我は行く

組織論は去年から何回か書いていますが、最後に書いたのが新々組織論で今年の2/15です。組織論について触れれば必ず出てくるのが、

  • 必要だろうが、かえってバッシングの対象になる。
  • 現在の逃散戦術で必要にして十分。
  • そもそも誰が作るんだ。
  • それより前に医師が結集するか。
他にもあるでしょうが、机上論として必要を認めても現実論としては時期尚早の意見が強かったと記憶しています。2月当時でも賛同派と慎重派が拮抗していましたが、あれから10ヶ月流れはどうなんでしょうか。古典的な分類ですが、医療危機に対する医師の危機認識段階説があります。

段階
末期癌の段階説
医療崩壊への意識
第一段階
否認
医療崩壊の存在自体の否定
第二段階
怒り
トンデモ医療訴訟やお手盛り医療改革への怒り
第三段階
取引
こうすれば医療崩壊を防げるの提案の摸索
第四段階
抑鬱
何をしても無駄だのあきらめ
第五段階
受容
生温かく滅びを見つめる涅槃の境地


新たな組織を結成するには医師の意識が第四段階や第五段階では無理です。春頃よりネット医師世論が総体的に第四ないし第五段階に停滞する傾向が強くなり、少々の事では驚かなくなった様な気がします。医療危機について語るのにも疲弊してきていた状態と考えています。書く方にしても「笛吹けど踊らず」状態で大変難儀しました。反応の先細りと言う感じでしょうか。

それがユックリですが変わりつつあるように感じます。この五段階説は末期癌での死の需要をモデルに作られていますが、末期癌では第五段階に至った後「死」が訪れて終幕になります。ところが医療危機、医療崩壊では「死」という終幕がありません。医療が崩壊する事でこの世の中から医療が消滅し、医師がいなくなるわけではありません。おそらく大部分の医師は医療が崩壊しようとも、焼野原になろうとも、崩壊した現場で、焼野原になった日本で医療を続けていると考えます。

崩壊、焼野原状態からの次の段階は再生です。復旧、復興と言い換えても良いかと思います。再生する時には医師の意見を十分に活かした再生である事が望ましいと考えている医師は多いと考えています。再生図は医師により様々に描かれているでしょうが、一番御免蒙りたいのは財界支配による完全アメリカ型再生と私は考えています。アメリカモデルを日本に導入するにしても、財界主導ではその影の部分のみをさらに醜悪にして展開する懸念が非常に強いためです。

「そうなるのも致し方ない」の意見もありますが、私の知る限り「そうなる事が望ましい」意見はごく僅かであったと記憶しています。そうならないためには医師から情報発信、意見主張を行なわなければなりません。それも個人レベルではあまりに無力ですから、団体として、それも交渉相手として認められる団体としてです。この役割は本来なら日医が担うべきものですが、日医の凋落振り、行動の迷走振りを見ると期待が出来ないのは誰の目にも明らかです。とくに勤務医にはその思いは強いかと思います。

新団体結成のためには意識段階をもう一つ昇る必要があります。つまり、

段階
末期癌の段階説
医療崩壊への意識
第六段階
定義なし
医療再生への目覚め


簡単に言うと、黙ってみていても医師にとってよい事は何も無さそうだと言う意識です。その延長線上で行動に移らなければならないという明確な意思です。そういう気運が医師の間にどれだけ芽生えてきたかが問題です。私の見るところ相当気運は出て来ていると感じています。もちろん全員ではありません。どちらかというとまだまだ少数と考えた方が適切な状況判断かもしれませんが、将来の結集の核になる団体が結成される程度には十分かと考えています。

新団体は理想的には結成と同時に雪崩を打って大挙参加が最高なんですが、現実的にはとりあえず受け皿になる程度の規模のものが必要です。医師の行動パターンからすると、まず受け皿ができ、しばらく様子を見てから参加を決めていくのがもっともありえる行動様式です。しばらく様子を見て、参加することの意義を認めたなら五月雨式に参加者が増える様な気がします。そういう受け皿を作れるほどの機運は熟しつつあると見ています。

しかし受け皿組織の結成は容易ではありません。机上ではいくらでも論じる事は出来ますが、いざ現実に作るとなれば細かな事務作業が山積します。小さくは組織の名称から始まって、運動方針、キャッチフレーズ、組織の規則、団体の性格付け、会員の募集、そして何より資金問題が立ち塞がります。小骨が多く、一家言をもつ者が大多数の医師の意見をまとめるのも容易ではありません。そういう地道な作業を積み重ねた末に組織はスタートします。

実はこの途轍もない作業に手を染め、医師の新組織をスタートさせようとしている団体があります。現時点でも新組織結成に懐疑的な医師が多いことも知っていますが、気運としては作らなければならない時期に達しているかと考えます。今、言えるのは意欲のある医師は参加して行動するべきでしょうし、時期尚早と考える医師は様子を見ても何の非難も受けるものではないと考えています。ただし参加することを批判する行動はできれば慎むべきと考えます。参加するしないの選択は自由意志ですが、受け皿組織ごと破壊させる行為は望ましくないと考えるからです。

来年1/13に新組織は本格稼動します。

1.13 全国医師連盟 設立準備委員会 総決起集会

日時

    開始 2008年1月13日13時00分
場所参加資格
    準備委員会会員および新組織設立に賛同される方。(参加事前登録が必要です)先着150名
集会内容
  1. 小松秀樹先生による医師への激励挨拶(約20分)
  2. 本田宏先生による激励講演(約100分)
  3. 主催者による報告と行動提起
会費
    医師 2000円、その他 1000円
主催
    全国医師連盟 設立準備委員会

    • 参加事前登録  非会員の場合は、氏名、住所、職業、所属、年齢、連絡先(アドレス)を記入の上、【1.13集会参加希望】 と明記してzai@doctor2007.comまで御連絡ください。

残念ながら私は総決起集会に参加できません。東京トンボ返りは時間的に厳しいからです。しかし新組織には参加します。この情報を知られて参加しようと思われるのなら、

ここにアクセスしてみてください。

そうそうこの新組織のリーダーは知ってられる方は良く知っている座位先生です。座位先生は2/14に「立つ」の決意をされ、この日のために奔走されています。座位先生なら私は信用します。私が新組織に参加することに異論がある方も当然おられると思いますが、心境だけ最後に書いておきます。

自ら反みて縮くんば、千万人と雖も、吾往かん