姫路宣言余話「リセット」

姫路宣言の話はもう少し情報があるのですが、オフレコ情報が複雑に絡んで書きたくても書けないところです。残念ですが信頼して情報を提供してもらっているので、行間に書き込んだつもりですが、自分で読んでも読み取り難い代物になってしまい才能の無さにウンザリしています。

姫路の件は取り上げてられるブログが幾つもあるのですが、ssd様の姿勢が、やや偏りがあると感じる人も多いかもしれませんが、ある意味、本音では無いかと思います。コメントも頂いているのですが12/20付「細かいニュアンス」が一番わかりやすいかと思います。

ssd様が喝破された姫路宣言の本質は消防の責任回避であるとしています。「たらい回し」があり「手遅れ」による死亡事故が起こったので「どうしようか」が、事件の本質であると考えれば良いかと思います。どういう経路でマスコミが嗅ぎつけたのかわかりませんが、表沙汰になってしまった「不祥事」への対応と見ればわかりやすいと言う事です。

消防が隠したい事は現場の救急隊の判断が「外科対応」に余りにもこだわりすぎた不手際です。これも先に断っておきますが、あくまでも結果から見た不手際であって、現場の救急隊が一身に背負う問題ではないと考えています。もし外科対応が出来る病院があれば、もっとも適切な搬送先でなくとも、それなりの搬送先にはなり、その病院で対応できたか、もしくはその病院からさらに適切な病院への再搬送がなされ、事はそれで収まっていたと考えます。しかし事件当夜は救急隊が望む外科対応が出来る病院が見つからなかったのが実相です。

消防は表沙汰になりかねない不手際を隠すことに専念したとssd様は考えています。不手際を隠す手法として誰かに責任を押し付けて消そうとしたと考えておられます。事実関係を集めると、そう思われる節は随所に見られます。そしてその企画は成果を収めています。報道記事では消防の不手際は綺麗に消去され、いつもの「たらい回し」報道になり、救急は困難に陥った可哀そうな第3者に位置付けられています。

しかしその工作のお蔭で、

    救急隊は患者の病態は知らせずに今日の当直は何科ですかと尋ね、内科(消化器内科)と整形外科ですと事務当直が応えるとそれでは結構ですと応じて以後連絡はなかった
消化器内科当直医が知らないうちに救急要請は断られ、
    新聞には拒否の字が躍っていたというわけです。新聞を見るまで当直医は自分が断ったことになっているとは全く知らなかったわけです
新聞を見て仰天し、
    患者の隣人がたまたまリストの病院の職員でお葬式の場で皆につるし上げられそうになった
いわゆる風評被害が発生することにつながっています。

こういう経過に対しssd様は、

    医療機関を売った大罪に関しては、免罪できません
この点を直視せよと訴えておられます。

救急業務は病院がやりたくて、やりたくて切望している仕事ではありません。経営的には赤字となり、救急医以外の医師にとって訴訟リスクも含めてストレスが高く、人手不足で日常業務に支障を来たしている存在です。それでも続けているのは、患者の為が第一であり、病院としても地域医療に貢献するという大義名分のために行なわれています。ただし重負担は輪番病院から脱落する病院を次々と増やしています。

輪番病院は希望により参加できますが、いつでもその意思により脱退できます。現在の医療情勢では善意でのみ支えられている体制です。善意で参加している病院に自らの不手際を押し付ける所業は「大罪」にあたるとの指摘は厳しいですが当っています。

ここまでコケにされた病院の対応は「リセット」で対応するべきとさらにssd様は指摘しています。大罪を犯したものには罰を下すべきだの主張です。罰とは輪番病院総辞退です。一旦、総辞退した上で、新たな協力関係を構築しないといけないとの指摘です。ここで「ナアナア」の姿勢を取って丸く収める事は百害あって一利無しとの考えです。

かなり強い意見でありますが、私は正論と感じます。救急隊と医療機関は協力関係であって対立関係ではありません。ところが最近の救急の動向は救急隊優先が余りも強すぎます。極端な例は福島宣言で、送り届ければそれで良いの姿勢が余りにも露骨です。救急隊だけの論理ならそこまでが仕事とも言えないことはありませんが、患者の救命という根本を見れば何の解決にもなりません。

救急隊と救急病院は緊密な協力関係が絶対に必要です。とくに医療崩壊が進む中では絶対に必要なものです。救急医療機関が弱体化しているときこそ、より一層の緊密な関係が必要と考えます。

その信頼関係を根こそぎぶち壊すような所業を行なったなら、医療機関の対応として一度完全に白紙に戻す「リセット」が必要と思わざるを得ません。これまでの慣例や慣行を一から作り直す作業が必要です。思想として過激ですが、そこまでの対応を取る事を当直に当る医師は望んでいます。厳しい救急の現場を支えている医師は貴重です。この貴重な医師たちを保護するのが急務だからです。

それでも「嫌なら辞めろ、代わりはいくらでもいる」の姿勢を取るのであれば、もたらされる事態は恐ろしいものであることだけは予言しておきます。