脳外科が抹殺されるJBMの悪寒

奈良事件の第2回の裁判に、ブログ界の名花二輪として著名な僻地の産科医様と三上藤花様が傍聴されました。全体の印象として「収穫少なし」だったようですが、裁判終了後に拾われた情報に仰天するような内容が含まれています。

情報を収集されたのは裁判終了後に、僻地の産科医様と三上藤花様が喫茶店に行かれた時の事のようです。くつろいでいた二人に声をかけてきた男性が一人。名花二輪ですから声をかける男性がいても不思議ないのですが、この男性が医療情報の公開・開示を求める市民の会の岡本隆吉氏だったのです。岡本隆吉氏と言っても私も知らないのですが、会のリンク先を見てもらえればわかるのですが、「陣痛促進剤による被害を考える会」と密接な関係にある事が十分に示唆されます。ちなみにリンク先は勝村久司氏のHPになっています。

岡本隆吉氏は奈良事件の裁判において原告側に立つ人物と考えて良いかと考えます。ここであらかじめ断っておきますが、岡本隆吉氏を個人攻撃しようとする意図は全くありません。岡本隆吉氏は裁判終了後に名花二輪に声をかけ、雑談しただけで、決して悪意を持って二人に接触したわけではありません。また雑談の内容も素直に岡本氏が知っていた、もしくは岡本氏が常識としていた事を語っただけです。もちろん三人の会話は非常に紳士および淑女的に行なわれています。

まず岡本氏が傍聴に至った経緯です。

原告側の石川弁護士ともよくお知り合いのようで、それで傍聴にきたというようなことを仰っていました。

招待までは大層かもしれませんが、原告側弁護士の石川氏から「よければ聞きに来ないか」程度のお誘いであった事がわかります。石川弁護士と岡本氏の関係ですが、

お人のよい方なのでしょうか。
私たちが女性三人組できゃらきゃらした感じだったこともあるでしょう。
なぜか事件についての解説をしてくださいましたo(^-^)o..。*♡
そしてあと4-5回はああいった感じの文書取り交わしが続くよ、と。
それから今日は弁護士会館で石川弁護士が今日の成り行きを説明していたからこればよかったのに、ともおっしゃっていました。

石川弁護士とも交流が深いことがよくわかりますし、奈良事件の裁判についても、差し障りの無い範囲で直接情報を聞ける立場であることもわかります。石川弁護士も岡本氏にすべてを語ることはないとは考えますが、基本方針や裁判に対して焦点と考えている事などは情報として話していると判断してよいでしょう。裁判は公開ですから、隠し球があれば身内にも秘匿するかもしれませんが、それ以外の情報はとくに秘密にする事はないからです。

もちろん今回は雑談であり、岡本氏が話した内容も石川弁護士が話した情報のニュアンスを少し取り違えている可能性もありますし、僻地の産科医様も会話の受け取り方で誤解があった可能性は否定できません。そういう部分を差し引いてもかなり重要な情報です。

それでお話ししていく過程なのですが。
「子どもなんか助けんでも、お母さんを助けてほしかった」
と考えていると仰います。原告側はそのように考えているとも。
「だって脳出血ですよ?」と私は申しあげました。
「除脳硬直がでるほどの脳出血ですよ?助かるわけがないじゃないですか」
「えっ!?でも脳外科に送れば助かるでしょう」
話がかみ合わないんです。
どうやら岡本さまの奥さまは、「くも膜下出血」で手術をして助けてもらったとのこと。

「。。。えっと。くも膜下出血や硬膜外血腫は脳出血と違うんですよ」
「え、どう違うんですか」
「聞いてらっしゃらないんですか?」
「似たようなもんだって」
「えっ。。。」
ちょっと開いた口がふさがらなくなってしまいました。

くも膜下出血も、硬膜外出血も、脳出血ではありません。
頭蓋内出血ではあるけれど、脳出血は「脳実質」の出血です。
その区別も、まさか原告側はついていない?

この会話から原告側の考えている事がわかります。

  1. 子供が助かった事より、母親が助からなかった事をはるかに重視している。
  2. 脳実質部出血も、くも膜下出血も、硬膜外出血も「同じようなリスクの脳出血」と考えている。
  3. 同じような脳出血なので「脳外科に送れば助かる」と考えている。
この会話は瞬間に漏らされたものではなく、

私たちは滔々と、「脳出血」「除脳硬直」がどんなものであるか、
一生懸命説明しましたが、わかっていただけたかどうかはわかりません。

少なくとも岡本氏は完全にそのように信じ込まれており、僻地の産科医様の説明にも納得がついたかどうかも分からない状態であった事がわかります。しつこいようですが、これは岡本氏個人がそう信じ込んでいるだけで、他の原告側関係者である、石川弁護士もそういう考え方をしているかどうかは分かりません。しかし、もしそう考えているのなら原告側のこれまでの行動の多くの部分に説明が可能になります。

記憶に頼って書きますが、原告側の当初からの一貫した主張に、

    早期にCTを撮影し、脳手術を行なっていたら助かっていたはずだ。
これの裏付けが「同じ脳出血だから助かるはずだ」であったと考えられます。この点に対する検証は終わっていますから詳しい説明は避けますが、「あれだけ急速に増悪する脳実質部の出血はどう治療しても救命不可能」です。救命不可能は言いすぎだとしても、理想的に治療が進んでも植物状態は確実です。この見解は高度な脳外科知識ではなく、医師なら専門外でも常識的に理解できる事です。医師でなくとも看護師などの医療関係者であっても大部分の人間は理解可能です。そういう医師の常識からして訴訟にまで持ち込む理由がまったく理解できないと考えていました。

ところが原告側が救命可能な脳出血と、救命が極めて困難な脳出血の区別がついていないのなら話が変わります。「もっと早期に治療が行なわれていれば母親は元気だったはずだ」として、責任をあくまでも追及しようとする事がなんとか理解できるようになります。理解はできても根本的な誤解をしている事は間違いありません。

根本的な間違いですが、岡本氏の見解が原告側の主張の根拠であるとすれば恐ろしいことを主張している事になります。

    いかなる脳出血であっても、早期であれば救命できて当然である
この主張が裁判で認められると大変な事になります。奈良事件は直接的には奈良県南部の産科を撲滅し、間接的には全国の産科医療を著しく衰退させました。それだけでなく訴訟で原告勝利となれば、産科だけではなく脳外科にも事実上の抹殺宣言がなされることになります。脳外科医が脳実質部出血の救命が出来ないたびに巨額の賠償訴訟がこの裁判を根拠に起されることになるからです。

この見解が、岡本氏個人の誤解である事を切に願います。