小さな追加

はっきり言って小ネタです。

日本医療政策機構に掲載された新政権への緊急提言シリーズと言うのがあります。列挙してみると、

  • 2008.10.30:第1回「医療制度改革―現実見極め基本法制定を」(日本医療機構代表 黒川清
  • 2008.11.12:第2回「党を超えて医療政策にコンセンサスを!」(中外製薬株式会社取締役社長・日本製薬工業協会常任理事・日本医療機構相談役 永山治)
  • 2008.11.18:第3回「医療費の総額抑制見直し、安心と安全の医療を」(国社会保険協会連合会理事長、元厚生労働省医政局長 伊藤雅治)
  • 2008.11.19:第4回「政策目標・決定過程・医療機関経営の3つの透明化を」(ニューヨーク州ロチェスター大学医学部地域・予防医学助教授 兪炳匡)
  • 2008.12.03:第5回「教育と医療は国家の品格」(テルモ株式会社代表取締役会長 和地孝)
  • 2008.12.03:第6回「Transparency(透明化)」(マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク・ジャパン ルードヴィヒ・カンツラ)
  • 2008.12.09:第7回「公的医療の範囲と負担、国民みんなで議論を」(東京大学大学院経済学研究科教授 吉川洋
  • 2008.12.18:第8回「医師は被害者意識を捨てよ」(九州大学大学院医学研究院医療システム学分野教授 信友浩一)
  • 2009.01.16:第9回「患者参画の医療政策決定を!」(日本医療政策機構理事・日本医療政策機構市民医療協議会協同議長・がん政策情報センター長 埴岡健一)
現在のところ9回までで、そろそろ現政権も「新政権」とは言うには色々ありすぎましたから、これで打ち止めと考えるのが妥当かと考えます。ちなみに第1回の冒頭には、

解散・総選挙が先送りになったものの、衆議院の任期満了まで1年を切っています。政権選択選挙が迫る中、各種世論調査によれば、国民が最も高い関心を寄せるのが医療や年金などの社会保障分野です。

日本医療政策機構では、このような中、日本の医療政策のキーパーソンに「医療政策―新政権への緊急提言」と題したインタビューを行っています。第1回目となる今回は、当機構代表の黒川清がおこたえします。

緊急提言シリーズは

    日本の医療政策のキーパーソンに「医療政策―新政権への緊急提言」と題したインタビュー
つまりと言う程の事はないのですが、医療政策のキーパーソンを日本医療政策機構が選び、これをインタビュー形式で取材し「緊急提言」として記事にしているのが確認できます。人選も日本医療政策機構が行い、インタビューですから編集も相当可能な形式であり、当然とすれば言い過ぎかもしれませんが、日本医療政策機構の主張と言うか見解が反映されているものと通常は考えます。もちろんそういうスタイルで企画する事自体は問題としておりません。

ところがそこまで企画していたのに問題が生じたようです。これは日々の不隠様が物議と言うエントリーで、見つけて指摘されているのですが、第9回のウェブ魚拓の記録を見てください。

第9回の緊急提言本文自体は変わりありません。問題は緊急提言の下に付け加えられた日本医療政策機構による但し書きです。

「緊急提言」シリーズはあらゆる分野の方々に幅広いご意見を伺うこととしております。当シリーズでインタビューにお答え頂いた方のご意見は、必ずしも当機構の見解を代表するものではございません。

非常に薄い文字で書かれていて、見逃しがしてしまいそうになるのですが、12/28時点では無かった但し書きが、9日後の1/6時点では加えられているが確認できます。他の8回の変化を確認する術はありませんが、おそらく同時期に他の緊急提言シリーズの下に付け加えられたと考えるのが妥当です。この但し書きも少々妙な点があり、第1回の冒頭で「日本の医療政策のキーパーソン」にもかかわらず、但し書きでは、

    あらゆる分野の方々
若干内容が相違するように感じないでもありませんが、「日本医療政策のキーパーソン」は「あらゆる分野」におられるからだと解釈しておく事にします。それよりも
    必ずしも当機構の見解を代表するものではございません
つまり日本医療政策機構の見解と異なる意見が出ているとの但し書きです。掲載されているのは日本医療政策機構のHPの一部ですから、読む方にとっては、どの意見が日本医療政策機構の見解であり、どの意見が日本医療政策機構と異なる意見か分かり難いので若干不親切な気がします。とりあえずですが、「ございません」ではなくて「ございます」の意見と考えられるのは、
  • 2008.10.30:第1回「医療制度改革―現実見極め基本法制定を」(日本医療機構代表 黒川清
  • 2008.11.12:第2回「党を超えて医療政策にコンセンサスを!」(中外製薬株式会社取締役社長・日本製薬工業協会常任理事・日本医療機構相談役 永山治)
  • 2009.01.16:第9回「患者参画の医療政策決定を!」(日本医療政策機構理事・日本医療政策機構市民医療協議会協同議長・がん政策情報センター長 埴岡健一)
この3名は「ございます」になるはずです。理由は単純で、肩書きが日本医療政策機構の「代表」「相談役」「理事」ですから、「ございません」に該当するのはチョットだからです。それに最初から「ございません」として、「代表」や「相談役」からシリーズが始まるのも妙なものです。そうなると残り6人の緊急提言の中に「ございません」が含まれる事になります。


ここでちょっと脇道なんですが、元もと緊急提言シリーズは何回の企画であったのだろうと推測してみます。これはあくまでも現在の9回で終了しているという前提です。9回の緊急提言の日程は、

  • 10月末に1回
  • 11月に3回
  • 12月に4回
  • 1月に1回
現政権が始まったのは2008.9.24です。政権発足当時は「すぐにも解散」の観測が強かったのですが、様々事情により現在も解散総選挙は行なわれていません。第1回の緊急提言が始まったのが10/30ですから、これも「おそらく」ですが、しばらくは現政権が続くの見通しがついて始まったと考えるのが妥当です。緊急提言が上げられるペースはムラがありますが、第8回までは続けて上げられていると見えます。

繰り返しになりますが、新政権への「緊急提言」ですから、延々と続く企画でないことは前提かと思います。短期企画ですから、回数も決められていたと考えるのが妥当です。ここで気になるのが最終回が「9回」である事です。瑣末な事ですが、こういう事は案外気を使うものです。日本人の考え方として「九」は「苦」に通じ縁起が悪いので、末広がりの「八」か満数の「十」を選びたくなるのが人情かと思います。それが9回になっているのがどうにも気になります。

ここで第8回が2008.12.18であり、第9回が2009.1.16とこの2回の間だけ、かなり期間が開いているのが確認できるかと思います。そして担当しているのが日本医療政策機構の「理事」です。トリが「理事」という構成自体はおかしくないとは言えますが、第1回が「代表」、第2回が「相談役」ですから序列上、ややバランスを欠くと感じます。あくまでも推測ですが、本来は第8回がトリであったのに、何らかの事情で急遽第9回が追加されたんじゃないかと考えます。


脇道はそれぐらいにして、

    必ずしも当機構の見解を代表するものではございません
これが追加されたのはもちろんそういう意見が出たからですが、いつ「ございません」と気がついたのでしょうか。インタビュー形式ですから、インタビュアーが取材し、そこから原稿をインタビュアーが書き、さらにそれをチェックされた上で発表されているはずです。チェックの時点で「ございません」である事はわかりそうなものですが、但し書きが付いたのは年末年始の間です。おそらくよく読んでみれば「ございません」である事に気がついたか、指摘されたかのどちらかであると考えます。

候補になるのは日本医療政策機構以外の方の6回で、

このうちの誰かないし複数になる事になります。さ〜て、
    必ずしも当機構の見解を代表するものではございません
この「ございません」に該当するのは誰なんでしょうか、私には皆目見当がつきません。