明るいニュース

10/16付けCBNEWSより抜粋します。舞台は10/15の参議院予算委員会です。

櫻井充議員(民主党

    厚生労働委員会で、『(同会議が出してきた)政策を取っていって医療関係者が継続的に医療を行うことができるか』という質問をしたら、そういう観点では全く検討していないという答弁だった。今一番重要な国民にとっての安全・安心を提供できなくなるような、そういう政策を同会議が出してきていると思う。
大田弘子・経済財政担当相
    一昨年秋に、厚生労働省を中心に医療制度改革の議論を行った際に、同会議においても高齢化に伴って増加する医療費をどうやって負担して持続可能性を高めていくかという議論がなされた。給付と負担が高齢化の中で持続可能であるために、医療の中で何らかの効率化ができるのではないか。現在でも、コストをなるべく低く抑えながら質を高めるには、どうしたらいいかという観点で議論されている。
櫻井充議員(民主党
    お金だけじゃないか。現場で、そこで働いている人たちは一体どうなるのか。例えば産科や小児科がどんどんなくなっていっているということは、地域医療は継続可能じゃなくなっているということ。違いますか。
大田弘子・経済財政担当相
    負担をなるべく持続可能なレベルにしながら、医師不足とか産科医療の問題解決をしなくてはならないという問題意識は同会議の中でも議論されている。厚生労働大臣とよく連携を取って、政策の具体化に向けた論議を進めていきたいと考えている。
櫻井充議員(民主党
    先立つものができればできない。安全や安心を確保するためには、お金が必要。それを削減して、どうやってやるのか。どう実現するか。
大田弘子・経済財政担当相
    同会議の中で給付と負担についての選択肢を提示して、議論を進めていきたいと考えている。
櫻井充議員(民主党
    同会議の議論が正しいなんて一つも思っていない。この国を誤った方向に持っていっているのは、同会議そのものと思っている。ものすごく数が少ない中での医師定数を全く満たしていないが、これをどんどん悪くしていっているのは同会議でしょう。
大田弘子・経済財政担当相
    同会議は、政策決定機関ではなく、総理のために調査・審議を行う諮問機関。会議の目的は、総理がリーダーシップを発揮するために、有識者議員(民間の委員)の知見を活用しつつ、総理が政策を形成していくということ。

記事の抜粋だけなのでこれがすべてかどうか分かりませんが、読む限りポイントを抑えていると感じます。少なくとも発言内容にはそれほど脚色が施されて無いように思います。読めばそれまでですが、解説を加えておきます。

まず冒頭の櫻井議員の質問内容に仰天しました。

    『(同会議が出してきた)政策を取っていって医療関係者が継続的に医療を行うことができるか』という質問をしたら、そういう観点では全く検討していないという答弁だった
誰がいつ答弁したかは探せばわかるはずですが、医療が継続的に行なわれるかどうかは全く検討せずに、政策は行われていると政府は答弁していた事がわかります。そしてその政策を決めたのは経済諮問会議です。つまり政府は経済諮問会議が決めた「継続的に医療を維持できない可能性のあるかもしれない政策」を無検討で断行していると明言している事になります。実質はそうなんですが、国会答弁でもそう答えていた事に驚きを隠せません。

もちろん大田大臣は型通り、経済諮問会議はちゃんと議論されていると反論しています。櫻井議員のさらなる追及がありますが、さすがに困ったらしく

    同会議の中で給付と負担についての選択肢を提示して、議論を進めていきたいと考えている。
これはサラッと読めば普通の答弁なんですが、よく考えるとどこか変です。医療は言うまでも無く国策の下に行われており、国策を検討するのは立法府であり、施行するのは行政府です。ところが大田大臣の答弁は、これを経済諮問会議で行なうと明言しています。いつから政府や国会は経済諮問会議の下請け機関になったのでしょうか。実体はともかく、国会の場において医療政策は経済諮問会議に丸投げしていると語った仰天答弁と感じます。

大田大臣が経済諮問会議の位置付けを答弁の中で自ら答えています。

    同会議は、政策決定機関ではなく、総理のために調査・審議を行う諮問機関
「総理のため」の調査・審議機関であるにもかかわらず、経済財政担当相が「議論を進めていきたい」と答弁するのは筋違いとも受け取れます。総理の指示で経済財政担当相が経済諮問会議に協力するのは内閣としてあり得ることですが、経済財政担当相が経済諮問会議に直接指示するような国会答弁は珍妙と考えます。

これぐらいの追及は過去の国会でも行なわれています。しかし、これまではもっとトンデモ答弁で大臣が醜態を晒しても、その場限りでした。言ったら悪いですが、政府与党が採決の材料とする審議時間の消費の儀式のようなものであったと考えます。せいぜい立ち往生して大臣が間の悪い思いをすれば事は終わりであったと言えます。

ところが今回は火の手が広がりそうな情勢です。うろうろドクター様のところに共同通信記事が挙げられています。

御手洗氏らの招致要求

記事:共同通信社
提供:共同通信社     2007年10月16日

 民主党桜井充参院議員は15日午後の参院予算委員会で、医療制度改革などをめぐり、御手洗冨士夫日本経団連会長ら経済財政諮問会議の民間議員4人の参考人招致を要求した。16日以降の参院予算委理事会で協議する

アンタッチャブルの存在として、国会以上の影響力を発揮していた経済諮問会議民間議員を参考人招致する動きが出ています。これって普通に考えれば実現します。要求しているのは参議院ですし、民主党の議員の要求ですから民主党は賛成のはずです。社民党共産党も当然賛成ですし、国民新党も反対する理由もありません。それだけ集まれば余裕で過半数です。

自公とくに自民党は出来る限りの反対、招致を妨害する工作をするとは思いますし、予算委員会の委員長は自民党が握っています。しかしあまりに露骨な妨害工作を展開すれば、予算委員長の不信任決議案が可決されてしまいます。与野党逆転とはそういう事です。これは相当な見ものになりそうです。

そうそう、参考人招致が決定したときに起こる現象に、参考人が突然病気入院になるがあります。その時には医療界の命運をかけて精魂込めて治療を行い、医師の倫理に鑑みて一点の曇りもない診断書を書いてくださるように諸先生方にお願いします。