裁判の一つのヤマである証人調べが本日行なわれます。これまでの経過から注目されるのは、
- 裁判所選出の鑑定医は
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1人なのか複数なのか、また産科医なのか脳外科医なのか、はたまた両方か。
- 原告側の協力医は
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これは根本的に「誰なのか」が素直に注目されます。
ところで、7/13付けあの毎日新聞より、
奈良・妊婦転送死亡:ネットに診療情報 開業医、立件せず−−奈良県警
奈良県大淀町立大淀病院で分娩(ぶんべん)中に意識不明となり、搬送先探しが難航した末に死亡した高崎実香さん(当時32歳)=同県五條市=の診療情報がインターネットに流出した問題で、県警が今春、遺族に対し、掲示板に医療情報を書き込んだ開業医の名誉棄損や秘密漏示などの容疑での立件を見送ると説明していたことが分かった。遺族が12日、明らかにした。
死者の名誉を傷つけたケースでは、虚偽の事実を示した場合でなければ名誉棄損罪で処罰できないためという。遺族側は県警の説明を受けて告訴しないと決めたが、実香さんの義父憲治さん(54)は「納得いかない。現行法の解釈で無理なら、法改正すべきだ」と話している。
実香さんは06年8月に死亡。遺族や県警によると、近畿地方の開業医が同10月ごろ、実香さんの看護記録や意識を失った時刻などをネットの医師専用掲示板に匿名で書き込んだ。【高瀬浩平】
ここからは気合を入れて行間まで細心の注意を払って書きます。コメントを下さる方もその点についてはご協力お願いします。まず気になるのは、
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遺族が12日、明らかにした
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県警が今春、遺族に対し、・・・(中略)・・・説明していたことが分かった。
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「納得いかない。現行法の解釈で無理なら、法改正すべきだ」
診療情報流出:19病院で転送断られた妊婦遺族が告訴へ
奈良県大淀町の町立大淀病院で昨年8月、分娩(ぶんべん)中に意識不明になった高崎実香さん(当時32歳)=同県五條市=が、県内外の19病院で転送を断られた末に搬送先の病院で出産後に死亡した問題で、高崎さんの診療情報がインターネット上に流出していたことが分かった。遺族は被疑者不詳のまま町個人情報保護条例違反容疑で、5月にも県警に告訴する。
流出したのは、高崎さんの看護記録や意識を失った時刻、医師と遺族のやりとりなど。ネット上の医師専用の掲示板に書き込まれ、多数のブログなどに転載された。この掲示板は登録者数10万人以上で、問題が報道された昨年10月から書き込みが始まった。
遺族は「医師専用掲示板には患者の中傷があふれている。診療情報の流出は自分たちだけの問題ではないと思い、告訴に踏み切ることを決めた」と話している。
【中村敦茂】
実際に告訴したのか警察が独自で捜査をしたのかはっきり覚えていませんが、法律関係者の見方として「容疑での立件を見送る」とは告訴は受理したが送検しない時に使われる表現と言う見解があります。警察が告訴を受理すれば送検まではベルトコンベアーかと思っていましたが、必ずしもそうではないようです。しかし遺族にとっては警察から「立件しない」の話を聞けば当然憤るでしょう。そうなれば「今春」に遺族が知り、7/12に毎日新聞が知ったという事は、
- 7/12まで毎日新聞が取材しなかった
- 7/12まで遺族の心の整理がつかず公表できなかった
しかし県警の「立件見送り」の姿勢が極めて不可解です。名誉毀損については成立条件を満たしていないの解釈は、条文と言うか法運用上は妥当との意見が法律関係者にあります。しかし「秘密漏示」については余りにも罪状が明らかと思われます。公表された情報の詳細はここではくり返しませんが、この件に対し遺族は、2007.4.30付け日刊スポーツ記事の一部から引用しますが、
遺族側は「報道陣に公開したのは、出産のために入院した昨年8月7〜8日の『看護記録』だけ。カルテなど公開してない。さらされた情報には、遺族も知らない通院中のカルテの内容が含まれ、病院関係者しか知り得ない情報だ」としている。
また2007.4.28に遺族もシンポジストとした出席したシンポジウムがあり、この録音記録である日々のたわごと・期間限定特別ブログの核心部分、そのいちに原告側弁護士のカルテについての発言があります。
『患者さんの家族はカルテを入手してマスコミに公表してるらしいから、俺たちも公表して良いだろう』ということを書いてあるんですが、あのー、高崎さんの話でまぁ、あったかもわかりませんが、患者さんたちが入手したカルテはほんの一部なんです。全部を入手したのはごくごく最近、なんですよね。
この二つの事からネットに書き込まれた内容は家族すら入手していない情報である事は余りにも明らかです。疑う余地はただの一点すらありません。さらにカルテ本体の動向ですが、
2006.9.21 | 遺族がカルテ開示を請求 | 10/18付産経奈良版 |
2006.10.17 | 病院記者会見 | 10/17付毎日新聞 |
2006.10.18 | 警察にカルテを任意提出 | 10/19付産経関西版 |
カルテはもともと厳重に管理されていますし、2006.9.21時点で家族からカルテ開示の請求があった事から、この時点より以前に遺族と病院側が緊張関係にあった事が分かります。緊張関係とは訴訟も含めた法的措置への可能性と考えてよく、なおさら厳重な管理に置かれていたと考えられます。少なくともその時点以前から病院側にも弁護士がついており、そういう処置は万全が期されていたであろうと考えて良いと判断できます。記者会見後は警察にも任意提出が求められていますから、以後はさらに厳重な管理がなされたと考えます。
そういう状態にも関らず、情報提供者は遺族すら手に入れていないカルテ全体を入手しているのです。当然といえば当然ですが、正規のルートでは手に入るはずがありませんから、「不正な手段」によるものは明らかです。「不正な手段」と言っても半端なものではなく、病院に忍び込んで盗み出すぐらいの手段を用いないと到底入手は不可能です。そこまで「不正な手段」を用いて入手しネットに公開したにも関らず、これが「立件見送り」とはとても不思議です。この程度は微罪として扱われるのが慣例なのでしょうか。
遺族の証言には「微塵」も嘘があるとは「全く」考える余地さえありませんから、これは県警捜査の怠慢といえるのではないでしょうか。遺族には弁護士までついていながら、この件について漫然と見逃しているのか極めて不思議です。情報を提供した医師の身許まで判明しているのですから、どんな「不正な手段」でカルテ情報を入手したかをトコトン追及し、満天下にさらけ出す必要があると考えます。
それとこれはあくまでも情報提供者からの情報ですが、情報提供者は自力でカルテないしカルテ情報を入手したのではなく、誰かから提供を受けたと主張しています。情報提供者は開業医のようですから、確かにこそ泥まがいの「不正手段」まで必ずしも起さないと言われれば可能性があります。そうなるとこの「情報漏示」での真の主役は「不正な手段」でカルテを入手していた人物になります。まさにこの人物こそ
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遺族の心情を踏みにじる極悪非道、人として許されざる鬼畜のような行為を行なった者
毎日記事を読む限り、遺族は「今春」に警察から説明を聞いた後、泣き寝入りしているようにも受け取れます。ネットに流出した情報を遺族が当時入手していない事は、訴訟の原告側弁護士も十分承知しているはずなのに「何故」これに対する行動を起さないかと考えます。このままでは、「嘘など微塵も無い」はずの遺族側が邪推により疑われる事さえ憂慮されます。遺族の名誉を守るためにも、カルテ入手ルートを徹底的に明らかにするように強く行動する事を望みます。