろう。
こういう提案が為され、さらにこれへのレスとして元外科医様から
それはいい考えですねー
でもこのタイミングでいうのはほとんど恫喝ですねww
常勤医が辞めたがってるとか、慰留中とか言えばもっと迫力がありますね
こういう流れでの議論がありました。気にはなったのですが、愛育院長も、卵の名無し様も、元外科医様も周知の前提とされた、総合周産期センターの産科医当直医は非常勤2名体制はダメだの根拠です。悔しいですが、これがどうにも分かりません。とりあえず確認できる範囲の情報をあげてみると、総合周産期センターの設置要件は平成8年5月10日付け児発第488号「周産期医療対策整備事業の実施について」にあり、これは基本的に今でも通用しています。そこの医療従事者のところに、
母体・胎児集中治療管理室及び新生児集中治療管理室は、二四時間診療体制を適切に確保するために必要な以下の職員を確保することが望ましい。
(ア) 母体・胎児集中治療管理室
(イ) 新生児集中治療管理室
- 二四時間体制で産科を担当する複数の医師が勤務していること。
- 母体・胎児集中治療管理室の全病床を通じて常時三床に一人の助産婦又は看護婦(士)が勤務していること。
(ウ) 新生児集中治療管理室の後方病室
- 二四時間体制で常時新生児を担当する医師が勤務していること。
- 常時三床に一名の看護婦(士)が勤務していること。
常時八床に一名の看護婦(士)が勤務していること。
(エ) 分娩室
助産婦、看護婦(士)が病棟とは独立して勤務することを原則とする。ただし、母体・胎児集中治療管理室の勤務を兼ねることは差し支えない。
ここだけを読むと産科医は、
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二四時間体制で産科を担当する複数の医師が勤務していること
(ア) 母体・胎児集中治療管理室
- 24時間体制で産科を担当する複数(病床数が6床以下であって別途オンコールによる対応ができる者が確保されている場合にあっては1名)の医師が勤務していること。
- 母体・胎児集中治療管理室の全病床を通じて常時3床に1名の助産師又は看護師が勤務していること。
ここでもMFICUの病床数が少ない場合の緩和条件が記載されているだけであって、常勤・非常勤の区別はありません。その次になると根拠となる原典が見つからないのですが、MFICUの施設基準というものがあるようで、
- 専任の医師が常時、母体・胎児集中治療室内に勤務している
- 当該治療室勤務の医師及び看護師は、当該治療室に勤務している時間帯は、当該治療室以外での当直勤務を併せて行わない
これは孫引き情報ですから御了解頂きたいのですが、ここにある
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専任の医師
専任=「専任とは専らその業務を任されて担当することをいい、担当業務以外の業務を多少兼任することは差し支えない」
→業務全体の半分程度は携わっていることが必要
専従=「専従とは、専らその業務に従事することをいい、他の業務を兼任することは認められない」
→業務全体の8割以上は携わっていることが必要
ここの業務全体とは「どうやら」なんですが、担当時間だけではなく病院業務(外来・病棟)全般に対するものであり、非常勤医が病院全般の業務の半分以上に関わる事は普通ありえないので、常勤医が必要との解釈になるのではないかと考えられます。ここまでで「そんなもか」ぐらいレベルまで理解したのですが、それなら専任の医師ですから非常勤医2名どころか、2人とも常勤医でなければならないとの解釈も出てきます。
愛育が1名は非常勤医でも良いとの解釈は上記した平成15年4月21日付雇児発第0421001号に基づくものと考えられます。再掲すると、
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病床数が6床以下であって別途オンコールによる対応ができる者が確保されている場合にあっては1名
え〜と、私が調べられる範囲での根拠はここまでです。一部曖昧なところもあり、情けないのですが、根拠について御存知の方は情報頂けるとありがたいところです。