今日も第15回医療経済実態調査の報告の介護保険事業に係る収入のない医療機関の集計(A集計)の一般診療所から見ます。
この調査には診療科ごとの
- 外来収入(保険診療収入、公害等診療収入、その他診療収入)
- 初診・再診患者(延)数
- 外来診療日数
診療科 | 初診・再診患者数 | 外来収入 | 外来診療日数 | 1日当たり患者数 | 患者当たり単価 |
内科 | 1040.5 | 8067949 | 23.6 | 44.1 | 7754 |
小児科 | 1148.7 | 6834808 | 23.3 | 49.3 | 5950 |
精神科 | 801.9 | 6899650 | 22.0 | 36.5 | 8604 |
外科 | 1337.0 | 7408222 | 23.5 | 56.9 | 5541 |
整形外科 | 2780.6 | 9968442 | 23.7 | 117.3 | 3585 |
産婦人科 | 875.4 | 5406140 | 23.8 | 36.8 | 6176 |
眼科 | 1564.9 | 9799091 | 23.2 | 67.5 | 6262 |
耳鼻咽喉科 | 1729.2 | 6248834 | 22.5 | 76.9 | 3614 |
皮膚科 | 1916.4 | 7903685 | 21.8 | 87.9 | 4124 |
その他 | 1204.2 | 12940233 | 22.2 | 54.2 | 10746 |
全体 | 1346.5 | 7997013 | 23.3 | 57.8 | 5939 |
昨日は小児科の計算をしたときに外来収入から公害等診療収入、その他医療収入を抜きましたが、よく考えれば公害等の診療であっても、その他の診療(自費かな)であっても、患者は受診しているとして計算されていると思い、すべてを含めた数字にしています。小児科の数値が妥当かは昨日からいろんなシミュレーションをやっているのですが、まだ結論は出ていません。ただ現在のところ「やっぱり高いんじゃないか」の感触を持っています。
他の診療科については、通りすがりの精神科医様から、
精神科診療所で同じように計算してみました。
一人単価平均 個人立:8,340円、全体:8,491円
院内処方の当院:7,354円。
レセ一枚あたりの診療報酬が高額だと言って、集団的個別指導にも当たってしまう当院より、この調査での一人単価平均がさらに1,000円高いのはどうして???
どうも精神科も患者当たりの平均単価は高いようです。なかなか院内経営の内懐は出したく無いでしょうが、この外来患者数、患者平均単価について情報を頂けると幸いです。それにしても「その他」は高収益ですね〜。
今日はもう一つ気になるデータを紹介します。先日誤解釈して赤恥をかきそうになったデータですが、
常勤従事者数 | 1日当たり外来患者数 | |||||||
〜19人 | 20〜39人 | 40〜59人 | 60〜79人 | 80〜99人 | 100〜149人 | 150人〜 | 全体 | |
1人 | 43 | 18 | 7 | 6 | 5 | 1 | - | 80 |
2人 | 30 | 15 | 11 | 6 | 4 | 1 | - | 67 |
3人 | 32 | 34 | 13 | 16 | 5 | 5 | 1 | 106 |
4〜5人 | 61 | 77 | 61 | 19 | 11 | 12 | 4 | 245 |
6人以上 | 22 | 102 | 127 | 112 | 72 | 82 | 45 | 562 |
全体 | 188 | 246 | 219 | 159 | 97 | 101 | 50 | 1060 |
常勤従事者数とは従業員の中で常勤スタッフ(看護師、看護助手、事務員、技師、薬剤師など)と考えます。またこの数には非常勤(パート)は含まれていないと考えます。非常勤何人かで常勤に換算の可能性も考えましたが、換算常勤従業員一人で、1日当たりの患者100人を診察するのはどう考えても不可能だからです。
常勤とパートの比率は診療所の経営方針によって変わりますが、スタッフ6人を越える診療所はかなり大きいかと考えます。サンプルとなった1060の診療所のうち、まず有床診療所189はそれぐらいのスタッフがいてもおかしくないとは考えます。しかし常勤6人以上の診療所は562(全体の53%)あり、有床分を引いても373です。これは無床診療所の約43%に当ります。無床診療所の4割以上が常勤だけで6人以上はかなり高率の様な気がします。
常勤が6人以上もいる可能性がある診療所としては、リハを持つ整形が考えられます。整形の無床診療所のサンプル数が66ですから、仮に整形がすべてリハがあって、なおかつ6人以上の常勤がいると仮定して残りは307、整形を除いた無床診療所数は805ですから、まだ38%あります。
何を言いたいかですが、診療所経営で人件費は非常に大きな問題となります。固定支出の代表的なもので、一番抑えたい出費です。雇用事情によるでしょうが、常勤よりパートの方が人件費が安く、常勤比率を抑えて人件費節約を考える経営者が一般には多いと考えています。それを6人以上も雇うという事は、それに見合った収入があるということです。その数が無床診療所の43%を占めるという事は、それだけ儲かっている診療所があると言えるかと考えます。
実際にそんなものであれば何も言う必要はないのですが、私の実感としては異様に多いように思います。うちが貧相なのでたんなる僻みかもしれませんが、常勤従事者が6人以上の無床診療所が全国で4割以上もあるとはとても思えません。これは私の誤解でしょうか、それとも実態を調べれば本当はそんなものなのでしょうか。今朝から考え込んでいます。