追記

御指摘のあった通り、救急搬送においては「問合せ件数」よりも見つかるまでの時間である「現場滞在時間」の方が重要です。めんどくさい作業なんですが、産科救急分だけ搬送時の現場滞在時間数の集計が出来ました。表は30分以内であれば問題無しとし、30分以上、60分以上、90分以上で集計しています。上位10都府県を上げていますが、順番は30分〜60未満の数の総搬送件数に対する比率にしています。背景が緑の府県は全国平均以下のところです。

都道府県 総搬送件数 滞在時間件数 滞在時間件数/総搬送件数
30分以上 60分以上 90分以上 30分以上 60分以上 90分以上
神奈川県 2212 257 17 4 12.2% 0.8% 0.1%
東京都 2254 264 54 10 11.7% 1.1% 0.4%
千葉県 950 91 4 1 9.6% 0.4% 0.1%
埼玉県 1906 127 9 3 6.7% 0.5% 0.2%
栃木県 295 18 1 0 6.1% 0.3% 0.0%
奈良県 417 25 1 0 6.0% 0.2% 0.0%
大阪府 3970 202 17 4 5.1% 0.4% 0.1%
茨城県 466 22 2 2 4.7% 0.4% 0.4%
兵庫県 1371 57 0 0 4.2% 0.0% 0.0%
宮崎県 160 6 0 0 4.2% 0.0% 0.0%
全国 23494 1224 83 25 5.2% 0.4% 0.1%


見ての通りですが、神奈川、東京、千葉、埼玉、栃木と茨城をのぞいて首都圏はすっぽり含まれています。悪名高い奈良県も平均より上にはなりますが、データ上は遥かにマシである事が分かると思います。それにしても大阪の搬送件数の多さが目立ちます。

勢いで重症救急の集計もやってみました。分類法は産科救急と同じです。示したのは上位10都府県ですが、11位以下は平均以下です。


都道府県 総搬送件数 滞在時間件数 滞在時間件数/総搬送件数
30分以上 60分以上 90分以上 30分以上 60分以上 90分以上
埼玉県 20550 1988 196 58 9.7% 1.0% 0.3%
東京都 42801 3723 428 108 8.7% 1.0% 0.2%
千葉県 15230 1268 108 33 8.3% 0.7% 0.2%
奈良県 4154 304 18 6 7.3% 0.4% 0.1%
神奈川県 25664 1596 145 47 6.2% 0.6% 0.2%
宮城県 8899 498 49 10 5.6% 0.6% 0.1%
大阪府 10202 440 24 11 4.3% 0.2% 0.1%
栃木県 6397 272 16 5 4.3% 0.3% 0.1%
兵庫県 13125 521 28 4 4.0% 0.2% 0.0%
茨城県 8188 313 15 9 3.8% 0.2% 0.2%
全国 372327 13935 1316 405 3.7% 0.4% 0.1%


毎度お馴染みの埼玉、東京、千葉、神奈川あたりが上位を占めています。産科救急では大阪の搬送件数が突出していましたが、重症救急となると少なめになります。むしろ千葉の方が異常に多いように思います。件数と人口は相関するはずなんですが、どうも必ずしもそうではない印象です。

問合せ件数も搬送までの滞在時間もそうなんですが、どう見ても一部の都県が異常に平均を押し上げていると考えます。搬送までの滞在時間の30分〜60分の全国比率は

  • 産科救急:5.2%
  • 重症救急:3.7%
ここからともに上位にある東京を引けば、
  • 産科救急:4.5%
  • 重症救急:3.1%
さらにここから産科救急から神奈川、重症救急から埼玉を引くと、
  • 産科救急:3.7%
  • 重症救急:2.7%
東京、神奈川、埼玉とも間違い無く首都圏でありバリバリの大都市部に属すると思います。一般に大都市部に医師は偏在しており、それに比例して医療施設、医療体制は充実していると考えられていますが、データ上は首都圏の都県が全体の平均を明らかに押し上げています。