小児科経営改善の指針

第15回医療経済実態調査の報告介護保険事業に係る収入のない医療機関の集計(A集計)の一般診療所から今日も見てみます。

この中に「1施設当たり初診患者数・再診患者延数・外来診療日数・在院患者数;有床−無床・開設者・診療科別」なるものがあります。そこから無床診療所のデータを抽出します(実態調査では無床88、有床2となっています)


初診患者数382.4人
再診患者延数783.1人
初診・再診患者数1165.5人
外来診療日数23.3日


ここから1日当たりの平均患者数を算出すると
    1165.5(人)÷23.3(日)≒50(人)
1日50人平均はこんなものかと思います。うちはこれより少ないですが、流行ってる小児科もあわせると平均でこれぐらいあると言われれば「そんなものだろう」と思いますし、そこまでは努力がまだまだ足りないと考えます。

ここで小児科無床診療所の収支差を引用します。土曜日に引用したデータと似ていますが微妙に違います。

医業収入 金額 医業費用 金額
1.入院収入

(1)保健医療収入

(2)公害等診療収入

(3)その他の診療収入

2.外来収入

(1)保健医療収入

(2)公害等診療収入

(3)その他の診療収入

3.その他の医業収入
-

-

-

-

6921864

6411281

18334

492249

249339
1.給与費

・青色専従者給与費

2.医薬品費

3.材料費

・給食用材料費

4.委託費

・検査委託費

・患者用給食委託費

・医療用廃棄物委託費

・医療事務委託費

・その他の委託費

5.減価償却

・建物減価償却

・医療機器減価償却

・その他の減価償却

6その他医業費用

・土地賃借料

・建物賃借料

・医療機器賃借料

・その他の費用
2748383

184749

1088369

49732

-

212754

130223

-

8434

66135

7962

233112

108612

60777

63723

813210

50741

226845

52655

482969
合計 7171203 合計 5145558


医業収入のうち保険診療収入は初診・再診患者数1165.5人から稼ぎ出しているはずです。そうなれば、
    6411281(円)÷1165.5(人)=5501(円)
この数字が患者一人当たりの平均単価になります。そんなものかと言われそうですが、うちの場合3900円を切っています。差額1600円が実態調査である事が分かりました。これは経営を考える上で深刻な問題です。うちは普通の小児科と思っていましたが、実態調査を見る限り「格安診療所」になります。原因として考えられるのは、院内調剤か院外調剤の差がまず考えられます。

小児科だけのデータがないので無床診療所全体のデータになりますが、

  • 院内処方あり:555施設(医薬品費992604円)


    • 院外処方50%以上:385施設(医薬品費443558円)
    • 院外処方50%未満:170施設(医薬品費2236031円)


  • 院外処方なし316施設:(医薬品費1937602円)
これがまた不思議なデータで、院外処方50%未満の診療所の医薬品費がダントツに高いというもので、これをどう解釈するかは???です。おおまかに院外処方有り無しでは、2倍ぐらい差があると考えれば良いかもしれませんが、小児科診療所にあてはめられるかどうかなんとも言えません

もう少し単純化して小児科の医薬品費である1088368円が88368円に減るとすれば、院外調剤小児科の保険収入は、

    6411281(円)−1000000(円)=5411281(円)
そうなれば患者一人当たりの単価は、
    5411281(円)÷1165.5(人)=4643(円)
まだ平均より750円ほど安くなります。院内調剤費が無くなった後の保険収入との関係はもう少し複雑な計算になるはずですが、今朝はこれ以上複雑なシミュレーションができないのでこの数字としておきます。

750円はやはり大きな数字です。どこに差があるかと医業費用を見渡していたら、検査委託費にその差があるように思えます。検査委託費の平均は、

    130223円
これは外注検査費に該当すると考えるのですが、うちの委託検査費は月額3万円を越える月は滅多に無く、おおよそ2万円ぐらい、下手すると1万円を切っています。どうもうちの患者単価が安い理由は検査の差であるようです。

そうなるとこれに近づけようと思えば検査を増やせばよい事になりますが、ここでハタと悩みます。一体何を検査しているのだろうです。ありきたりの小児科ですから、dwarfismやDMの検査をバンバンやれるわけではありません。やるとすれば患者を脅してアレルギー検査を増やすぐらいですが、平均までは遠いな〜と考えています。

でも他に思いつかないし、他院はそんなにやっているのでしょうか。よくわかりません。