大村私案原文

評価の分かれる大村私案ですが原文が入手できました。長くもない内容なので全文upします。

救命救急医療における刑事処分の特例について

(趣旨)

 救命救急医療においては、重篤な救急患者に対して、緊急に救命処置を行う必要があり、かつ、専門領域以外の重篤な救急患者に対応することも多いことから、事故と隣り合わせの状況と言える。

 このような特殊性を有する救命救急医療において、他の分野と同様に刑事責任を問われる可能性があることが、救命救急医療に携わる医師の萎縮を招き、現在の救命救急医療の危機的状況の一因との指摘がある。このため、救命救急医療に携わる医師が安心して医療を行うことができるよう、救命救急医療における刑事処分について特例を設ける。

(特例の内容)

 救命救急医療により人を死傷させたときは、情状により、刑を免除することができることとする、刑法第211 条(業務上過失致死傷罪) の特例を設ける。

「参考」

刑法(明治四十年法律第四十五号)

 (業務上過失致死傷等)

第二百十一条 業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の懲役若しくは禁銅又は百万円以下の罰金に処ずる。重大な過朱により人を死傷させた者も、同様とする。

2 白動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁鋼又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

(論点)

 「救命救急医療」の定義を具体化していくことが必要。

これが全内容です。なお原文はOCRはかけてありますが、かなり誤変換が多いので御注意ください。

ごくごく当たり前のツッコミをほんの軽くしておくと、

    他の分野と同様に刑事責任を問われる可能性があることが、救命救急医療に携わる医師の萎縮を招き
救急医療のリスクが高いことは認めますが、他の分野では刑事責任が問われても「萎縮を招かない」と考えておられるようです。言い換えれば救急医療だけが刑事責任を問われるので萎縮を招いていると解釈すればよいのでしょうか。
    情状により、刑を免除することができることとする
あくまでも「情状」だそうです。刑法211条に特例を設けるとは211条2項に準じるとの情報がありましたから、条文を想定すると
    救急医療に必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、○年以下の懲役若しくは禁鋼又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
こんな感じでしょうか。提案者は大村議員ですから医療に対する理解はもちろん期待していませんが、他の議員の皆様におかれましては十分に実情を把握した上での議論をお願いしたいところです。それにしても刑法ですらそんなに簡単に改正できるのなら、事故調で訳がわからんぐらい最重要視されている医師法21条も改正されたら如何でしょうか。医師法21条が改正されたら事故調論議の方向性は全く変ります。少なくとも医師法21条の運用上の無効化のために、他のトンデモ条件を丸呑みしなければならないみたいな主張をする日医理事はいなくなると思われます。