ステトスコープ・チェロ・電鍵様の中医協委員のレベルにJapan Medicineの記事が引用されています。nuttycellist氏記事も秀逸なので御一読をお勧めしますが、引用記事の最後の部分を今日は使いたいと思います。
「お薬外来」は算定不可
ただ、今回の見直しは患者の視点ばかりでなく、「実質的な再診料下げ」として200億円の財源を工面する意味合いも強い。
支払い側の松浦稔明委員(香川県坂出市長)は、「200億円をきちんと出さなくてはいけない。国保側としては厳しくチェックしたい。きちんとしたルールがないことはもどかしさを感じる」と指摘した。
厚労省保険局の原徳壽医療課長は「今回提示した内容を実施すれば、おのずと5分以上かかる。薬だけもらいに来た患者に対して加算を付けることはやめてもらう。例えば1日6時間の診療時間とすると1日最大で72人。こうした診療所で、もし150人分の加算点数が請求されれば、指導の対象になる」と述べ、点数算定の抑制効果はあると説明した。
この中でとくにの部分が、
厚労省保険局の原徳壽医療課長は「今回提示した内容を実施すれば、おのずと5分以上かかる。薬だけもらいに来た患者に対して加算を付けることはやめてもらう。例えば1日6時間の診療時間とすると1日最大で72人。こうした診療所で、もし150人分の加算点数が請求されれば、指導の対象になる」と述べ、点数算定の抑制効果はあると説明した。
ここは中医協から出た5分間ルールの具体的説明を厚労省保険局の原徳壽医療課長が行なっている部分です。総量規制方式の問題点は各所で論議されていますので、そこはあえて触れません。それより重大な発言を厚労省保険局の原徳壽医療課長は放っています。
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薬だけもらいに来た患者に対して加算を付けることはやめてもらう。
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厚労省保険局の原徳壽医療課長
医師法第20条
医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付し、自ら出産に立ち会わないで出生証明書若しくは死産証書を交付し、又は自ら検案をしないで検案書を交付してはならない。但し、診療中の患者が受診後24時間以内に死亡した場合に交付する死亡診断書については、この限りでない。
またこれはそのものズバリではありませんが、療養担当規則にも、
(診療の一般的方針)
第十二条
保険医の診療は、一般に医師又は歯科医師として診療の必要があると認められる疾病又は負傷に対して、適確な診断をもととし、患者の健康の保持増進上妥当適切に行われなければならない。
(療養及び指導の基本準則)
第十三条
保険医は、診療に当つては、懇切丁寧を旨とし、療養上必要な事項は理解し易いように指導しなければならない。
(指導)
第十四条
保険医は、診療にあたつては常に医学の立場を堅持して、患者の心身の状態を観察し、心理的な効果をも挙げることができるよう適切な指導をしなければならない。
第十五条
保険医は、患者に対し予防衛生及び環境衛生の思想のかん養に努め、適切な指導をしなければならない。
現状は確かにいろいろありますが、建前上というか、法律上は、
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薬だけもらいに来た患者に対して加算を付けることはやめてもらう。
原氏は52歳。1981年自治医科大学卒業。京都府衛生部医療課から厚生省健康政策局計画課課長補佐、保険局医療課課長補佐、環境省環境保健部企画課特殊疾病対策室長、文部科学省研究振興局ライフサイエンス課がん研究調整官などを経て、03年10月から防衛庁運用局衛生官に就いていた。原氏は医療課長補佐時代に、薬価差問題に関するプロジェクトチームの事務局も務めた。
こうなっており、自治医大出身の間違い無く医師です。医師であれば医師法20条および療養担当規則については常識以前の問題であり、「知らなかった」で済ませられる問題ではありません。経歴で不思議なのは厚労省の医系技官は卒後4〜5年(もっと短かったかな?)までのものとする暗黙の約束があったはずですが、どうやって自治医大の義務年限を免れたかです。もし義務年限を済ませて厚労省に入ったのなら、9年の臨床従事中に何の疑いも無く「無診投薬」を行なっていた事になります。
おそらくにりますが、この程度の理解と見識しかない「有識者」が集まって議論していた事は容易に推測されます。こういう議論を裏方としてまとめている厚労官僚もまたそういう議論を不思議ともなんとも感じなかった事となり、厚労省保険局医療課長として平然と発言している事になります。
もっとも、
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一部に誤解があるようですが、医師が5分以内のごく簡単な診察をして薬を処方した場合のことを指す云々・・・