疑惑の小ネタ

つなぎの小ネタです。1/12付読売新聞より、

「ネットが情報源」テレ朝番組、実はスタッフがブログ自作

 テレビ朝日系で10日に放送された情報バラエティー番組の中で、「インターネット上で流れている情報」として紹介されたブログが、実際は番組制作スタッフが作成したものだったことが11日、わかった。

 この番組は、テレビ朝日制作で10日午後7時から放送された「情報整理バラエティー ウソバスター!」。

 一般に流れる様々な情報の真偽を検証し、クイズ形式にした内容で、「NEWSの語源は英語の東西南北の頭文字」「干支(えと)のイノシシは、中国や韓国ではブタ」「サケとシャケの違いは加工の有無」などと書かれた六つの雑学ブログが、出題のネタ元として画面付きで紹介された。

 しかし、番組終了後に、これらのブログをインターネットで見た視聴者が、いずれも同じ昨年12月10日に作成されていることに気づいて「あまりにも不自然」と指摘。同社も番組スタッフが撮影用に作ったブログであることを認めた。

 同社広報部では、「実際のブログ作成者から撮影許可が取れなかったので、同じ情報を元にスタッフが『再現』した。そのことをテロップやナレーションで伝えるべきだった。視聴者に誤解を与えかねない表現となり、申し訳ない」としている。

私はこの番組を見てませんし、報道記事情報しか知りませんので、その点は御了解ください。とりあえず今回の番組の企画として、雑学問題の解答をブログから示すという企画であったようです。問題は6問だったようで、

  • NEWSの語源は英語の東西南北の頭文字
  • 干支(えと)のイノシシは、中国や韓国ではブタ
  • サケとシャケの違いは加工の有無
この3問が含まれている事が確認されます。ところが肝心の解答のブログ画像の撮影許可が下りなかったとしています。とりあえずまずこの点に疑問を感じます。言ったら悪いですがこの程度の出題レベルの解答が掲載されているブログはゴマンとあります。間違っても1ヶ所しか存在しないという事はありえません。解答の内容を含むすべてのブログに6問すべて映像撮影を拒否されたは余りに不自然です。

そうなると考えられるのは、元もと番組が出題のネタとしたブログは一つであったと考えるのが自然です。ブログに解答を求める企画の流れとしては、

  1. 企画に基づいてネットから適当なブログをさがす
  2. ブログ内容から6問作成する
  3. ブログ主の撮影許可を求める
こういう感じでなかったかと考えます。このブログ主の撮影許可を求める段階がギリギリの時期で、ここで拒否にあったためスタッフが自作で代用したと思います。しかしそれならば企画の安直性に驚かされます。時間があれば代用ブログを探し、そこの許可を得れば済む問題ですし、ブログ主にもマスコミ露出を嫌う人もいるでしょうが、マスコミに登場する事によりアクセス増を期待する人も少なくありませんから可能なはずです。よほどギリギリの時間に撮影許可を打診したと考えられます。

個人的にはもう少し疑惑は大きくて、本当にブログ主に打診したかどうかにも疑問を持っています。ほんの2年ほど前でもマスコミはブログを平然と無断引用していましたから、わざわざ「撮影許可」をブログ主に求めたかが大いに疑問です。つまり最初から元のブログなどは存在せず、最初から「自作」する予定ではなかったかと言う疑惑です。ここまでになると完全に憶測になるので、可能性だけを指摘するに留めます。


とにかく撮影予定の解答ブログが画像として使えなくなったので、スタッフが「自作」するのですが、

同じ情報を元にスタッフが『再現』した

元の解答ブログの内容が現時点ではわかりませんが、『再現』と表現するぐらいですから、オリジナルに非常に近い内容であると考えられます。極論すればコピペで「自作」したと考えても良いかと思います。「自作」ブログの作成法もかなり杜撰だったようで、発覚した発端は、

これらのブログをインターネットで見た視聴者が、いずれも同じ昨年12月10日に作成されていることに気づいて「あまりにも不自然」と指摘

大慌てで撮影に間に合わしたと考えられますから、コピペで「自作」は可能性として十分あります。コピペで「自作」した時の問題点として、ブログ主がスタッフによる自作『再現』を許可していたかどうかがあります。ブログ画像の撮影を不許可としながら、自作『再現』を許可するのは少々不自然です。絶対にありえないとは言いいきれませんが、自作『再現』を許可するぐらいなら元のブログ画像の撮影も許可しそうなものだと思います。ここに気になる点が出て来ます。スタッフによる自作『再現』ブログは無断で行なわれていた可能性です。もしそうなら自作『再現』ではなく「盗用」レベルになります。


ここで、もう一つ1/12付共同通信記事の一部を引用します。

 テレビ朝日広報部は「実際に書かれていたブログの管理者に連絡が取れないなど撮影許可が得られず、制作会社とプロデューサーが作った。番組の中で『再現』であることを表示すべきだった」としている。

ここに書かれてる形式は「」付きの引用です。「」付きの引用部分は編集権による切り貼りがあるにせよ、実際に話した事を書いてある部分とされます。つまり本当にそう言った部分と考えられます。共同通信が伝えるテレビ朝日広報部のコメントには、

    ブログの管理者に連絡が取れない
連絡が取れていないものを自作『再現』した事が書かれています。「盗用」の疑惑は深まる事になります。「盗用」も良くないですが、連絡も取れていないブログを『再現』するのは、「自作」と言うよりむしろ「盗作」さらには「偽造」の表現の方が近いとも思うのですが、如何なものでしょうか。実はなんですが報道各社のテレビ朝日の広報部のコメントを可能な限り読んでみたのですが、視聴者へのお詫びはされていますが、ブログ画像を無断で『再現』した件については何のお詫びもしていません。

つまりテレビ朝日は偽りの自作『再現』ブログで視聴者に誤解を与えた事は謝罪していますが、無断で自作『再現』した事は無問題としているように考えられます。どこのブログであってもブログ主の許可を受けずに、さらに正規の引用も行なわずに、これを商業利用するのは好ましくない行為としているかと考えられます。ブログにも著作権はありますし、とくに商業利用時には通常十分に注意されます。テレビ朝日広報部も画像の撮影許可を得ようとしたのは著作権への配慮と思われますが、それを自作『再現』したら著作権を回避できる訳ではないと感じます。

もっとも著作権は基本的に親告罪だったはずですから、該当するブログが抗議なりしない限り問題とはならないはずです。この程度のことでオリジナルのブログ主が事を荒立てないと高を括っているのでしょうし、現実もそうなる可能性が高そうです。ひょっとすると2chあたりではオリジナルのブログが特定されているかもしれませんが、この事をブログ主が知り、さらに行動しない限り一件落着です。


まあ、情報「バラエティ」番組ですし、この手の番組が粗製濫造により質が極めて低いのは周知の事ですから、目くじらを立てるほどの事ではないかもしれませんが、それでも番組のタイトルが笑わせますね、

「バラエティ」番組の本質は「受ければ良い」「話題になって視聴率さえ上がればよい」ですから、そういう意味では成功しているとの業界評価になるのでしょう。