m3ブログ規約変更

某所でm3ブログの規約が変更になったと話題になっています。情報によりますと下記のように修正されたとの事です。

弊社が会員に対して「Doctors Blog サービス」におけるそのブログ内の記事の修正又は削除ないし訂正記事の掲載等を要請した場合、当該会員はこれに誠実に対応するものとします。 ただし、弊社は、第三者の権利保護等の理由により緊急を要する場合は、会員への要請等の一切の予告を行うことなく、弊社の判断で記事の修正又は削除ないし訂正記事の掲載等ができるものとします。

前項の要請に応じない場合、当該会員は、弊社が有する当該会員の個人情報を、当該会員のブログ内の記事により不利益を被ると弊社が判断する第三者に対して提供することを承諾するものとします。

要約すると

  1. m3は不都合と思えば修正・削除・訂正要望を出せる
  2. m3はさらに緊急であればブログ主の了解なく修正・削除・訂正を行なう
  3. 反抗すれば個人情報を第三者に提供する。
このうち新たに加えられたと解釈できるのは、2.だそうです。問題はこれが厳しい規約かどうかになります。他社のブログの規約を根こそぎ調べても良いのですが、私が直接利害関係のある「はてな」だけ調べてみます。

利用規約第6条に禁止事項というのが列挙されています。

  1. ユーザーは、本サービスを利用するに際し、以下のような法律違反行為を行ってはなりません。
    1. 著作権特許権等の知的財産権を侵害する行為
    2. プライバシーを侵害する行為
    3. 名誉毀損行為、侮辱行為や他者の業務妨害となる行為
    4. 詐欺行為
    5. 無限連鎖講(ネズミ講)を開設し、またはこれを勧誘・運営する行為
    6. 不正アクセス行為の防止等に関する法律に違反する行為、電子計算機損壊等業務妨害罪(刑法第234条の2)に該当する行為をはじめ、当社及び他人のコンピューターに対して不正な操作を行う行為
    7. その他犯罪に関わる行為あるいは法令に違反する行為
  2. ユーザーは、本サービスを利用するに際し、以下のような社会的に不適切な行為を行ってはなりません。
    1. 犯罪予告、犯罪の指南等、犯罪を引き起こすおそれのある行為
    2. 人種、民族、信条、性別、社会的身分、居住場所、身体的特徴、病歴、教育、財産及び収入等を根拠にする差別的表現行為
      倫理的に問題がある低俗、有害、下品な行為、他人に嫌悪感を与える内容の情報を開示する行為。ポルノ、売春、風俗営業、これらに関連する内容の情報を開示する行為。
    3. 迷惑行為、嫌がらせ行為、誹謗中傷行為、正当な権利なく他者に精神的被害・経済的被害を与える行為
    4. 自分以外の個人や会社、団体を名乗ったり、権限なく特定の会社や団体の名称を使用したり、架空の個人や会社、団体を名乗ったり、事実がないにも関わらず他の人物や会社、団体と業務提携や協力関係があると偽ったりする行為
    5. 他者になりすましてサービスを利用したり、情報を改ざんする行為
    6. その他、公序良俗に反するかあるいは社会的に不適切な行動と解される行為
もう少しあるのですが長くなるので後は省略します。改めて読み直してみると「ひょっとすると」該当する行為が含まれているような気もするのですが、結構微妙な解釈となりそうで、結局のところ禁止事項の最終的な解釈は第6条の末尾にある、
    ユーザーは、以上の各項の他、当社が不適切であると判断する行為を行ってはなりません。
要は「はてな」の判断によるところが多いと考えます。

ブログに著作権があるかどうかについても第8条3項に書かれています。

ブログの扱いはしばしば低く見られるのですが、著作権がちゃんとあって安心しました。

それでもって問題が生じた時の扱いは第9条の免責事項から考えればよいようです。

  1. 当社は、本サービスがユーザーの皆様に役立つよう最大限の努力を行いますが、本サービスの内容において、欠陥、一時停止、一部削除、変更、終了及びそれらが原因で発生したユーザーまたは他者の損害に対し、故意または重大な過失があるときを除き、一切責任を負いません。
  2. 本サービス上に開示されている情報の大部分はユーザーによって開示されたものですが、当社は本サービスを監視する義務を負いません。本サービスを利用したことでユーザーまたは他者に発生した損害について、故意または重大な過失があるときを除き、当社は一切責任を負いません。
  3. 当社は、本サービスを監視する義務を負いませんが、本規約に反する、あるいはそのおそれがある行為や情報開示がある場合には、当該情報の削除や掲載場所の移動、当該行為を行った登録ユーザーの登録取り消しなどを行う場合があります。その際、ユーザーは、当社の行った処置について、異議を申し立てることはできないものとします。
  4. 当社は、本サービスにおいて開示された情報及び同情報のリンク先が提供するサービスの合法性、道徳性、著作権の許諾の有無、信頼性、正確性について責任を負いません。また、当社は、前記情報のリンク先が現存しているか否かについて責任を負いません。
  5. 当社は、ユーザーが自発的に開示した情報により、他のユーザーまたは第三者との間における紛争、誹謗中傷、いやがらせ、詐欺、ストーカー行為等の被害を受けた場合、同被害に基づく損害について、故意または重大な過失があるときを除き、一切責任を負いません。他のユーザーや第三者との間における情報交換は、ユーザー各自の責任において最大限の注意を払って行ってください。
この第9条の3項を再掲すると

当社は、本サービスを監視する義務を負いませんが、本規約に反する、あるいはそのおそれがある行為や情報開示がある場合には、当該情報の削除や掲載場所の移動、当該行為を行った登録ユーザーの登録取り消しなどを行う場合があります。その際、ユーザーは、当社の行った処置について、異議を申し立てることはできないものとします。

これはm3で規約変更された部分と類似の条項ですが、修正・削除・訂正要望の段階が無いだけ厳しいと言えます。「はてな」が不都合と判断すれば即座に抹消される危険性があると言う事です。その代わりといえばなんですが第9条2項に「当社は本サービスを監視する義務を負いません」とあり、なるほど枝葉末節まで監視するようなことはしないよとも言っています。

規約自体に書かれている厳しさはどっこいどっこいか下手すると「はてな」の方が厳しいのですが、m3と「はてな」では決定的に違う点があります。これはユーザー数にも関係するのでしょうが、「はてな」はユーザーのブログを基本的に監視していないのです。一方でm3のユーザーは「はてな」に較べると桁が2つ以上、ひょっとすると3つぐらいは違いますから「監視」している点です。

監視の有無が規約の差に現れているかと考えます。「はてな」ではもし問題が大きくなり「はてな」本社が問題と感じたら、容赦なく削除します。逆に言えば問題にさえならなかったらほとんどの事は放置です。一方でm3は問題になりそうな段階から検閲が入る可能性がありえるので、削除の前段階に修正・削除・訂正要望があると考えます。

ここに「はてな」とm3の著作権に関する考え方の違いを見ることもできます。「はてな」の問題への対処は、

    当該情報の削除や掲載場所の移動、当該行為を行った登録ユーザーの登録取り消し
つまり書かれたエントリーには基本的に手をつけ無いと言う事です。問題があればオール・オア・ナッシングの立場で問答無用で削除してしまいますが、エントリーの修正や訂正は行ないません。エントリーに直接手を加えるのは著作権の問題につながると受け取っています。一方でm3は、
    緊急を要する場合は、会員への要請等の一切の予告を行うことなく、弊社の判断で記事の修正又は削除ないし訂正記事の掲載等ができるものとします
m3の行なうとする行為のうち「削除」及び「訂正記事」はエントリー本体には基本的に関係無いかと考えます。問題は「修正」です。修正と言うからにはブログ主に断り無く書き換えると言う事であり、これは改竄にあたります。どうもm3にはエントリーに対し著作権の発想が乏しいかと感じます。気に入らなければ勝手に書き換える権限をm3ブログでは管理会社があると宣言していると考えます。

m3が医師専用掲示板で行なっている行為は私も良く知っていますが、あの勢いでブログ検閲すれば凄いでしょうね。これからはm3ブログのエントリーがブログ主によるオリジナルのものなのか、m3の「修正」が行なわれたものなのかを見分ける目も必要かもしれません。m3ブログよどこに行くです。