少し前に公立病院が独立採算化することによる経営難の論議がありました。簡単に言えば、これまで自治体の所有物として自治体予算で賄っていた分が、すべて病院負担になる事による経営圧迫です。具体的には補助金や助成金になるかと思います。これがどれほどのものになるかのまとまった資料がなく、話が中断したのですが、分かる範囲で調べようと思っています。ただ手間とヒマがかかるので、遅々として進まないのが現状でして、ほんの2〜3ヶ所調べただけで白旗を揚げたい気分です。
取り合えずとして、せめて都道府県だけでもと思い、北海道から見てみたのですが、予算表の読み方がわからず、いきなり立ち往生しています。とりあえず病院関係予算を探したのですが、実にう〜んです。わかりやすいのは北海道病院事業会計てのがあって、全8病院、1749床の会計報告が記載されています。収入の項目が収益的収入と資本的収入に大別されているのですが、収益的収入は医療による収入と見なして良さそうです。もうひとつの資本的収入と言うのが関係しそうなんですが、
- 企業債 13億8300万
- 長期借入金 1億1887万
- 他会計負担金 7億6586万
- 小児総合保健センター事業特別会計 13億4090万
- 札幌医科大学附属病院特別会計(平成18年分) 217億6952万
実はここからが今日のお題なんですが、札幌医科大学附属病院特別会計をわざわざ平成18年分としたのは、
なお、札幌医科大学附属病院特別会計は、札幌医科大学の公立大学法人への移行に伴い、平成18年度をもって廃止されました。
ちなみに小児総合保健センター事業特別会計も平成18年度は32億1306万円ですから相当削減されています。もっとも小児総合保健センター事業特別会計は平成18年度に増改築でもして予算が一時的に膨らんだだけかもしれませんから、なんとも言えませんが、札幌医科大学附属病院特別会計は綺麗サッパリと消えているのは間違いありません。
ほいじゃ、札幌医科大学附属病院の経営状態ですが、平成18年度札幌医科大学要覧の42ページに病院経営概況なるものがあります。平成17年度までの収入しかわからないですが、173億5168万円となっています。もう少し細かく引用すれば、
計 | |||
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平成15年度 | 138億2415万2094円 | 30億8496万2202円 | 169億911万4296円 |
平成16年度 | 139億7401万907円 | 31億128万8852円 | 170億7529万9759円 |
平成17年度 | 142億9195万397円 | 30億5972万6378円 | 173億5167万6775円 |
これはどうみても平成18年もさほど変わらないと考えるのが妥当で、いわゆる医業収入はおおよそ170億円ぐらいとしても良いと考えます。もう一方の札幌医科大学附属病院特別会計はデータを手繰ると、
平成15年度 | 221億9686万2000円 |
平成16年度 | 235億1810万4000円 |
平成17年度 | 225億2083万1000円 |
平成18年度 | 217億6312万7000円 |
おおよそ220億円前後であるとしてもこれも良さそうです。そうなれば平成18年までの札幌医大病院の収入は
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170億円(医業収入)+220億円(特別会計)=390億円
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医業収入170億円のみ
問題なのは札幌医大病院が医業収入170億円で収支が釣り合っているかどうかです。これって、もし釣り合っていたら大変な事で、特別会計分が毎年内部留保されている事になります。そんな事はちょっと考えられませんので、ここは常識的に特別会計が加わる事により収支がなんとか釣り合っていたと考える方が自然です。
自然は自然なんですが、今度は札幌医大病院の経営を真剣に心配します。損益分岐点が300億円台の後半とすれば、平成19年度から200億円もの赤字が生じる事になります。これは半端な額ではありません。病院内にスタバが出来たりしていますが、そんなものでとうてい穴埋めできる額とは思えません。表面から見えない財政のカラクリがあるのかもしれませんが、予算だけを見てみると「大丈夫か?」と心配になります。